2.5.3 シーケンス論理制御 目次(第2章)へ
2.5.3.1 論理関数
ある時刻の出力情報Yの値は,そのときの入力X1,X2,…,Xnの値によって定まり,通常は,それぞれ二つの値(0と1,YESとNOあるいは,HとL・・・・・・など)をとりうる二値論理関数(Logical function)とよばれ,つぎのように書ける.
Y = f(X1 ,X2 ,…,Xn)
論理変数Y,X1,…,Xn は,それぞれ三つ以上の多値をもつ場合も考えられるが,ここでは,0と1の値をもつ二値論理関数についてのみ述べることにする.
i) 真理値表 二値論理関数Y = f(X1,X2,…,Xn)は,入力変数X1,X2,…,Xnがそれぞれ0か1をもつある組合せに対して,出力変数Yは,0か1をとる.この関係を,つぎの表2.14のような形で示したものを真理値表(truth table)という.
表2.14 真理値表の例
入力変数の値 X1 X2 ・・・・・Xn |
出力変数の値 Y |
0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 1 1 1 0 1 0 1 : : : : : : 1 1 1 |
0 1 1 1 0 0 : : 1 |
ii) 定数関数 入力変数にかかわらず,出力変数が恒等的に,0あるいは1のみの値をもつとき,定数関数とよび,つぎのように書ける.
Y = 0 または Y = 1
iii) 一致関数 入力変数Xが0のとき,出力変数Yが0であり,Xが1のときYも1になるとき,XとYは一致関数で,つぎのように書く.
Y = X
iv) 否定関数 X = 0のときY = 1,X = 1のときY = 0となる関係を否定(NOT)関数とよび,つぎのように書く.
_
Y = X
iv) 2変数の論理関数
一般に,n変数の論理関数には22 n個の異なるものが存在しうる.たとえば,n = 1のときは,22 = 4で,1変数の論理関数の総数は,Y = 0,1,X,X ̄の4通りである.
2変数の論理関数は,(2 2)2 = 16通り存在し,そのうち,恒等的に0,または1,およびY = X1,X2,X1 ̄X2 ̄を除くと,表2.15のように10種類の論理関数がある.
以下に,よく用いられる2変数論理関数について述べる.
vi) 論理和 X1またはX2のいずれかが1であれば,出力が1となる論理関数を論理和またはORとよび,つぎのような式で表す.
Y=X1 + X2
表2.15 2変数2値論理関数の真理値表
入力変数 |
Y1 |
Y2 |
Y3 |
Y4 |
Y5 |
Y6 |
Y7 |
Y8 |
Y9 |
Y10 |
1 1 1 0 0 1 0 0 |
1 1 1 0 |
1 1 0 1 |
1 0 1 1 |
1 0 0 1 |
1 0 0 0 |
0 1 1 1 |
0 1 1 0 |
0 1 0 0 |
0 0 1 0 |
0 0 0 1 |
名 称 |
論理和 OR |
含意 |
含意 |
対等 |
論理積 AND |
NAND |
排他的 論理和 |
禁止 |
禁止 |
NOR |
記 号 備 考 |
X1+X2 |
X1←X2 |
X1→X2 |
X1=X2 |
X1・X2 |
___ |
_ _ |
___ |
___ |
___ |
vii) 論理積 X1とX2の両方が1のときのみ,出力が1となる論理関数を論理積またはANDとよび,次のように表す.
Y =X1 ・ X2
viii) NORとNAND 上記の論理和の否定と,論理積の否定をそれぞれNOR,NANDとよび,つぎのように表せる.
___
Y = X1+X2 ………………NOR
___
Y = X1・X2… ………………NAND
ix) 排他的論理和 X1とX2が一致しない場合だけ,出力が1になる論理関数を排他的論理和またはXOR(exclusive OR)とよび,つぎのように表せる.
_
_
Y = X1・X2 + X1・X2
x) 対等 X1とX2が一致した場合のみ,出力が1になるとき,対等(Equivalence)とよび,つぎのように表される.
_ _
Y = X1・X2 + X1・X2