4.2.1.5 有効作業効率 目次(第4章)へ
効作業量に対する圃場作業量の割合を,有効作業効率(effective field efficiency)とよび,つぎの式で表される.
Ee = C / Ce * 100
= tA / T * 100 (%) eq. 4.17
有効作業効率は,圃場内の旋回・移動・調整・小故障,資材の補給排出などの時間によって,作業量の減少の程度を示すものであり,圃場条件や運転条件によって変動する.
したがって,圃場作業量(C)は,(4.16)式より,
C = Ct * E / 100
= W * V * E / 1,000 eq. 4.18
かつ,(4.15)(4.17)式より
C = Ce * Ee / 100
= Ct * Et * Ee / 100 eq. 4.19
∴ E=Et・Ee eq. 4.20
すなわち,圃場作業量は,理論作業量と圃場作業効率で示され,また圃場作業効率は,作業能率を理論作業幅・速度から求めるときによく用いられ,その代表例を表4.2に示す.
圃場作業効率は,作業の種類,圃場条件,運転条件等によって異なり,とくに圃場の区画が大きいほど,長短辺比が大きいほど圃場作業効率は大きくなる.長方形圃場の枕地での空運転率iは,長辺長y(m),短辺長x(m),行程数zのとき,つぎのように表される.
i = x / ( y * z + x ) eq. 4.21
往復耕+回り耕の耕法によるプラウ耕およびロータリ耕において,枕地での旋回時間等の実測に基づく圃場の面積,長短辺比と圃場作業効率との関係を図4.1に示す.
プラウ耕,ハロー,ロータリ耕,ドリルシーダの作業について,圃場作業時間Tを解析し,圃場の長短辺比や面積の影響を明らかにした試算式がある. apx.421 圃場作業所要時間
これらの試算式に実測値を代入し,圃場面積Aを横軸にとり,長短辺比mをパラメータとして図に表したのが図4.1である.プラウ耕,ロータリ耕ともに,0.4ha以上になると圃場作業量の増加の割合が減少し安定するが,作業幅の小さいプラウ耕では圃場の長短辺比の影響が大きく,長短辺比が8の細長い圃場における圃場作業量に対し,長短辺比が1の正方形の圃場(面積は同じで)における圃場作業量は80%以下になる.
表 4.2 圃場作業効率の基準3 (*印は小中 1988)
作業名 | 作業機名 | 圃場作業効率% | MEMO | ||
低率 | 平均 | 高率 | |||
耕起 | ティラー用和犁 | 75 | 84 | 94 | けん引型および兼用型耕うん機 |
ボトムプラウ | 50 | 62 | 73 | トラクタ用和犁を含む | |
ロータリ | 82 | 89 | 96 | 兼用型および駆動型耕うん機 | |
64 | 75 | 86 | 15PS以上トラクタの場合 | ||
耕起砕土 | 砕土機付プラウ | 50 | 62 | 75 | ハイカットプラウ・プラウローターなど |
心土破砕 | サブソイラ | 30 | 35 | 40 | |
砕土 | ロータリ | 82 | 89 | 96 | 兼用型および駆動型耕うん機 |
70 | 82 | 94 | 15PS以上トラクタの場合 | ||
デスクハロー | 65 | 70 | 75 | ||
均平 | ツースハロー | 70 | 80 | 90 | |
鎮圧 | ローラ | 60 | 65 | 70 | カルチパッカを含む |
代かき | 水田ハロー | 70 | 82 | 94 | ロータリ+板を含む |
田植 | 稚苗用田植機 | 52 | 58 | 65 | 動力2条用及び4条田植機 * |
田植機 | 51 | 56 | 62 | 高速田植機 * | |
施肥 | マニアスプレッダ | 20 | 30 | 40 | 堆肥の積込運搬を含む |
ライムソワー | 40 | 50 | 60 | ||
ブロードキャスタ | 45 | 55 | 65 | ||
施肥播種 | グレンドリル (ドリルシーダ) | 56 | 69 | 82 | けん引播型(歩行用) |
54 | 65 | 76 | 駆動播型(歩行用) | ||
30 | 45 | 60 | 直装型ドリル | ||
38 | 52 | 66 | けん引型ドリル | ||
防除 | 背負式動力散粉機 | 35 | 50 | 65 | 粉剤散布 |
動力噴霧器 | 35 | 50 | 65 | 水平噴管使用の場合 | |
24 | 35 | 46 | 畦畔散布ノズル使用の場合 | ||
動力散粉機 | 35 | 50 | 65 | ||
人力散粒機 | 37 | 54 | 71 | ||
刈取 | 動力刈取機 | 34 | 50 | 66 | 刈倒型刈取機 |
60 | 75 | 90 | 集束型刈取機 | ||
刈取結束 | 動力刈取結束機 | 47 | 65 | 83 | |
刈取脱穀 | 自脱型コンバイン | 34 | 50 | 66 | 手刈り部分を含む場合 |
51 | 65 | 79 | 手刈り部分を除いた場合 | ||
普通型コンバイン | 43 | 55 | 66 |
ドリルシーダの圃場作業量は,直装型,けん引型ともに圃場面積の増加とともに増大し,長短辺比の影響はプラウ耕に比較すると小さい.
ブームスプレヤや畦畔散布機の圃場作業量は,圃場面積の増加とともに増大するが,長短辺比が1〜4ではその影響はほとんどない.
幅2.3mの普通型コンバインの場合は,圃場面積の増加とともにその圃場作業量は増大していくが,長短辺比の影響は少ない.
これらの作業能率のためのデータベースとしては,今後,圃場作業時間の内容を示すこれらの旋回・移動・調整・故障・補給・待機等の所要時間を,各地域別,作物別,機械・作業別に集録しておくのが望ましいといえよう.
図4.1 圃場面積と圃場作業効率