【特集】万年筆を買いに

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私のお気に入りのペンや購入記の紹介
●万年筆を買いに(Lamy Safari 限定黒軸購入記)

Lamy Safari 限定黒軸を、神戸元町の万年筆専門店で購入した。
昨年末に神戸を訪問したときだ。
 
当初、こちらのお店では、PelikanM250かParker Sonetの福が置いてあれば入手しようと思っていた。
しかし、わたしが訪れたときには、残念ながら、両方ともすでに売り切れ。
 
ショップでの、万年筆の入手はあきらめ、定番商品である、赤ラベルのツバメノートと、分度器.comオリジナルの、これまたツバメフルース紙のメモ帳を買い込んで、お店を後にした。
 
こう書くと、あっという間に退散したように思えるが、実際には、店内をなめるようにチェックし、お茶をいただき、店主と色々とお話をさせて頂いたので、3、40分は滞在していたと思う。
 
この日は、家族旅行だったのだが、4時間ほど自由時間ということで、家族とは別行動。
その間の行動計画は、分単位で立案していた。
家族には、三ノ宮界隈で買い物と伝えていたが、こっそり心斎橋まで行ってやろうと企んでいたのだ。
 
三ノ宮から心斎橋までは往復1時間以上。貴重な4時間の自由時間の中での25%以上を異動時間に費やすのは、もったいないとは思ったが、神戸を訪れる前に、フラナガンのHPで、サファリの黒、ペン先Bがあるのをチェックしていたので、それを入手したいと考えていたのだ。
 
このため、私の行動計画は、P&Mで目的のブツがなかった場合、そのまますぐに元町駅からJRに乗り、三ノ宮で新快速にのりかえて、大阪に向かうこととなっていた。
しかし、P&Mから元町駅に向かう途中、なんだか胸騒ぎがしてきた。
フラナガンのHP、通販のページには在庫有りとなっていたが、きちんとメンテをしているのだろうか?と急に不安になってきたのだ。
 
基本的に、再訪する可能性のあるショップは携帯に登録している。
携帯を取り出し、国道から元町駅に降りる階段のところから、フラナガンに電話してみる。
HPでは在庫有りとなっている、サファリのBが本当にあるかどうかを調べてほしいと、電話に出た店主に伝える。
 
結果は、No。
 
HPの情報を鵜呑みにして、心斎橋まで行かなくてよかった。
HPと実店舗の在庫には、どうしてもタイムラグが発生するので、やはり遠方に行く場合は、事前の電話確認が、時間を無駄にせずにすむ。
貴重な時間を、無駄にすることほど、ショックが大きいものはない。
しかし、このままでは、せっかく関西訪問記念の万年筆が全く入手できないことになる。
 
最近は、定価で、付加価値のない萬年筆を買えない体になっていた。
 
「どうしよう?」
 
寒空の元町駅の階段のところでしばらく考えた結果、P&Mへ戻ることとした。
確か、サファリの黒が、まだ数本残っていたのを見た記憶があったからだ。
フラナガンのBニブがないとなっては、Bニブに固執する必要はない。
Mが残っていれば、購入しようと決意し、再度、お店に引き返した。
 
お店の扉を開くと、「何事でしょう?」と少し驚いた様子の店主。
30分以上居座った客が、店を出て、5、6分もしないうちに戻ってくるのだから、何があったのかと思われても不思議でない。
 
わたしも、苦笑いをしながら、サファリの黒を見せて欲しいと告げると、テーブルに案内された。
こちらのショップは、机が2つ用意されており、万年筆を選ぶときは、そこに座って試筆することができる。
万年筆を選ぶとき、座って試筆できるというお店は、とても貴重である。
 
幸い、Mは2本残っていたので、両方試筆してから選ばせていただくこととした。
 
横長テーブルの4人がけの席。
重厚な、原木の自然な風合いを生かしたテーブルは、お店の雰囲気によく溶け込んでいる。
私が通された席は、向かいに先客のご夫婦が並んで座られており、コーヒーを注文されていた。
そう、このお店は万年筆専門店であると同時に、喫茶店でもあるのだ。
 
なんだか知らない人の前に座って試筆するのは初めての経験なので、少々気恥ずかしい。
 
程なく、2本の万年筆が準備されてきた。
インキはどうもパイロットの青を使っている様子。
なぜ、ペリカンのロイヤルブルーでないのか?尋ねてみたい衝動にかられたが、他のお客さんもいるので、やめておく。
 
2本を順番に試筆すると、全く違う個体。
同じMとは思えない字幅とフロー。
 
フローはドバドバが好みであることと、私の筆記角度では、字幅が太いものの方が引っかかりが無かったので、そちらを購入することに。
 
そういえば、試筆をしてサファリを購入したのは、これが初めて。
 
ペン先を洗浄したり、パッケージしてもらうのを待つ間、面白いものが入荷したばかりと、分度器.comオリジナルの加藤製作所製ペンシルエクステンダが目の前に並べられた。
わたしがいじくっていると、向かいに座ったお客さんも、興味深そうに眺めている。
 
時間があれば、いくらでも長居しておきたい気分になる、不思議な空間だったが、家族と夕食の待ち合わせをジュンク堂でしていたため、包装が終わったら退散。
次回の関西文具ツアーの時には、十分な時間を確保して訪れたいお店である。
 
   ◇
 
で、さっそく持ち帰っての、検品。
最近は、購入した万年筆のペン先をルーペで眺めるのが、また、もうひとつの楽しみ。
どのような調整をしているのか?わくわくしながら、パッケージを開封する。。
 
見たところ、玉を研いでいるのではなく、切り割りの開き方を綺麗にそろえている調整。
店主のテーブルの上には、紙ヤスリが沢山あったので、玉を削る調整もされているのであろうが、必要のないものにはヤスリをかけない調整が、わたしは好き。
こういう調整は、見た目も美しく好感が持てる。
 
聞くところによると、有料で持ち込み調整も受けていただけるとのこと。
最近、某所に試しに依頼して、書き味が???になってしまったLamy2000があるので、次回訪問時には、このお店のオーナーに調整をお願いしてみようかと考えている。
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