今買っているコミックは、先週紹介した「こち亀」と、このクッキングパパの2つ。
それぞれ、偶数月の月初にでるので、どちらかを買った月に、もう一冊買うことになる。
このマンガを初めて読んだのは学生時代。
大学2年と3年の間の春休みに、10日間だけ家電量販店でバイトした時に、そこの近所の喫茶店にこのマンガが置いてあった。
学生時代のバイトは基本的に家庭教師か、システム設定のバイトしかしなかった。
いずれも、他のバイトに比べて、時間単価が3〜4倍だったので、よほどのことがない限り、この2つ以外の事に手をだすことがなかった。
家庭教師で、常に4名前後の生徒を抱えていたので、あまり他のバイトに手をだす時間的余裕もなかったので、こうした突発的バイトは、年に1回あればいい方。
よほど急な入用がない限り手をだすことはなかったのだ。
で、この時の急な入用は電話。
大学2年の後半に、3回目の引越をして、念願のワンルームマンションに入居することになった。
それまでは、アパートに公衆電話があるか、大家が取りついでくれるかで、何らかの連絡手段があったのだが、ワンルームに引っ越したため、連絡手段がなくなってしまったので、自分で電話を設置する必要が出てきたのだ。
必要経費は、NTTの加入権が約7万、留守番電話が3万円で計10万円。
今の携帯電話が2千円の加入手数料というのを考えると、競争のはたらかない独占企業はとんでもない事をしていたというのがよくわかる。
さて、10万円をどうやって用立てようと考えた。
貯金はあったが、就職活動時は家庭教師を減らそうと思っていたので、むやみに切り崩したくなかった。
大学4年の一年間は、何もバイトせずに暮らしていけるお金を残しておきたいと考えていた。
で、単発のバイトを学校の学生課のアルバイト案内で探したら、某オーディオメーカが日給1万円での募集をかけていたのを発見。
オマケに労働期間は10日。
ちょうど、家庭用電話回線独占企業体に支払う金額と同じだ。
仕事の内容は、そのオーディオメーカーに雇われて、労働場所は家電量販店。
量販店のオーディオコーナーで、新入学シーズンに訪れるお客に、そのメーカーのコンポを売る事。
ただし、お店ではメーカの手先を全面に出すのではなく、量販店の店員としてお店にはいて欲しいとのこと。
メーカーの担当者が言うには、一日にミニコンポ一台。
10日で10台がノルマだという。
この時初めて、お店の販売員は、お店の人以外の人もいるという実態を知った。
わたしも、その量販店のハッピを着せさせられたので、お客から見れば、量販店の社員にしか見られない。
大人の世界を垣間見た気がした。
そして、騙されないように気をつけようと思った。
◇
わたしは営業や販売の仕事は絶対に向いていないのだが、売れといわれたら、その当時から売る自信はあった。
バイト開始3日目の午前中に、10台目のコンポを完売。
元々、かなりオーディオ好きで、FM雑誌も数誌購読していたので、多分、お店の店員より商品知識はあったと思う。
なので、何も知らないお客には、かなり満足のいく口先だけの説明はできたのではと思う。
無理を承知で、バイト先の担当者に10台売ったので、10万円を支払ってもらいバイトは終わりにしたいと言った。
ダメだとは元から判っていたが、決して向こうから、もうバイトはいいよとは絶対に言って来ない。
なので、あえてこちらから、提案してみたのだ。
それに対して、今やめられたら困ると担当者は言った。
たぶん、量販店との10日間の契約があったのだろう。
まあ、当初から10日で10台という約束だったので、あとの7日は気楽だった。
お昼に何を食べるか考えるのが、最重点事項。
お店の周りを探検して、感じの良い喫茶店を見つけた。
有名ホテルで修行をされた方が、食事が売りの喫茶店としてはじめられたとのこと。
そこのハヤシライスは逸品で、7日のうちの6日のお昼はハヤシライスだった。
その時、その喫茶店に置いてあったのが、このクッキングパパ。
博多が舞台のマンガで、大学に入学する前は九州の小倉に住んでいたわたしは、それだけで嬉しくなった。
毎回、主人公の荒岩が美味しそうな料理を作るストーリ。
このマンガで紹介された料理は色々と試してみたりもした。
このマンガ、料理もたのしいのだが、登場人物がみんないい人ばかりなので安心して読める。
バイトのノルマを早めに達成したので、残りのバイト代を出せ、などという図々しいことを言うやつもいない。
あと、サザエさんのカツオのように成長が止まるという現実離れしたストーリではなく、物語の中で登場人物が成長していくのも面白い。
連載が始まった当初、主人公の荒岩の息子、マコトも今では高校生。
しかし、わたしが大学生の時、小学校高学年だったのに、今はまだ高校生というのは、少し成長が遅いような気もする。
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