2.5 シーケンス論理制御 目次(第2章)へ
2.5.1 システム制御の概要
農業機械・施設などのハードウェアを制御するにはいろいろな方法が行われている.
a-1 フィードバック制御(feed back control):結果と目標のずれをフィードバックして修正しようとする制御.
a-2 フィードフォワード制御(feed forward control):必要な操作を制御対象に加え,制御結果をフィードバックしない.
b-1 アナログ情報制御:連続量を扱う制御.
b-2 ディジタル情報制御:離散量を扱う制御.
c-1 PID制御:比例動作,積分動作,微分動作によるフィードバック制御
c-2 ON-OFF制御:ONとOFFの信号のみによる制御
d-1 組合せ論理制御(combination logical control):主に論理関数を用いた制御
d-2 シーケンス制御(sequential control):あらかじめ定められた順序に従って遂次進めていく制御でフィードフォワード制御の一つ
d-3 プログラム制御:コンピュータプログラムによって行う制御.
2.5.1.2 農業機械施設における制御例
a) ドラフトコントロール
トラクタにおけるドラフトコントロールは,けん引抵抗をばねで検出し(アナログ量),油圧制御弁をON-OFFして,けん引抵抗を一定に保つフィードバック制御である.
b) 自動走行
コンバインの自動走行は,稲株の有無を接触センサで検出し(ディジタル量),論理演算によって,左右のクラッチをON-OFFして走行方向を制御するプログラム制御である.
c) シーケンス自動制御
ライスセンタ・カントリエレベータ等における穀粒の流れ制御は,各シャッタ,切替弁,モータなどの操作を,状態信号(ディジタル量)を入力して,あらかじめ定められた順序で,操作信号を出力するシーケンス自動制御である.これについては,のちほどくわしくふれる.
d) 植物工場
植物工場は,建物のなかに制御可能の人工気象室を設定して,野菜などを効率的に生産するシステムで,光,温度,湿度,CO2 濃度などを植物の生長に最適化するプログラム制御を行っている.