2 生物生産システム工学の基礎理論

2.1 システムの定義と最適化     目次(第2章)へ

 システムとは,対象とするシステムの範囲内で,ある目的をもって,相互に関連する二つ以上の要素が一体となっているもので,その目的は通常評価関数(目的関数)で表される.
 また,最もよいシステムを作ることがいわゆるシステムの最適化である.したがって,あるシステムの最適化とは,そのシステムの要素条件等を種々代替して,その評価関数を最大あるいは最小にするようなシステムの要素ならびにその相互関係を求めることである.
 一般に,実際のシステムとくに生物生産システムは,その要素が非常に多くその相互関係も複雑多岐にわたっているので,直観的な勘のみではその最適化は見出しがたい.
 そこで,システム工学では,システムのモデル化(数式あるいは論理等の表現による)をはかり,線形計画法などの解析的計算やシミュレーションなどの実験的演算によってシステムの分析・解析を行い,最適解を求める.実際には,多くの変数,多くの関係式論理等を含むので,その解析にはコンピュータを利用することが多い.このようにして得られた最適解を参考にして,意思決定者が判断を下すことによって,マネージメントする.
 実際には,対象とするシステムについて数値式・論理式等を用いてシステムモデルを作成し,つぎにそのモデルを解析あるいは実験してそのシステムの特性を明らかにしつつ,評価関数を最大にする場合におけるシステムの要素等を求めていく.

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