量的緩和政策はひびの入った骨董品


日銀はインフレ目標の失敗を隠している

量的緩和政策はひびの入った骨董品

エコノミストは何故沈黙しているのだ?


TANAKA1942bです。「王様は裸だ!」と叫んでみたいです   アマチュアエコノミスト TANAKA1942b が経済学の神話に挑戦します        If you are not a liberal at age 20, you have no heart. If you are not a conservative at age 40, you have no brain.――Winston Churchill    30歳前に社会主義者でない者は、ハートがない。30歳過ぎても社会主義者である者は、頭がない。――ウィンストン・チャーチル       日曜画家ならぬ日曜エコノミスト TANAKA1942bが経済学の神話に挑戦します     好奇心と遊び心いっぱいのアマチュアエコノミスト TANAKA1942b が経済学の神話に挑戦します     アマチュアエコノミスト TANAKA1942b が経済学の神話に挑戦します

2013年3月に就任した日銀首脳は量的・質的金融緩和政策により2%のインフレを2年以内に達成させる、と明言した。しかしこれは失敗するだろう。
そして失敗した。しかし審議委員はそれを隠している。嘘800の例えどおり、その後の政策は言い訳ばかり。しかし誰もがフィルターバブルに籠って沈黙している。
2013年5月8日

趣味の経済学 アマチュアエコノミストのすすめ Index
経済学の神話に挑戦します 神話=岩田・翁論争の過ち
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………は じ め に………
その失敗を隠している  2013年3月に就任した日銀首脳は量的・質的金融緩和政策により2%のインフレを2年以内に達成させる、と明言した。しかしこれは失敗するだろう。Tanakaは2005年秋から2006年夏にかけて「ベースマネーの増加により、マネーサプライが増加する、という神話」と題して、量的緩和政策の失敗を検証した。ベースマネーは増えたけれども、マネーサプライは増えなかった。
 Tanakaが「2年以内に2%のインフレを達成することは不可能」と主張する理由は2つ。
 @インフレ目標政策は「マネタリーベースを増やせば、トランスミッションメカニズムが働き、マネタリーベースの貨幣乗数倍(例えば8倍)のマネーストックが増える。通貨流通量が増えれば貨幣価値が下がってインフレになる」という神話に基づいている。銀行は融資のための資金は十分あるので、日銀が買いオペを進めてマネタリーベースを増やしても、それによって銀行が融資(信用創造)を増やしマネーストックが増加するわけではない。それは2001年3月19日から量的緩和政策(当座預金残高目標5兆円に)を採用してから2006年3月9日に解除するまでを振り返ってみればハッキリする。つまり、日銀が買いオペを進めてマネタリーベースを増やしてもトランスミッションメカニズムは働かず、マネーストックはマネタリーベースと同じ程度しか増加せず、CPIは大きく変わることはないであろう。
 昭和20〜30年代の経済発展途上時代とは違って、今は「ゆたかな社会(The Affluent Society)」なので銀行には十分貸付用の資金があり、債券市場も整ってきたので必要なら手持ちの国債を債券市場で売ることもできる。学生時代に当時の経済状況を勉強してそれが頭にこびりついている人たちは、頭を切り替えることにしましょう。
 A日銀が「2%のインフレを起こす」と宣言すれば、銀行は貸付金利を上げ、景気を冷やす。現在長期プライムレートは1.20%、住宅ローン変動タイプ(三菱東京UFJ銀行)は0.875%。銀行は貸付金利を期待インフレ率以上に設定する。もしも物価が2%上昇する時にそれ以下の貸付金利を設定したら、実質マイナス金利になるからだ。それでも金利を上げないとすれば、それはどこの銀行も「日銀は2%のインフレにすると言っているが、それは失敗するだろう」と日銀の発表を信用じていないからだ。市場から信頼されない政策が効果をあげるとは考えられない。 そして景気が良くなりインフレ期待が高まれば、銀行は貸付金利を上げ景気を冷やすことになる。
 2001年からの量的緩和政策ではインフレ期待が高まるまでの効果を上げることさえ出来なかった。
 ただし、今後政府・日銀首脳の発言による「依存効果」(dependence effect)(アナウンス効果)により「顕示的消費」が増大する可能性もまったくは否定できない。
各種経済指標から推移を追ってみましょう ミルトン・フリードマンはこう言っている。インフレはいつ、いかなる場合も貨幣的現象である(Inflation is always and everywhere a monetary phenomenon.) と。この言葉を尊重すれば、マネーストックが増加してインフレが起きることになる。従って、CPIが2%に近づくその前兆としてマネーストックの増加が観測されるはずだ。政府・日銀首脳は「マネタリーベースを増やせば、マネーストックが増える」という神話を信じているので、買いオペを進めてマネタリーベースを増やそうと必死になる。為替相場の変化・日経平均の動きは直接的にはインフレに影響しないのだが、長期金利に影響を与えたり、この動きから銀行貸出が増えることがあるかも知れない。経済学教育業界では「貨幣乗数」「ハイパワード・マネー」「トランスミッションメカニズム」という言葉を使っているが、金融の現場ではそれに代わるのが「オーバーローン」という言葉だ。つまり、預金額と貸出額に注目している。そしてインフレ期待が高まれば、貸出金利は上昇する。そうした動きでCPIがどうなるか?こうした各種経済指標を拾い出してみた。
 政府・日銀首脳の主張が正しいか、アマチュア・エコノミストの読みが正しいか?前回は量的緩和政策が失敗してから、それを検証したものだが、今回は政策の進行を時間と共に推移を追いかけてみることにした。アマチュア・エコノミストの主張が間違っていて、景気が上向きになると良いのですが、どうなるでしょうか?これは好奇心と遊び心で作っている趣味のホームページです。視野狭窄にならず、余裕をもった気持ちで、各種経済指標を読みながら、ハラハラドキドキしてみましょうよ。 経済を見るのことが面白くなってくると思います。「趣味は経済学です」という人が増えてくると楽しいですね。ただしTanakaの大腸癌の具合によっては中断もあるかも知れませんので、この点はお許しください。(2013年5月8日)
数字を読んでイッパイ感じて下さい。何も感じない人は、ごめんなさい、さようなら

 各 種 経 済 指 標 
<表1 マネタリーベース マネーストック 所要準備額 CPI 等関係表>
<●!----->
年月 ベース 伸率 ストック 伸率 当預 預金 貸出 CPI コア コアコア 為替 日経平均
2012.10 127.9 22.1 1,129.0 2.0 37.6 587.4 422.3 -0.4 -0.2 -0.6 78.97 8,928.29
2012.11 124.4 -3.0 1,130.4 2.0 35.5 590.0 423.0 -0.2 80.79 9,446.01
2012.12 128.1 18.2 1,136.7 4.4 42.9 595.7 428.7 -0.1 -0.3 83.58 10,395.18
2013.01 128.8 6.8 1,137.6 2.3 37.7 593.7 426.9 -0.3 -0.8 89.16 11,138.66
2013.02 132.8 44.4 1,136.7 4.0 38.9 596.7 428.8 -0.7 -0.9 93.17 11,559.36
2013.03 138.9 72.3 1,144.6 3.3 47.9 613.3 436.1 -0.9 -0.5 -0.8 94.79 12,397.91
2013.04 146.1 82.3 1,146.8 2.4 58.6 613.9 436.6 -0.7 -0.7 97.70 13,860.86
2013.05 157.0 137.7 1,152.0 2.5 62.9 615.9 430.7 -0.3 -0.1 -0.4 101.08 13,774.54
2013.06 164.6 75.5 1,155.0 2.5 74.1 618.3 434.2 0.2 0.3 -0.3 97.33 13,677.32
2013.07 168.9 37.1 1,156.3 1.8 72.6 610.8 434.0 0.7 0.5 -0.2 99.75 13,668.32
2013.08 173.7 40.3 1,159.5 2.7 78.3 610.4 434.6 0.9 0.7 -0.1 97.87 13,388.86
2013.09 181.5 69.4 1,162.6 3.6 87.2 616.6 439.0 1.1 0.6 0.0 99.28 14,455.80
2013.10 183.8 16.0 1,167.8 4.1 90.5 612.0 435.5 0.8 0.2 97.82 14,327.94
2013.11 192.5 74.7 1,171.0 2.7 89.8 616.1 438.2 1.5 1.1 0.5 99.79 15,661.87
2013.12 187.6 5.8 1,174.9 3.7 96.8 620.3 443.0 1.6 1.2 0.6 103.41 16,291.31
2014.01 201.5 70.6 1,178.1 3.5 98.7 617.4 440.8 1.4 1.3 0.7 103.94 14,914.53
2014.02 210.9 56.8 1,177.7 1.0 101.7 619.3 440.8 1.5 0.8 102.16 14,841.07
2014.03 213.1 33.6 1,174.5 0.8 114.9 634.0 446.9 1.6 0.7 102.27 14,827.83
2014.09 244.7 21.2 1,192.6 3.7 147.3 631.4 448.0 3.2 3.0 107.24 16,173.52
2015.03 289.6 17.9 1,212.6 2.6 182.0 653.2 457.8 2.3 2.2 2.1 120.39 19,206.99
2015.09 332.5 46.3 1,230.6 0.1 218.0 652.9 462.1 0.0 0.9 120.29 17,388.15
2016.03 371.7 20,6 1,245.4 2.9 245.9 679.3 469.7 -0.1 -0.4 0.7 113.07 16,758.67
2016.09 406.5 18.6 1,267.1 3.6 279,4 684,8 472.2 0.0 101.94 16,449.84
2017.03 444.8 9.6 1,290.5 3.3 307.0 710.0 480.9 0.2 -0.1 113.01 18,909.26
2017.09 470.9 13.1 1,309.0 3.9 326.0 713.5 481.0 111.90 20,356.28
2018.01 477.6 -4.1 1,318.1 1.9 322,3 720.8 484.0 1.4 0.4 110.77 23,098.29
2018.03 484.3 7.3 1,321.8 1.8 329.7 734.8 488.7 1.1 0.9 106.00 21,454.30
2018.09 497.2 0.2 1,340.5 2.9 342.3 740.5 493.9 1.2 1.0 111.98 24,120.04
2019.01 500.8 -0.4 1,345.8 1.5 335.3 741.6 495.6 0.2 0.8 0.4 108.92 20,773.49
2019.03 503.0 -1.0 1,350.7 3.3 340.9 756.0 501.9 0.5 0.8 111.21 21,205.81
09 511.9 4.7 1,366.7 3.0 351.6 754.8 503.6 0.2 0.3 0.5 107.48 21,755.84
2020.03 517.7 -7.7 1,387.0 5.0 343.6 778.1 512.8 0.4 107.29 18,917.01
09 585.5 39.1 1,468.1 6.1 418.1 825.7 534.2 0.0 -0.3 0.0 105.69 23,185.12
2021.03 625.2 11.2 1,489.6 7.9 449.6 854.0 537.0 -0.2 -0.1 0.3 108.65 29,108.80
2021.09 648.8 -7.9 1,520.0 2.0 474.8 854.1 534.9 0.2 0.1 110.22 29,452.66
2022.01 668,9 12.2 1,536.5 4.4 479.1 861.8 536.4 0.5 0.2 -1.1 114.85 27,001.98
02 670.5 3.0 1,541,1 3.3 468.9 863.8 538.6 0.9 0.6 -1.0 115.20 26,526.82
03 678.1 14.5 1,545,2 3.3 486.1 875.8 543.6 1.2 0.8 -0.7 118.51 27,871.43
04 683.1 9.1 1,549,0 3.0 492.2 883.5 542.4 2.5 2.1 0.8 126.22 26,847.90
05 674.3 -14.3 1,550,0 0.5 481.1 883.5 542.4 2.5 2.1 0.8 128.88 27,279.80
06 670.9 -6.0 1,555,1 4.3 485.6 882.0 547.0 2.4 2.2 1.0 133.80 26,393.04
07 663.5 -12.4 1,559,3 3.4 473.4 882.8 549.0 2.5 2.4 1.2 136.71 27,801.64
08 653.3 -16.9 1,543,2 3.1 458.3 882.8 550.7 3.0 2.9 1.6 135.24 28,091.53
09 629.2 -36.2 1,564,8 1.5 435.4 877.9 554.8 3.0 1.8 143.29 25,937.29
10 608.4 -33.0 1,565.6 1.0 428.3 884.3 556.2 3.7 3.6 2.5 147.01 27,587.46
11 616.5 17.0 1,570.3 3.5 422.7 892.6 557.7 3.8 3.7 2.8 142.82 27,968.99
12 623.0 -1.9 1,570.7 0.6 438.3 885.0 561.9 4.0 4.0 3.0 135.42 26,094.50
2023.01 643.1 43.8 1,572.9 2.3 450.0 890.0 561.5 4.3 4.2 3.2 130.34 27,327.11
02 646.4 -1.6 1,575.2 1.4 456.5 891.9 562.7 3.3 3.1 3.5 132.59 27,445.56
03 664.8 13.6 1,577.9 2.2 473.3 908.7 565.7 3.2 3.8 133.85 28,048.28
04 660.5 -7.5 1,580.3 480.2 915.8 565.9 3.5 3.4 4.1 133.33 28,856.44
05 660.1 -0.7 1,583.8 471.1 917.0 566.0 3.2 3.2 4.3 137.19 30,887.88
06 658.0 -3.8 1,586.6 2.3 475.7 910.8 567.5 3.3 3.3 4.2 141.16 33,189.04
07 651.1 -11.8 1,587.8 1.1 455.3 912.6 568.7 3.1 4.3 140.84 33,172.22
08 667.4 19.4 1,590.8 2.0 474.0 914.4 569.7 3.2 144.72 32,619.34
09 676.1 31.5 1,591.6 0.9 475.5 908.0 572.8 3.0 2.8 4.2 147.75 31,857.62
10 679.6 6.4 1,594.7 2.0 478.6 911.4 573.0 3.3 2.9 4.0 149.53 30,858.85
11 681.9 4.1 1,597.0 1.4 469.6 921.5 576.4 2.8 2.5 3.8 149.84 33,846.88
12 680.3 2.8 1,596.4 2.1 472.1 911.9 580.3 2.6 2.3 3.7 144.69 33,464.17
2024.01 673.0 -12.1 1,598.0 1.8 468.3 916.4 580.4 2.2 2.0 3.5 146.65 36,286.71
02 668.6 -7.6 1,593.2 467.3 918.4 582.4 2.8 2.8 3.2 149.39 39,166.19
03 670.6 3.6 1,606.8 486.8 936.5 587.3 2.7 2.6 2.9 149.63 40,369.44
04 676.6 11.4 1,612.8 1.6 495.2 943.8 587.8 2.5 2.2 2.4 153.43 38,274.05
05 668.0 -14.3 1,604.2 -1.6 482.2 940.7 589.7 2.5 2.5 2.1 156.13 38,487.90
06 664.2 -6.5 1,601.8 487.6 937.6 593.3 2.8 2.6 2.2 157.82 39,583.08
07 664.7 0.8 1,603.0 1.3 485.9 937.0 593.8 2.7 1.9 157.74 39,101.82
08 666.7 2.4 1,604.0 0.5 485.9 935.5 593.4 3.0 2.8 2.0 146.23 38.647.75
09 669.3 6.1 1,604.5 0.7 489.0 930.0 593.8 2.5 2.4 2.1 143.22 37.919.55
10 688.9 7.9 1,605.6 1.0 490.8 931.2 595.0 2.3 2.3 2.3 149.63 39.081.25
11 677.9 1,607.6 1.8 482.5 938.0 599.4 2.9 2.7 2.4 154.04 38.208.03
12 674.5 -5.8 1,601.2 3.0 478.5 933.9 805.8 3.6 3.0 152.52 39.894.54
2025.01 655.9 -23.9 1,610.4 0.8 471.0 937.4 607.5 4.0 3.2 2.5 156.41 39.572.49
02 649.9 -1.8 1,612.1 -0.3 477.1 935.7 606.2 3.7 3.0 2.6 151.97 37.155.50
03 648.0 -15.5 1,610.3 -1.3 475.4 946.0 608.2 3.6 3.2 2.9 149.18 35.617.56
04 639.0 -14.2 1,605.6 -0.7 487.5 948.7 605.9 3.5 3.0 144.39 36.045.38
05 556.0 -3.4 1,614.4 1.1 478.5 948.7 605.9 3.5 3.7 3.3 144.88 37.965.10
06 548.0 -3.5 1,609.6 1.8 478.6 948.6 612.6 3.3 3.3 3.4 144.46 40.487.39
07 644.0 -2.8 1,613.8 3.6 474.5 945.3 612.8 3.1 3.1 146.81 41.069.82
年月 ベース 伸率 ストック 伸率 当預 預金 貸出 CPI コア コアコア 為替 日経平均


ベース=マネタリーベース 日本銀行関連統計 (平均残高・季節調整済、兆円)
伸率=マネタリーベース伸率 日本銀行関連統計 (前期比(月)伸び率、年率)
ストック=マネーストックM3 日本銀行通貨関連統計 (残高・季節調整済、単位・兆円)
伸率=マネーストックM3伸率 日本銀行通貨関連統計 (前期比(月)伸び率、年率)
当預=日本銀行当座預金残高・準備預金残高 日本銀行関連統計(準備預金積み期間中の平均残高・兆円)
預金=全国117銀行実質預金 全国銀行協会 全国銀行 預金貸出金速報(月末残高・兆円)
貸出=全国117銀行貸出 全国銀行協会全国銀行 預金貸出金速報(月末残高・兆円)
CPI=消費者物価指数(consumer price index) 総務省統計局総合指数(前年同月比)
コア=消費者物価指数(consumer price index) 総務省統計局生鮮食料を除く総合(前年同月比)
コアコア=消費者物価指数(consumer price index) 総務省統計局食料・エネルギーを除く総合(前年同月比)
為替=USドル/円 USドル/円の為替レートの推移(円)
日経平均=日経平均 日経平均株価の推移(円)
「マネタリーベース伸率」に関して訂正値が発表されたので2014年分だけ(それ以前は単月不明)訂正しました。詳しくは「マネタリーベース(2014年12月)」(2015年1月) および「マネタリーベース計数の季節調整値改定について」を参照してください。
ここでは「マネタリーベース」は「季節調整済」を採用しています。このため実数に大きな変化がなくても、季節調整済で大きく変化したり、逆に実数の大きな変化があっても季節調整済で変化が小さくなる場合があります。「季節調整済」の意味をご理解下さい。
日本銀行のオペレーションに関しては、東京短資鰍フデータライブラリを参照してください。
公表後、訂正値が発表されても訂正しきれずに速報値のままの場合もあります。ご了承ください。



日銀は2%インフレ目標政策の失敗を隠している
疑惑 審議委員は失敗に気づいてないのだろうか?  2013年3月に就任した日銀首脳は量的・質的金融緩和政策により2%のインフレを2年以内に達成させる、と明言した。3年近く経った今、「2%インフレ目標政策が失敗であった」との声は聞かれない。審議委員の誰も失敗だとは思っていないのだろうか?岩田副総裁の理論に拠ると、日銀が買いオペを進めるとマネーストックが貨幣乗数分だけ増加して、インフレが起きる、というものだ。1年経ってもその兆候は起きてない。当然、数字は把握しているはずだ。原因は確定できなくても失敗であることには気づいたはずだ。それを黙っていたのだろうか?何らかの機会に他の審議委員に話したはずだ。2年経って全ての審議委員は「2%インフレ目標政策は失敗である」と認識したはずだ。しかし、日銀の公式見解は「2%インフレ目標政策は続行する」だ。マスコミも、経済学教育業界も「2%インフレ目標政策は失敗である」とは言っていない。「誰も気づいてないし、今失敗を公表すれば市場が混乱する。経済はそれほど悪くはないのだから、黙っていよう。失敗とは言わないことにしよう」なのだろうか?当初「量的緩和政策は過去に失敗したのだから反対」と言った人がいた。以前はたった一人で皆と違う主張をし続けた人がいた。そういう自由があった。 審議委員は、失敗に気づいていたはずだ。
 ところでマスコミもエコノミストもそれを指摘しない。誰も気づいていないようだ。トランスミッションメカニズムのついては以前調べた時、32冊の金融経済学の教科書全てで扱っていた。外国の教科書でも、サムエルソン以外バーナンキもマンキューもスティグリッツもジェフリー・サックスもドーンブッシュも扱っていた。日本で金融経済学を学んだ人は何処へ行っちゃったのだ。教えている人はどうしているのだ。日本の金融経済学の知識レベルはこんな程度なのだろうか?
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貨幣理論は日本庭園と同じ審美的な統一性がある ここにミルトン・フリードマンの文章を紹介して締めくくりとしよう。──1969年に発表した The Optimal Quantity of Money (最適貨幣量)と題する著作の序文から……
 貨幣理論は日本庭園と同じである。日本庭園には多様性から生じた審美的な統一性がある。複雑な真相を覆い隠す外見の質素さであり、深い奥行きの広がりの中に溶け込む表層的な風景である。それを心行くまで堪能するには、多角的に検証し、しかもじっくりと腰を落ち着けて深く吟味しなくてはならない。貨幣理論も日本庭園も同じである。しかも、両者とも全体から切り離して、それだけでも楽しめる部分を有し、全体から取り出した一部分からでも全体的な認識を得ることができる。
(2016年2月1日 TANAKA1942b)
「インフレ目標政策の失敗」を知っている日銀政策審議委員経験者。敬称略・順不同
黒田東彦(2024年、瑞宝大綬章受章),植田和男,中曽宏,雨宮正佳,内田眞一,岩田規久男,若田部昌澄,氷見野良三,,原田泰,白井さゆり,櫻井眞,野口旭,石田浩二,政井貴子,中川順子,佐藤健裕,片岡剛士,高田創,木内登英,鈴木人司,田村直樹

日 本 銀 行 改 革 試 案
(1)失敗を隠していたことの検証 2013年3月に就任した日銀首脳は量的・質的金融緩和政策により2%のインフレを2年以内に達成させる、と明言した。しかし失敗してそれを隠している。当時の経済状況がどのようであっても、情報公開は民主制度の基本だ。
(2)活発な経済政策議論を エコノミストが10人集まると11の経済政策が提案されると言う。しかし日銀に意見を言ったのは小宮隆太郎、岩田規久男の2氏だけ。日銀委大して議論があっても良い。
(3)弁護士による相談窓口 職場の相談窓口。2つの弁護士集団。手紙、メール、電話、来所。パワハラ、セクハラなんでも可。何もなくても窓口があることが役に立つ。
(4)新規採用は50%女性 女性優先は憲法違反などの批判も出るだろうから、いろんな分野の専門家が必要。試行錯誤することが大切。
(5)日銀が日本の企業の先端に 日本企業の先端をチャレンジ。試行錯誤の連続だろう。


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