【特集】万年筆を買いに

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インキの入れ替え

神田の万年筆専門店の店主によると、萬年筆のインキは替えない方がいいと言う。
インキを替えると、フローが悪くなることがあるというのが、その理由らしい。
 
別の機会に、御徒町の萬年筆専門店の女性店主に聞いたときには、黒やブルーブラックのインキは、いくら洗っても痕跡が残るとのことを言われた。
薄い色のインキを使う前に、これらのインキを使っていると、前の濃いい色のインキの痕跡がどうしても出てしまうとのこと。
なので、薄いインキを使いたい場合、その萬年筆には黒やBBなどは入れない方がいいとのアドバイスを受けた。
 
一方、百貨店の萬年筆売場などで聞いてみると、綺麗に洗えば、インキを替えるのは問題ないという場合が多い。
 
人によって言うことが違う。
これが一番こまるところなのだが、結局のところ、インキのチェンジは自分で判断したら?ということになるのであろう。
 
私の場合、萬年筆を使うのであれば、やはり色々なインキを楽しみたいと思う。
なので、一定の基準を設けてインキのチェンジを行っている。
基準と言うのは、使用するインキの種類に制限をかけているのではなく、インキチェンジを行う萬年筆に制限をかけている。
 
まずは、インキチェンジをしない萬年筆。
ペリカンのスーベレーンは、インキチェンジで事故が起こったらショックが大きい。
また、インキチェンジをしなくても、インキの種類が原因でインキが詰まったりしてもショックが大きい。
ということで、スーベレーンはペリカンのローヤルブルー専用で、その他のインキは使わないようにしている。
 
一方、それ以外の萬年筆においては、色々とインキチェンジをして楽しんでいる。
代表的なものは、ペリカンのトラディショナルとLamyのサファリ。
2ヶ月に一本程度の頻度なのだが、今月は、インキチェンジをした萬年筆が3本と集中したので、以下記録として残しておく。
 
【Lamy2000】
数年前、伊東屋の本店で入手した、インキフロー最高の太字。
私が持っている萬年筆の中でも、1、2を争う、太く力強い筆跡が残る萬年筆である。
そのため、用途は手紙や、書くことが少ない日の日記に使っているのだが、ラミー純正の青に少し飽きてきた。
ということで、インキチェンジの対象に。
 
極太のインキ遊びをするには、薄い色のほうが楽しめそうなのだが、あいにく薄い色は、インキ工房で作ってもらったロディアオレンヂしかない。
しかし、分解できないLamy2000に赤系のインキを吸わせるのは、ちょっとためらいがある。
なので、薄くはないが、最近使っていなかった、モンブランのレーシンググリーンを入れてみることにした。
 
このインキは、数年前に、神戸のナガサワ文具センターのセンター街店で購入したもの。
さらさらで粘度が低く、過去にサファリに吸入したときは、ペン先がいつも緑色の汗をかいており、あまり相性が良くなかった。
同じLamyの製品なのでどうかな?と思っていたが、3週間経過したが問題なく使用できている。
 
 
【ペリカンM205スケルトン】
これは、今年の萬年筆祭で、ペリカンの山本師に見立てていただいた一本。
これまで、ウエルカムの儀式で、純正のローヤルブルーを吸入していたのだが、きっちりと使い切ったので、モンブランのボルドーに入れ替えた。
 
これまで、赤系インキは、ダイヤストアで入手したM250の太字にDr.ヤンセンのダンテ(ルビーレッド)を吸入していた。
しかし、使用頻度が低かったためか、フローがとても渋くなってしまった。
それで怖くなり、このM250にはペリカンのターコイズを吸入させたので、赤系のインキが入っている萬年筆は、インキ工房で作ってもらったオレンヂだけになってしまっていた。
朱を入れたりするのに、もう少し落ち着いた赤が欲しかったので、ボルドーをセレクト。
 
ボルドーは朱入れだけでなく、通常の文章を書くときにも普段使いできる色なので重宝する。
 
 
【ペリカンM250黒軸】
最後は、M250の中字。
神田の金ペン堂で入手したやつだ。
 
これには、ずっとペリカンの純正の青を入れていたのだが、金ペン堂の店主が薦める、ウオーターマンのブルーブラックを吸入してみることにした。
GWに、丸善の福岡ビル店で購入したインキである。
 
それまで、ウオーターマンのブルーブラックは、金ペン堂でM800を試させてもらったときに入っていたインキを、持参したモールスキンに書かせてもらったことがあるだけ。
くすんだ青で、あまり好みの色ではなく、以降、このインキに私の食指が伸びることがなかった。
 
その考えが変わったのは、新宿の京王百貨店にある丸善の店員さんと話していて、ウオーターマンの萬年筆を強くすすめられたときのこと。
その店員さんが、試筆を強くすすめてくるので、ためしに書いてみると、いままでに見たことのない青インキ。
これは、いったいどこの青かと尋ねると、ウオーターマンのブルーブラックとのことだった。
 
今思えば、金ペン堂で試筆したときは店主とペチャクチャ喋りながら書いていたので、あまり書き出しのインキの色の記憶がなかった。
なので、金ペン堂で試筆したブルーブラックの印象は、自宅に戻って、手帳を見たときのブルーブラックであり、書いた直後の色の感覚ではなかったのである。
 
一方、丸善で見た、書いた直後の青々とした筆跡はとても美しいものだった。
金ペン堂の店主が、「いい色でしょう」と言っていたのは、この青のことなのかな?と、今になって気が付いた。
 
丸善でそんな経験をしたころ、趣味文Vol.10にジャーナリストの有田芳生氏が登場していた。
氏は金ペン堂のお客で、使っているインキが、やはりウオーターマンのブルーブラックだった。
この記事も、なかなか好印象だったので、私の中で、ウオーターマンのブルーブラックの立場が、がぜん良くなってきた。
 
どうせ使うならば、金ペン堂調整の萬年筆にしてみたいね!
ということで、昨年、金ペン堂で購入したM250の中字に、博多で入手したブルーブラックを吸入してみた。
乾いたあとの筆跡は、やはり紫が強い、ペリカンやラミーの青が好みだが、書いた時の感じは、ウオーターマンのブルーブラックも、それらに並ぶ魅力がある。
 
どれもこれも、ペリカンの青では面白みがないので、しばらくは、このM250はウオーターマンでいってみるつもり。
さすが、店主オススメのインキだけあって、萬年筆との相性もすこぶる良い。
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