最近の日常使いの万年筆は次の6本。
@ペリカンM205スケルトン ペン先B ペリカン・ターコイズ
AペリカンM205スケルトン ペン先B(神様スペシャル) ペリカン・ブリリアントブラウン
BペリカンM200緑スケルトン ペン先B ペリカン・ブリリアントグリーン
CペリカンM200赤スケルトン ペン先BB Drヤンセン・ダンテ
DペリカンM200青マーブル ペン先EF Drヤンセン・ジュールベルヌ
EペリカンM200黒 ペン先F プライベートリザーブ・ブラックチェリー
全部、ペリカンのトラディショナルだ。
長時間、大量に文字を書くときは、やはりこのサイズが疲れない。
最近の万年筆は、巨大化傾向があるが、やはり昔ながらのサイズが使いやすいのかもしれない。
季節が変わったので、このうちの2本(@とE)のインキを替えてみることにした。
ターコイズは、私の中では夏色なので、こちらは秋に向けて、落ち着いたブルーブラックのDrヤンセン・ナポレオンにチェンジ。
あと、プライベート・リザーブのブラックチェリーは好きな色なのだが、ペリカンのブラウンと茶色がダブるので、迷った結果、今回は休眠に。
このM200の黒軸は、数世代昔のトラディショナルで、鉄ペンのクセにペン先がものすごく柔らかく細字なので、ノートへの筆記に適している。
なので、濃い目の青、Drヤンセン・ジュールベルヌを吸入することにした。
ノートに筆記をするときは、最近はジュールベルヌに決めている。
わたしはインキを交換する時、最後までインキを使いきった状態でないと気持ちが悪い。
インキタンクの中に半分ぐらい残っていても、まあ、水道で流してしまえばいいのだが、インキに対する感謝の意もあり、吸入したものは必ず最後まで使う。
あと、ペリカンのブルーなどはあまり気にならないが、モンブランの悪臭限定インキなどは、濃度が高い状態で排水口に流したら、ものすごく環境に悪そう。
一応、排水は下水に流れるが、何かの手違いで近所の川などに漏れたらデンジャラス。
夕方のニュースで、「川に大量の魚が浮いています」などと事件になっていたらたら、洒落にならない。
そういうインキを処分するときは、ティシュか何かに吸わせて、牛乳パックにでも詰めて燃えるゴミに出すのがいいのか?
しかし、燃やして変な気体が出てこないかは不明。
書き物をするときは、400字詰めのオリジナル原稿用紙に書き込むことが多いのだが、7,8枚も文章を書けば、インキは空になる。
なので、そういう交換対象のインキが出てきたら、その万年筆ばかりを使って文章を書く。
昔から、ボールペンのインキを最後まで使いきるのが気持ちが良く、受験生の時などは、使いきった赤ボールペンを貯めておいて、自分の学習ボリュームを計ったりしたものだ。
それに近い喜びの感覚が、万年筆のインキが空になった時にはある。
インキが空になったら、洗面所にプリンのカップを手にして向う。
世間ではモロゾフのガラスの空きカップが人気のようだが、私が使っているのはコンビにで売っている、でかいサイズのプリンのプラ容器。
プラの方がペン先が、容器の底に当たっても害はなさそうなので、見た目はチープだが気に入っている。(常時4個をキープ)
まず、プリンのカップに水を張り、そこにゆっくりとペン先をつける。
すると、ゆらゆらとペン先の切り割りから、糸のようにインキの線が水の中に広がって行く。
じつは、この光景も結構お気に入り。
しばらく、ゆらゆらと水の中を泳ぐインキの糸を眺めたら、あとは水の吸入と吐き出しを繰り返して洗浄をする。
今回は、2本の万年筆があるので、カップを2個用意しての洗浄準備。
最初にターコイズを吸入していたスケルトンを洗浄。
スケルトンは、こうして洗うときに、どこに汚れが付いているかが一目瞭然なので気持ちが良い。
洗浄を繰り返して、色の付いた水が出てこなくなったら、ペン先ユニットを外して一晩水に付けておいて、洗浄は完成。
1本目の万年筆を水につけた状態にして、2本目の洗浄に取り掛かる。
そこで事件が・・・。
2本目の黒軸の万年筆。
洗浄をしようと、尻軸を回して水を吸入しようとすると、何ともいえない抵抗感。
このまま無理に回すと、中の部品が折れてしまいそう。
原因は中でインキが固まったのか、ピストンオイルが切れたかのどちらか。
ゆっくりと尻軸をまわせば、何とかピストンが動くので、最低限の洗浄をすませ、インキタンク内に水を満タンにして、一晩置いてみた。
インキが固まっているのであれば、一晩おけば溶け出すと考えたからだ。
しかし、一晩置いてもピストンの硬さは変わらない。
となると、原因はピストンオイル切れ。
ペリカンの吸入式万年筆は、まれにピストンのオイルが切れて、動きが硬くなることがある。
このトラディショナルも、長い間店頭で眠っていたものなので、オイルが何かの原因で枯れてしまったのだろう。
こうした時の対応はピストン内部にワセリンを塗れば解消すると、とある所で聞いたのをを思い出した。
実は、以前購入した店頭在庫ビンテージもので、やはりピストンが硬いものがあり、この方法で万年筆が復活させたことがある。
この時の対応でワセリンを購入していたので、今回も同様のメンテをすることにした。
塗りこむワセリンはほんの少し。
大量に塗りこむと、透明ウインドウがある軸では悲惨なことになると思う。
こういうモノを塗るときは、あせりは禁物。
少しずつ、少しずつが原則だ。
綿棒の先に、ほんの少しのワセリンを取り、それを上質紙にこすり付ける。
そして、紙にほとんどのワセリンが付着した状態になったら、綿棒をピストン内部に差し込んでクルリと擦り込む。
最初に、紙に綿棒を擦りつけることで、綿棒のワセリンはほとんど残っていないが、コレくらいで十分。ピストンは生き返ったようにスルスルと動き出す。
ペリカンのツールレス保守の思想は、やはりこうしたメンテナンスの時にその便利さを実感させられる。
ローテク製品ながら、こうした思想は素晴らしいと、つくづく思う
|