【特集】万年筆を買いに

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簡易万年筆洗浄装置

いつも万年筆愛好家を楽しませてくれる「趣味の文具箱」。
一桁台の号だったと思うが、カメラの掃除につかうブロアを利用して、カートリッヂ式万年筆の洗浄を行う方法を紹介していた。
 
その記事が掲載された当時は、所有するインキの種類もあまりなく、頻繁に万年筆を洗ってインキを交換ということもなかったので、ふーんで終わっていた。
 
両用式万年筆の洗浄については、コンバアタを万年筆にセットして適当にすすいだあとは、一晩モロゾフのプリンのカップに水を張って漬けておけば、特に困ることもなかった。
今思えば、非常にのんびりしていたと思う。
 
しかし、だんだんパイロットの両用式や、ラミーのサファリが増殖してきたのに比例して、インキ交換の機会も増えてきた。
そうなると、「一晩水に漬けて」などとのんびりしたことも言えず、効率的に洗う方法を考えるようになった。
 
   ◇
 
まず、最初に思いついたのが、超音波洗浄器。
ちょうど、無印でお手ごろな値段のものがあったので入手してみた。
 
しかし、実際に使ってみると、これが思った以上に面倒くさい。
カートリッヂを抜き取った万年筆を、いきなり超音波洗浄器で洗浄できればいいのだが、それではまずきれいにならない。
 
最初に、コンバアタなどである程度すすいであげた後で、超音波洗浄器に投入しないとダメだ。
おまけに、超音波洗浄にかけたペン先部分に、再度コンバアタをセットして給排水してみると、色の付いた水がでてくる。
 
こびりついたインキを落とすには威力があるのかもしれないが、通常の洗浄ならば、給排水を繰り返す方が、どうみても効果があるように思える。
 
加えて、超音波洗浄器自体、日常使いのものではないため、日頃は箱に入れて収納している。
 
万年筆を洗うたびに、箱から出して水を張る。
チリチリ言わせながら洗浄。
しかし、これだけでは完全に綺麗にはならないので、コンバアタをセットしての再洗浄。
 
その後は、機械を乾燥させて箱に収納という作業が待っている。
正直、この手順は、かなり面倒くさい。
 
結果はご想像のとおり。
超音波洗浄器を利用したのは、3〜4回でおわってしまった。
 
   ◇
 
続いて目を付けたのが、スポイト+空カートリッヂを利用した方法。
これをはじめてみたのは、パイロットのペンクリニックでのこと。
 
万年筆祭で、パイロットの広沢さんにボーテックスの調整をお願いしたときに、最後にタッパーに新しい水を張って、このスポイト式洗浄器でゆっくりと洗浄していただいた。
 
それまで、某社のペン先調整会で、他人の万年筆の洗浄で薄汚れて濁った水に、自分の万年筆を投入されてチリチリと洗われたことしか経験がなかったので、きれいな水で洗ってもらえること自体が、まず新鮮だった。
 
ジーッと広沢さんの手にあるスポイトを眺めていたのだが、どうも専用に作ったような感じ。
市販のスポイトを見てみても、寸胴で引っかかりのないカートリッヂを上手くセットできるようには見えない。
 
多分、スポイトのゴム部分に空カートリッヂを刺しただけでは、水の排出時にスポイトと空カートリッヂがすぐに外れてしまいそうに思えた。
 
そうなると、趣味文で紹介していたカメラのブロアを利用した方法か?
 
しかし、このブロア洗浄方式で気になるのが、本来、水の吸排水を想定した商品でないのに大丈夫なのかということ。
あと、洗浄の初期には、ブロア内部にインキの混ざった水が吸入されるが、内部が見えない構造も気になる。
まあ、内部が見えないのはスポイトも同じなのだが・・・。
 
そんなわけで、なかなかブロア洗浄器を作成するまでの踏ん切りもつかず、面倒くさいなと思いながらも、ダラダラとコンバアタ+一晩に漬ける方法での洗浄を行っていた。
 
   ◇
 
そんな中、先日、ひょんなことから注射器を使った洗浄装置を思いついた。
 
注射器は万年筆のカートリッヂにボトルインキを注入させるために、100円ショップで購入した。
いわゆる、化粧品コーナーにぶら下がっている、化粧水詰め替え用のやつだ。
 
で、詰め替え先の、空カートリッヂ。
使い終わったカートリッヂを洗浄するのに、流水ですすいだだけでは、中のインキがきれいにならないため、水を張ったカップに漬けていた。
だが、これが中々きれいにならない。
 
2〜3日放置していたら、やっと中のインキ成分が下に下がってくるという状況。
 
そこで、インキを吸入するために調達した注射器に水を吸い込み、針をカートリッヂの口に差し込んで、チューっと水を注ぎ込んでみたら、一発できれいになった。
あれほど苦労して洗っていたカートリッヂの洗浄が、こんなに簡単にできるとはちょっと衝撃的だった。
 
この流れで、針の変わりにカートリッヂを装着してみたら、万年筆の洗浄に使えるのではとなったのである。
 
予備の空カートリッヂがいくつかあったので、先の方をカッターで輪切りにして穴を開けてみた。
最初にやってみたのはパイロットのカートリッヂだったのだが、注射器の針を装着する部分の口が「山状」になっているため、開いたカートリッヂの穴に挿すと、ピタリといい感じにおさまる。
 
今度は、同じようにラミーの空カートリッヂにもカッターで輪切りにした穴を開けてみると、これまたいい感じにおさまる。
 
ということで、早速サファリを使って洗浄実験をしてみると、あっと言う間に洗浄完了。
想像していた以上の勢いで水が噴出され、調子にのっていると、ペン先とペン芯が吹っ飛んでいきそう。
そこは注射器なので、簡単に噴出量の調整ができる。
 
インキ詰め替え用で購入した注射器で、思っても見なかった簡単洗浄装置ができた。
 
この日、洗浄したサファリオレンジはしばらく休眠させてあげることに。
 
あと、ボーテックスも洗浄して、こちらはDr.ヤンセンのモーツアルトを、注射器をつかって空カートリッヂに吸入させたものを装着。
 
一気に、万年筆の洗浄が楽になったので、これからは頻繁にインキ交換して楽しんでみようと思う。
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