2.4.6.2 妥協的計画法CP            目次(第2章)へ

多目的問題の唯一解を選ぶ方法として,妥協的計画法Compromise Programming(CP)がある。基本的に,CPは意思決定の目標に関する理想点から最小の距離に位置する点を見つけ,それを妥協解とする。CPの応用対象は,連続的問題(関数)に限らず,不連続的な問題も取り扱うことができる。

CPでは,理想点が目的関数ベクトルの値からなり,f*=(f1*,2*,...,*),それぞれの最大値f*は次のように定義される。

* = Max ( fij ), i = 1,2,..I, j = 1,2,..J (6)

ここで,fij :j代替案のi目的に関する評価値

J:代替案の数

I:評価基準の数

現実の問題では,全目的の理想点を同時に達成することに無理が多い。従って,理想点から最小の距離に位置する点(代替案)が好まれる選択になる。

理想点からの距離は、下記の距離関数(p乗のノルム)で計算する。

Lp( Aj ) = [Σ{ wi(fi*fi)}p] /p, for1≦p<∞

ここで, Lp( Aj ) :理想点からAj代替案の距離

ui :i評価項目の正規化された重要度(ウェイト)

        ui = wi /Σwi

wi :i評価項目の重要度(ウェイト)

fi*fi :i評価項目に関する残念度

p :パラメータ

 

評価項目に関する残念度は評価項目毎の理想点からの距離である。パラメータpは意思決定者の残念度に関する関心度を表わす。pの値が大きくなればなるほど意思決定者の最大残念度に関する関心が大きくなる。従って,pの取り方に応じて各種の妥協解が考えられる。

各代替案のLpを計算した後,妥協解を次のように求める。

Lp( Aj* )=Min[Lp( Aj )],

for j = 1,2,..,and 1≦p≦∞

CPを不連続的な問題に応用するときに,評価行列を作る。数値化できる評価項目においては,与えられた数値をそのまま使い,数値化できない項目においては,まず言葉で評価し,それからその言葉を定められた尺度で数値に変更する。多評価基準による意思決定の評価項目には,その値を最大にすることが目的の場合もあり,また,最小にする場合もあるので,評価行列には,最小にする項目の値に負の記号を付ける。

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