【特集】万年筆を買いに

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第11回 世界の万年筆祭レポート

平成21年3月17日(火)〜3月22日(日)
日本橋三越本店 7階催物会場
 
「来年は、スパッと思い切ってデッドストックの限定品を手に入れたいものである。」という言葉でしめくくった、昨年の万年筆祭レポ。
今年も、例年どおり三越日本橋本店で開催されたので、参加してきた。
今回はどんな出会いがあるかと、ワクワク感を最高にした状態で三越へ。
 
いつもどおり、新館のエレベータで7階まであがり、連絡通路を渡りながら会場に向かう。
だが、今年はなんだか様子が違う。
新館側から見ると、いつもペンクリやインキ工房で賑わっているセーラー万年筆のブースが目に入ってくるのであるが、リヤドロ展?とかいうイベントがいつものセーラーのポジションを乗っ取っていて、万年筆祭の会場が見当たらない。
 
ちょっと焦りながら奥に進むと、微妙にスペースが縮小された状態でひっそりと開催されていた。
 
今年は、丸善や伊東屋などもペリカンのトラディショナルをオススメ万年筆で取り上げている状況。
例年とは異なり、低価格の万年筆を前面に押し出していることなどを見ても、販売動向に何らかの変化が起きているのかもしれない。
 
ひょっとして、万年筆ブームが終わり、元の規模に戻ったのだろうか?
ちょっと寂しい状況だなと思いながら、まずは会場を軽く一周することから、今年の万年筆祭がスタートした。
 
 
■セーラー万年筆
会場が狭くなったせいか、ペンクリの順番待ちで用意されていた椅子の数も減らされてる。
でも、こちらは、相変わらずの盛況。
 
初日は息子さん一人でがんばってらっしゃったが、二日目は神様が降臨されていた。
 
一方、もう一つの目玉イベントである「インキ工房」の開催が、今回はなかったのが寂しい。
昨年、ブレンドしていただいたオレンヂ色のインキを作ってもらいたかったのだが、しばらくインキ工房の開催予定もないみたい。
なので、祭がおわって落ち着いた頃に、直接、5階の万年筆売場でオーダーすることとした。
もしかして、対面だけでなく、注文もストップしていたらショックなのだが、まあ、レシピがあればできるだろう。
 
 
■ペリカンの万年筆相談
今回の、祭訪問の最大の目的である、万年筆相談。
お願いしたブツは、スーヴェレーンM600の太字。
数年前に、広島の多山文具のフェアで購入した一本である。
格安で入手したのであるが、すこぶる調子がよく、情報処理試験の論文練習にもずっとこの万年筆を使用して、最近では、仕事用の一本として、常にバッグの中に忍ばせていた。
 
しかし、最近、なぜか書き出しや、書いている途中で空振り現象が発生しだした。
ペン先に少し力を入れれば、もとの書き味にもどるのだが、やはり、万年筆の空振りは使っていてストレスがたまる。
ということで、万年筆祭の開催を待って、山本さんに見ていただくことにしていたのだ。
 
ちょうどペリカンブースの前を通りかかると、お客さんはだれもいない。
なので、早速、席についてM600を見ていただくことに。
ペン先チェック、オイルストンでの研ぎ、紙での仕上げの研ぎ、そして試筆。
この過程を繰り返すことで、ペン先は私の書きクセに合った、ツルツルの状態に仕上がる。
好みの問題でもあるが、わたしはツルツルのペン先が好き(ただしLamy2000はのぞく)。
併せて、書いている途中の空振りもあるということで、ペン芯の溝のチェックもしていただいた。
 
その結果、ツルツルの筆記感にフローはドバドバの状態に。
数年前、山本さんから購入したM800に近い状態に仕上がった。
こんなことなら、昨年、持ってきて調整していただけばよかったと思う。
 
このような状態に仕上げてもらうと、例えば、A4の紙を下敷きなしで立ったまま持った状態でも、ペン先が紙に軽く触れただけでメモを取ることができる。
なので、机の上に置いたノートに書くとなると、もう、万年筆の魅力を最大限に堪能できる筆記感を味わうことができるのだ。
 
こういう書き味を経験すると、思考の道具に万年筆は欠かせなくなるのだ。
 
   ◇
 
調整が終わっても、他のお客さんがいないので、色々とお話を伺う。
今回は、こちらかM800スケに話題をふったこともあるので、こちらを中心に話が弾む。
 
今回の展示では、スケルトンの太字も持ち込まれていたのだが、、何と3Bを装填したスペシャル版も持ち込まれていた。
ペン先と、文字の位置が合う確立は1/4とのことで、ぴったり合うものを探してきたとのこと。
 
気が付いたら、山本さんがもうインキをペン先に付けて、私の前に差し出している。
いつも、このパタンでやられているのだ。
試筆しながらも、3Bのペン先の形状が変わった話などを伺う。
 
この3Bスペシャル、かなり引かれるところがあり、これまた、ちょうど別のものを買う持ち合わせがあったので、かなり迷うが、今回は理性が勝った。
 
正直、趣味の話について、正当な薀蓄を聞かされるのは楽しい。
やはり、一流に接するのは大切なことだと痛感する。
山本さんに丁寧にお礼を述べて、席を後にする。
 
 
■万年筆試し書きコーナー
昨年同様、初日の夜は、だれもいなかったので、一人でゆっくりと、思うがままに試してみることができた。
ゆっくりとイベントを楽しみたい方は、初日の夜がオススメかもしれない。
 
翌日は、イベントの関係で、スペースが縮小されていたことも関係あると思うが、3つ用意されていた椅子は、常に満席状態。
日頃、これだけの種類の万年筆の書き心地を比較検証することは不可能に近いので、人気コーナーの一つになっていると思うが、混んでいる時は、回転を良くする方法を主催者側は考えた方がいいかもしれない。
 
あと、今回、気になったことに、インキ切れや、ペン先がぐらついている万年筆があった。
こういうのは、担当者がそばに立っているだけでなく、細かくチェックすべきであろう。
 
 
■パイロット
今回は、ちょうど伊東屋で同時期にパイロットフェアを開催していた。
伊東屋で、限定色のキャップレスや、色雫インキ全色を試筆できたりしたので、万年筆祭でのパイロットブースは、まったくチェックせず。
 
 
■パイロット ペン習字通信講座講習会。
このイベントに参加しようという予定はまったくなかったのだが、会場をうろついていて、まだ席が充分ありますから、参加しませんか?と声をかけられて座ってみた。
書道やペン習字の類は、まったく経験がない未知の世界だったのだが、1時間強の講習会の時間はあっというまに過ぎさり、とても楽しい時間だった。
 
やはり、きれいな字が書けるというのは、何事においても得することが多い。
いまさら、私の悪筆がどこまで矯正できるかは不明だが、こういう講習を、きちんと受けてみるのもいいかなと思った。
 
偶然ながら、たいへん貴重な経験をさせていただいたと思う。
 
 
   ◇
 
 
今回の万年筆祭、初めて購入物ナシの祭となった。
ペリカンの基本型が一通りそろったこともあり、多分、今後は珍しいものを中心に購入の触手が伸びていくことになりそうな気がする。
 
今回は、少し縮小されたこともあったが、やはり、コレだけの万年筆が一箇所に集まることは圧巻である。
 
年に一度ではあるが、良いものを見て、良い話を聞き、良い人に触れる。
自分の感性を高めるためにも、こうしたイベントに参加することは、とても大切なことだと思う。
 
来年は、ブツとの出会いもそうだが、人との出会いも大切にした万年筆祭にしたいと思う。
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