2003年(第10回)私のさくら道
【3度目のさくら道へ】
初参加であった2001年は44時間15分、2度目の2002年は39時間48分で完走しました。しかし、楽しく走れたものの燃え尽きた感じがせず体のどこかで不完全燃焼の部分が残っていました。
今年も要綱が届いた翌日、申込書を我家から海宝さんの自宅の郵便ポストに7kmほど走って届け先着順による枠は確保しました。
過去2年は完走だけはしたい思いがあり半年前から500〜600kmの練習をつみましたが、今年はそれほど燃えるものがなく第10回という節目の年であり今年完走したら卒業かなと思っていました。練習も11月403km、12月416km、1月401km、2月452km、3月475kmと過去2年の練習量に比べれば1月平均100kmほど少ないものでした。
過去2年は所持品もチェックにチェックを重ね軽量でしかも必要と思われるものは全て網羅したものですが、今回はウインドブレーカー上下(Kappa EPIC)と安全対策のライト、点滅ライト、反射板、地図、筆記用具、現金、それに念のためにバンドエイドと胃薬程度を用意しただけでした。ウェストポーチでも十分間に合いましたが、安定性が良くないので小さなバッグを背負いました。
【前日そしてスタート】
前日の4月27日には、小田原駅でN田G峰氏、S家R一氏達と待ち合わせ鈍行でのんびり名古屋入りをしょうと思っていましたが、私と同行したカニ氏が大きなバッグの中から鹿肉のタタキや燻製、焼酎2L等を次から次に出し名古屋に着いたときには相当出来上がっていました。
名古屋駅では大阪のWandaや芦屋のコーチャンことO氏等に出会い、抱き合いながらというより、もたれかかりながら再会を喜びあいました。
また、夕食では生ビールを飲み、ホテルに戻っては午後の10時過ぎまでカニ氏と飲み、ベロンベロンになってしまいました。薄れゆく記憶の中でこんなに緊張感がなくて完走できるのかなあと微かに思いながら・・・オ・ヤ・ス・ミ・・・・
スタート地点では例年の顔ぶれが揃っており握手をしたり、挨拶をしたりしているうちに午前7時最前列でスタートしました。前夜、飲んだ割には二日酔いではありませんでしたが、なんとなく体調不十分な状態でした。
【一宮裁判所まで:車止めに激突 リタイアか?】
昨年は巨人軍団のN野氏と併走し、少し飛ばしすぎたので意識的に抑えて走っていましたが、名古屋駅を過ぎてしばらくすると前方のランナーが「そろそろ右折かな?」と話しているのが聞こえたものですから、手元の地図に目を移した途端、右膝に激痛が走り右肩から歩道の上に投げ出されていました。一瞬何が起こったのかわからず声も出せず息も出来ないほどの痛さで、後ろを見ると歩道の真ん中に御影石の車止めがあるではないですか。しかも歩道と同系色で全く役人どもは歩行者の安全を何だと思っているのだと内心毒づきながら起き上がろうともがきますが、膝の痛みが酷く中山道で一緒だったM本氏と昨年のトランスエゾのアルティメイト仲間のT原氏が左右から抱き起こしてくれました。
超長距離の場合、ゴールまで何が起こるかわからないので慎重を期したつもりではいましたが、出だしで痛い目にあいました。実際、2001年のさくら道でこのT原氏はゴール手前500mで転倒し、前歯2本を折り、顎も骨折という怪我を負いました。
ここでまさかのリタイアかと思いましたが、何とか走れそうです。
一宮裁判所には昨年より10分遅い9時43分に着き、ハプニングがあったもののここまでは予定通りの時間で順調のようです。
途中、仙台のMさんやさくら道初出場の狛江のN原氏等と出会いましたが、彼らも快調に歩を進めていました。
【ひるがの分水嶺まで】
59kmの東海北陸自動車道の高架下のエイドでは、毎年、福井さんという女性がボランティアをされています。今年も同姓のよしみで挨拶をし、ここの冷たいそうめんを美味しくいただきました。このエイドを出て間もなくT田R二さんが軽く私をかわして行きました。
美濃市役所を少し過ぎた67km地点のエイドで椅子に腰をかけ立ち上がろうとしたら今度は左膝に痛みが生じました。知らず知らずのうちに右膝をかばっていたのでしょうか。
それでも少し走っていくと痛みも取れてきて何とかいけそうです。
76km地点での道の駅【美並】の食堂でうどんを食べていたら、今度はウルトラの女王k村さんに追いつかれました。外に出たときには既に影も形もみえませんでした。
根村の長良川にかかる鯉のぼりが春風に乗って悠々と泳いでいるのを見ながら90km地点にくると、S家、N野両氏がビールを持って待っていてくれました。この1杯が旨いんですよね。ここで今回k村さんと一緒にゴールした名古屋のT垣さんが追いついてきて、この後、名古屋のT原さんも加わり佐藤良二さんの顕彰碑まで両手に花。ボカアシアワセダナア〜
いつもこの顕彰碑から下るときにあの立派な高架橋を目にするのですが、車が走っているところを見かけません。どれだけ地元の役に立っているかはわかりませんが、恐らく莫大な血税を注ぎ込んだのではないかと思います。
白鳥町公民館のエイドで稲垣さんは一足先に出て行き、T原さんとのんびり2人旅、いつもは正規ルートである旧道を通るのですが、たまには新道を通ろうと彼女を誘い前方を見るとT垣さんが旧道から出てくるところでした。
ここからは蛭ケ野の上りに入りますので、元気な女性は走っていき、残された私は専らウオーキングです。
分水嶺の手前でのうてんき1号、2号(G藤夫妻)がエイドを設けていました。ビールを勧められましたが、ここは我慢して温かい珈琲を頂きました。ここで、韓国の朴氏とK立氏に出会いました。
分水嶺には29日午前0時30分、昨年よりも53分も早い到着です。温度は4度、名物の【てぬきうどん】を頂き次の荘川桜を目指しました.。
【荘川桜〜下梨】
分水嶺から荘川桜までは1人旅になってしまいました。前にも後ろにも誰も見えず、暗い夜道をただひたすら駆け下り荘川桜へ午前2時55分に着きました。ここではT口母娘が待ってくれていました。ここでうどんとカレーを頂きました。食欲があれば大丈夫の印でしょう。
白川郷分岐には午前6時44分、午前7時の24時間の段階で181kmですから予定通りで、全く順調といって良いでしょう。膝の痛みもいつの間にか消えており、どうやらゴールまでいけそうです。飛越7橋を過ぎ、楽しみにしていたささら館の【たんぽぽ】は午前10時前に着いたものですからまだ開店していませんでした。今年は豆腐定食を食べようと楽しみにしていたのですが誠に残念でありました。
白川郷から下梨までは岐阜のK村氏に引っ張ってもらい大いに助かりました。
下梨のエイドではM宮Mミさんとナント【ふじもっちゃん】こと福山のF本氏がいるではありませんか。彼はネイチュアを好成績で完走しており、疲れがまだ抜けていなかったのか早々とエイドでのお手伝いにまわっていました。
ここ下梨で、蛭ケ野の上りで私を置いていったT原さんが憔悴して座っていました。
彼女は40時間切を諦めたと言うので、ゆっくりいけば40時間は間違いなく切れますよと話し、トンネル内を歩いていると眠くなり、かえって危ないので梨谷トンネル、五箇山トンネルは足元だけを見つめ神経を集中して休まずに彼女を引っ張る形で一気に駆け抜けました。
トンネルを抜けたところで名古屋のA井夫妻がエイドを設けて待っていてくれました。ここからは約50km、ゴールが見えてきました。
下りきったところでT原さんが追いついてきたので2人で城端を目指しました。後方からは髭を生やした徳島のコーフクヤことF家氏がピッタリとついてきます。
彼は足が痛くて仕方ないので雪溶け水に両足を突っ込みコーフクだなと足元を見たらナント蛇が2匹もいたそうです。ギャア〜(カレノヒメイデス)
【福光〜ゴールまで】
福光のランニングクラブ:フェニックスのエイドは昨年より1km手前に移動しており、予想より早いエイドの出現は嬉しいものでした。
福光橋の松華堂ではギョウジャニンニクをいただき、一段と気力が充実してきました。
T市原さんと上りは全て歩き、下りと平坦なところは走ろうと話し、エイド以外は休まずにゆっくりと走り続けました。時々振り返るとあのコーフクヤが50mほど後ろから、ピッタリくっついてきています。
森本の交差点近くで酒井さんの妹さんのエイド、ここの笹寿司がまたいいのです。昨年も笹寿司が出され期待していたのですが、今年もありました。まことに嬉しい限りです。疲れているとき酢の入っている笹寿司がのどにスッと入っていきます。お代わりを勧められましたが、後から来る人に食べさして下さいとお礼を言って先に進みました。
兼六園近くでk立さんが韓国の朴氏のお供をしており、疲れてしまったので道の分からない朴さんを連れて行ってくれと頼まれましたが、こちらも3人でゴールしたいので一度は断りましたが、結局前後しながら走る結果になりました。
六枚の手前で地図を見ているうちに朴氏、T原さん、F家氏に置いていかれ、後を追いますが赤信号ごとにひっかかり200mの差が縮まりません。ようやく二口の交差点でF家氏に追いついたもののT原さんは朴氏のナビゲーターに変身して先に行っていました。
F家氏はここからはゆっくり行くというものですから、3人でゴールしたかったけれど先に行くよと言い残し、ここで門氏のホームページの掲示板に速報していたS家氏とも一言二言言葉を交わしただけで彼らの後を追いかけました。
ゴール1km手前でようやく追いつきましたが、T原さんは朴さんが車道を通って危なくて仕様がないというので、彼を見ると歩道から1〜2mも車道側に出ており、前から来る車が避けて走っています。
私が彼は道がわからないのだから、少し歩いて様子を見ようとこちらが歩き始めると彼も立ち止まりこちらを見るので「ゴーストレイト!」と叫びますが、前へ進もうとしません。
仕方なくこちらも走ると走り始めるのですが、ゴール近くで彼の仲間が迎えに来ており彼も安心したのかゴールに向かって走っていきました。
4月29日午後8時46分、スタートして37時間46分T原さんと手をつないでゴールしました。
【ゴール後】
私と一緒に名古屋入りしたカニ氏は時間内完走を目前にした石川県境の1km手前で、猛烈な睡魔に襲われ、とある倉庫に入り込み、そこに立てかけてあったマットレスを横にし、青いビニールシートを頭からかぶって仮眠のつもりが爆睡してしまいました。
彼が目覚めたときは制限時間を既に15分もオーバーした4月30日午前7時15分でした。彼と前後して走っていたH本さんは6分前にゴール、もう1人M岡さんは残念ながら僅か3分のオーバーでした。その後彼の悔やむことは尋常じゃありませんでしたが、これもレースの前日に大酒を喰らった天罰でしょう。ワタシハ? テンバツハヒトリデジュウブンデショウ。
しかし、彼は睡眠時間は十分で気力体力が充実していたため、懇親会場のビンゴでは素早く1番で抜け出し、Kappaのウインドブレーカーをもらいご満悦でした。
あの朴氏は翌朝にこにこと私によってきて、四角い包みをお礼だといって渡してくれました。なんだろうと思ってみると【Dream Partner】と印刷しています。何かイミシンだなとコソッと包みを破りますと・・・ナントmade in koreaの◇□◆□でした。ゴソウゾウクダサイ。
また、走友のO高氏からはルネスのレストランで生ビールを2杯ご馳走になりました。そういえばその時、横でいつも頭に羽をつけて走っているインディアンのT澤氏がH田さんと浜松のうなぎがどうのこうのと甲高い声で喋っていたなあ。
懇親会での関島秀樹氏の【てんごの夢】の熱唱は思わず目頭を熱くしてくれました。同席していたT内氏やT田氏も同じ思いのようで、早速CDを購入していました。
帰りは金沢駅前から午後3時20分発の池袋行きの高速バスに乗り込み、カニ氏、町田のK畑氏、狛江のN原氏とビールを飲み歓談しながら帰京しました。ウイ〜ッ
今回もエイドを楽しみに走りました。本来なら全てコンビニ等で自分で調達しゴールに向かうのが筋ですが、そうはいってもエイドでの歓待は嬉しいものです。さくら道を楽しく走れるのも地元の方々やスタッフの方々の心温まる歓迎や交歓があるからだと思います。
お陰様で多くの方々の応援とご協力で楽しく走らせて頂きました。
ありがとうございました。
【あとがき】
今年のさくら道は第10回の節目の年でしたし、今回を持って終了するとの話が出ていました。私も今年完走すればさくら道に終わりを告げようと思っていましたが、さくら道は走ってみるとやはりさくら道です。
長良川や庄川の流れ、荘川桜、御母衣ダムの石堤、白川郷、白く冠雪した山々、下梨からの急坂、五箇山のトンネル、森本から兼六園までのあの遠さ、エイドステーションでの笑顔、そしてにこにこと或いは不機嫌に、また歯を食いしばり足を引きずりながらも懸命にゴールを目指す仲間たち。
さくら道は私のさくら道でもあります。来年もさくら道があるなら走ってみたい。
私のチェック表
チェックポイント |
累計距離 |
到着時間 |
累計時間 |
ポイント間距離 |
ポイント間時間 |
平均距離/H |
JR東海バス |
0km |
28日7:00 |
0 |
0km |
0 |
0km |
一宮裁判所前 |
27.3km |
9:43 |
2:43 |
27.3km |
2:43 |
10.049km |
美濃市役所前 |
66.4km |
14:10 |
7:10 |
39.1km |
4:27 |
8.787km |
郡上八幡駅前 |
95.5km |
18:13 |
11:13 |
29.1km |
4:03 |
6.639km |
佐藤さん顕彰碑 |
116.2Km |
21:01 |
14:01 |
20.7km |
2:48 |
7.393km |
ひるがの分水嶺 |
139.6km |
29日0:30 |
17:30 |
23.4kn |
3:29 |
6.718km |
荘 川 桜 |
154.7km |
2:55 |
19:55 |
15.1km |
2:25 |
6.248km |
御母衣ダム |
163.0km |
4:18 |
21:18 |
8.3km |
1:23 |
6.000km |
白川郷分岐 |
179.7km |
6:44 |
23:44 |
16.7km |
2:26 |
6.863km |
下梨 |
209.7km |
11:25 |
28:25 |
30.0km |
4:41 |
6.406km |
福光橋 |
231.7km |
15:34 |
32:34 |
22.0km |
4:09 |
5.301km |
石川県境 |
241.7km |
17:00 |
34:00 |
10.0km |
1:26 |
6.977km |
兼六園・佐藤桜 |
259.3km |
19:50 |
36:50 |
17.6km |
2:50 |
6.212km |
ルネス金沢 |
266.0km |
20:46 |
37:46 |
6.7km |
0:56 |
7.179km |
合 計 |
266.0km |
37:46 |
|
7.043km |