【特集】万年筆を買いに

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私のお気に入りのペンや購入記の紹介
●万年筆を買いに(金ペン堂・パイロット・カスタム74購入記)

神田の金ペン堂で、パイロット社のカスタム74の細字万年筆を購入した。
と言っても、ちょうど1年近く前のこと。
どうも紹介モレのようだったので、今年一発目の更新ネタとして、取り上げることとした。

このカスタム74は、軸色がボルドー、ペン先がFだ。

元々、私は太字でスタブ調のペン先が好きなのだが、細字の万年筆を入手する必要が出てきた。
それは、これまでもブログ等でなんども取り上げた話題なのだが、昨年1年間の日記帳を、モールスキンからLettsの12Wに変更したからだ。
理由は、モールスキンの裏抜けがあまりにもひどいから。

しかし、なかなかその代替品でしっくりと来るものがない。
色々と検討した結果、Lettsの手帳を使ってみることとした。
ひとつ気になったことは、罫線があまりにも細すぎること。
何であんなに細いのか理由は知らないが、新しいものに手を出してみたいという気持ちが勝り、モールスキンから浮気をしたのであった。

だが、実際に使ってみると、やはりあの細さは気になる。
当初は、2行を1行とみなして、大きい文字を書けばいいやと思ったり、ちょっとはみ出す程度の文字を、1行おきに書いていけばいいやと、ごまかしていたのだが、どうも気分的に落ち着かない。
少しはみ出す程度なら、我慢できるが、毎日1行おきというのは、やはり無理があった。

そうなると、次の思考としては、「細い万年筆が欲しいよね!」
という流れになる。
ちなみに、細字の万年筆は、ペリカン・トラディショナル・M200のEFを2本とFを2本。
あと、M250のFを1本の、計5本持っているのだが、これらはいずれもLettsの罫線に対して太い。

あと、国産では、パイロット・キャップレスのFをもっており、こちらは十分な細さなのだが、キャップレスは一応カートリッヂ専用ルールとしているため、パイのインキしか使えないのが面白くない。

ということで、新たに日記用の細字万年筆を一本調達することにした。
細字限定で選ぶのであれば、ここは国産で決めるしかない。

国産でまともな万年筆と言えば、パイロットと中屋しかないわけだが、こうした非常事態的調達で、「いつかは中屋」といわれる万年筆に手をだすのは、ちょっと気が引ける。
また、中屋を買うときは、伊東屋や万年筆祭などのフェアで、吉田氏と対面で決めたいということもある。

ならば、今回はパイロットでということになるのだが、実はすでにカスタム74は一本所有しており、日常使いの万年筆として酷使していた。
これまた、未紹介なのだが、神戸・元町の万年筆専門店で検品調整いただいたものを入手していたのだ。

このカスタム74、非常にコストパフォーマンスがよい万年筆と実感してたので、今回の日記用万年筆もカスタム74から選ぶことにした。

ちょうど、丸善の日本橋店に立ち寄る機会があったため、地下の万年筆売場でチェックしてみることに。
このシリーズ、実に色の種類も多く、伊東屋のオリヂナル色までを加えると、ものすごい選択肢になる。
丸善で、実物を見比べてみて、いままでに持っていないボルドー軸にしてみることにした。

そこまで決めたらすぐに欲しくなるのが人情。
その足で、そのまま東西線に乗り込み、九段下で半蔵門線に乗り換えて、神保町下車。
やはり、購入するにあたっては、検品力のあるお店で買いたい。

あと、パイロット社の製品は、品質管理が優れているため、その品質は均一でばらつきがほとんどないと言われている。
そうした中で、金ペン堂の検品調整がどのように行われているかを確かめてみたかったこともある。

軸色をボルドーにするのは丸善で見て決めていたので、あとはペン先はEFかFのどちらにするかだ。

細かい字でちまちまと日記を書きたいという目的を伝えたうえで、息子さんにカスタム74を考えていると伝えた。
カスタム74の在庫は大量にあったものの、赤軸のEFは在庫がなく取り寄せになるとのこと。
グキっとペン先を引っこ抜いて交換してくれるのかとも思ったのだが、そういうバカなことはパイロットの製品ではやらないみたい。

やっぱり、必要もなくペン先を引っこ抜く行為はバカのやることなのだろう。

パイロットは、試筆用のものがないため、水をペン先につけさせてもらって筆記感を確かめる。
EFは針でひっかくような感触だったので、その感想を伝えると、やはり1万円クラスペン先ではこんなものだとのこと。
Fのほうは、フローを増大させているのか、所有するキャップレスのFよりも太い気がしたが、書き味はGood。

迷っていると、「極細でもなめらかな赤軸がありますよ」と言い残して、奥でなにやらゴソゴソやり始めた。
いったい何が出てくるのかと思っていたら、シェーファーの廃番モデル。
それも、パイロットのボルドー色とは違って、いわゆるイタリアン系の鮮やかな赤。
こりゃ、イメージが違うぜ!と思いながらも、あっという間に、目の前にはインキが付けられたシェーファーが準備されてしまった。

ここまでされたら、これはもう試筆させてもらうしかない。

で、書いてみると、これがまたカスタムとは別物のなめらかさ。
この書き味にはかなり惹かれたが、やはり軸の色が・・・。
ということで、こちらは丁重にお断りして、当初の予定どおりカスタム74のEFとFのどちらかにするかを迷う。

結局、書き味を取って、ペン先はFを選択した。

金ペン堂での、初パイロットだ。

持ち帰って、インキを通す前にルーペでペン先を見てみる。
パイロットの万年筆なのだが、ペン先は金ペン堂検品調整の証がしっかりと確認できた。
どうりで、フローがよいはずだと感心。

このように、ちょうど1年前に金ペン堂・カスタム74であるが、1年間使い倒してみての感想は、やはりコストパフォーマンスが非常によろしい万年筆であると実感している。
インキの方は、パイロットの青カートリッヂや、コンバータ+Lamy青などの組み合わせを楽しんだりしたが、現在は、パイのブルーブラックカートリッヂを刺して使っている。

太字好きにとっても、気軽に使える細字万年筆が机上にあると、なにかと使い勝手が良い。
かなりの頻度での登場回数を誇る一本となっている。

(2011/02/13)
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