2.5.2 システムの信頼性 目次(第2章)へ
農業システムでは生物生産に合わせて作業を的確にすすめる必要があるので,農業機械などのハードウェアは故障をしないこと,すなわち信頼性が強く要求される.機械などの信頼性を分析し,信頼性の高いシステムを設計するものに信頼性工学が活用される.
システムの構成部品が多くなるほど,構成組織が複雑になるほど故障しやすい.
とくに,数多くの部品のどれか一つでも故障するとシステムが動かなくなる場合(ANDまたは直列結合),その信頼性Rは,
R=r1 ・ r2 ・・・・・rn
ここで,r1 〜 rn は部品1〜 nのおのおのの信頼性である.とくに,r1 = r2 = … = rn = rのとき,
R = r n
〔例題〕1個の信頼性r = 0.9の部品を5個直列結合しているシステムの信頼性Rはいくらか.
〔解〕R = 0.95 = 0.59
このように個々の部品の信頼性が高くても,数多くの部品からなるシステムの信頼性を高めることはきわめて困難になる.
つぎに,数多くの部品のうちどれか一つでも故障しなければ,そのシステムが動く場合(ORまたは並列結合),その信頼性Rは,
R = 1−(1−r1)・(1−r2)・・・・・(1−rn)
とくに,r1 = r2 = … = rn = r のとき
R = 1−(1−r)n
〔例題〕1個の信頼性r = 0.6の部品を5個並列結合して冗長性をもたせている機械の信頼性Rはいくらか.
〔解〕R = 1−(1−0.6)5 = 0.922
このように並列結合のシステムは高い信頼性が得られるので,農業でも複数のトラクタを予備に保有するなど,すなわち余力の機械をもつ冗長システムを採用することによって信頼性の高い農作業を行うことができる.