TOP 1.顕微鏡写真 2.空中写真 3.素人からみた地域地質の形成 4.薄片作成方法 5.サイトマップ

2.地域の空中写真と災害履歴

空中写真

 空中写真は、断層やリニアメント(線状模様)、地すべり地形や災害発生の可能性など色々な情報を与えてくれます。下記の写真は当方が日本地図センターに発注した白黒の密着焼き印画(23cm×23cm)で立体視するために違った角度の空中写真2枚を並べたものです。(写真代1枚1150円、送料700円かかりました。)

樫井川の河岸段丘と丘陵地

阪和自動車道や永楽ダムがまだできていません。左下方は稲倉池。
樫井川沿い空中写真

 上の2枚重ねの空中写真を見てみると、右側写真で白く蛇行して見えるのは樫井川で、川に沿って膨らんでいるのは主に河岸段丘の農耕地です。上方の白い部分は成合(じょうごう)の農耕地や集落で、黒いところは山林や池です。左中央部に土丸の集落が見えます。また、右下側は大木地区です。これを立体視して見ると次のことがわかりました。右上の成合の丘陵地帯に比べ、土丸地域が一段下がって見えます。このことは立体視しないと見えません(パソコン画面上でも立体視できます)。このことから次のよう事を推測しました。白亜紀以降この辺りは花崗岩と熔結凝灰岩が露出した地域でしたが、その後の地盤変動と海水準の上昇により浅海となり、土砂が運び込まれ成合から土丸の丘陵地帯ができました。しかし土丸は樫井川が流れ込んだため、丘陵地が下刻され、丘陵地がなくなり、岩盤が露出する地域となりました。その後、海面変動と地盤上昇により今の土丸辺りに河岸段丘層が堆積し、そこに集落ができたと考えられます。成合と土丸の同じ集落でも丘陵地と河岸段丘という成り立ちの差が有り、それが地盤の高低差に現れていると考えられるのです。(実際の標高は土丸が60〜70mで、成合は90〜100mです)

*立体視は空中写真上の同じ2点を凝視していると、その点が3重・4重になりさらに凝視を続けるとその点が徐々に一つに重なり、地形が立体的に見えるようになります。パソコン画面上より、実際の空中写真を2枚並べて、左右上下、移動しながら見た方が立体視しやすいです。

災害履歴

 災害履歴と表題をつけたのですが、この辺り、空中写真で見る限り、断層もリニアメントも地すべりも、大きな表層崩壊も危険な箇所も認識できませんでした。地質的には熔結凝灰岩や花崗岩が基盤で、川沿いに段丘層、北側の山すそは大阪層群の丘陵地域なので、安定しているといえるかもしれません。その代わり山がかなり急で、土丸の南側や大木の北側は川幅が狭く、地震などで岩盤崩壊が起きた場合、石や土砂が川を埋め尽くしダム状となる可能性があるかもわかりません。

ページトップへ