グノームとはロシア伝説の「こびと妖怪」である。地の底に住み、奇妙な格好で動きまわるという。スタソフの展覧会の展示カタログには「グノーム。子どものおもちゃのデッサン。1869年に美術アカデミーで催されたクリスマスパーティーのクリスマスツリーの飾り」と書いてある。また後年スタソフが友人に宛てた手紙には「胡桃割り人形のようなものだった」と書いている。ペテルブルグ美術アカデミーに題名は付いていないが、ロシア人なら「グノーム」と判る鉛筆画が残されていた。扉の向こうからグノームがこちらを覗き見ている。ロシア人はみな、とても悪賢くていたずらっぽいグノームが好きだという。