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文藝春秋:1,000 円(税込)
ISBN: 4910077031073 (2007/8)
おすすめランク★★★★★
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文藝春秋の季刊号。
タイトルは「私の仕事、私の生き方 人は何のために働くのか」
久々の大ヒットである。
新入社員の方、また、今の仕事の内容に迷いのある方など、自分の方向性がまだきちんと定まっていない方々には、ぜひ読んでいいただきたいと思う。
きっと、何か得られるものがあるはずだ。
◇
最近、新しい本を読んでいない。
書店には、ほぼ毎日足を運んでいるが、読んでみたいと思わせる新刊がないのだ。
手帳本も仕事術関係も、ほぼネタが尽きたのか、コレというものにめぐり合えない。
その代わりと言ってはなんだが、雑誌によく目を通す。
そんな中で、私の目に入ってきたのが、この文春の季刊号。
月刊の文春と比べて一回り大きいB5サイズで、反対にページ数は少なめ。
特集として、著名人の「わたしの駆け出し時代」ということで前編書き下ろしの寄稿文が掲載されている。
42人の企業家や芸術家の方々の、新人時代の苦労話が掲載されており、主な方を拾い出してみても、
丹羽宇一郎(伊藤忠会長)
安藤忠雄(建築家)
佐々淳行(初代内閣安全保障室長)
小椋佳(シンガソングライタ)
櫻井孝頴(第一生命相談役)
福原義春(資生堂会長)
小菅正夫(旭山動物園長)
河上亮一(日本教育大学院大学教授)
芦田淳(デザイナ)
天外伺朗(土井利忠ソニー元執行役上席常務)
などと、その道のトップに登りつめた方々ばかり。
面白いのは、こういう寄稿文を1つだけ読んだ場合と、まとめて読んだ場合の違いである。
一つ一つの話は、それはそれで、ためになる話だと思うこともあるが、それで終わり。
一方、その道で成功した方々が同じテーマでかかれた文章を続けて読むと、自然と共通項が見えてくるから不思議だ。
その一つ、企業家の場合であれば、やはり上司に恵まれるということ。
自分を評価する人間に恵まれなければ、組織の中で上に登るのは難しい。
これには、運の要素が大きいと思われるが、ある程度は自分でコントロールすることができる。
例えば、どうしようもないバカ上司であれば、さっさと見切りを付ける。
これが大切である。
て、そいつの下にいる時は、無駄なエネルギーを消費しないようにしないといけない。
そういうときこそ、歯を食いしばって自己研鑽や、情報収集である。
組織内で生きるのであれば、その中の状況を掌握しなければならない。
昭和の妖怪、岸信介も最初の10年は農商務省内情勢の把握に全力を注いでいたという。
情報収集しなければ、どこに自分を評価してくれる上司がいるかはわからない。
情報収集の結果、ある程度の目星を付けたら、あとは組織の人事制度を利用して、バカ上司から、評価をしてくれると見込みをつけた上司のところにどよのうに異動するかを考えればよい。
当然、相手に引っ張ってもらうには、なにか向こうにもメリットがないと取引は成立しない。
自己研鑽はそのために、自分の株価を上げる手段だ。
温存+充電しておいたエネルギーは、まともな上司の下で発散すればよいのだ。
当然、トップに登る人間は、こうした努力をどこかでやっているが、表に出さないので、周りは運が良いと言っているだけ。
当然、運は大切だが、それを引き寄せるには、努力がやはり必要だ。
◇
実は、本誌にはもう一つ特集が掲載されており、こちらは13人の著名人による「わたしの大失敗」。
こちらも、新人時代の話を寄稿しているのだが、こちらもなかなか参考になる。
P175に、テレビでもおなじみの経済評論家、森永卓郎氏の失敗談で「私の計算間違い」という文章が掲載されている。
現在まだ発売されている号なので、くわしくは書けないが、大物になるには、コレくらいの鈍感さも必要か?と思わされる内容だった。
まだ、書店に並んでいると思う。
参考になる度合いは、先に紹介した「わたしの駆け出し時代」の方が高いと思うが、一番面白かったのは、森永氏の内容だった。
この森永氏のP175だけでもよいので、立ち読みしていただければと思う。
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