重心のある家

老夫婦と単身の子供のための家である。将来二世帯となることも想定し計画されている。高齢者が安全に、穏やかに暮らすという
ベーシックな条件を満たすと共に、プランの上で、また心理的な意味での、重心のある家にしたいと考えた。
老夫婦の生活空間を道路側から離れた西側にまとめ、来客用座敷と水まわりを東側に配置した。機能を従えたこれらの空間の中
心に、鉄平石貼の床と、垂木構造の大屋根に包まれた大黒柱のある土間空間を設けている。これは、建替前より引き継がれた庭
を眺めるための前室であり、軒内空間を引込んだ内なるソトである。また、通過するための場である。言わば無機能な空間である
が、生活の核として、住み手の感性の最も原始的な部分に働きかけるものを持つ場となっている。庭から土間へ入り込んだ犬と遊
ぶ子供たちを、老夫婦が居間から眺める微笑ましい日常がここで展開されている。
高齢者への配慮

高い吹抜のある土間に比べ、老夫婦の室は低く抑えた天井により水平方向を強調し、落ち着ける断面計画としている。居間、寝室
(和室)、専用の洗面所、シャワーコーナーを天井一杯の引戸により連続させ、季節や状況により開閉できる環境を用意している。

居間は、フルオープンの開口部によりテラスと気持ちよく繋がり、閉じこもりがちな生活を晴れやかなものとしている。
2階へは、土
間を介して老人室の気配が伝わり、また、厨房の窓から中庭越しに入浴中の様子をそれとなく伺うことができる。高齢者が孤立す
ることなく、かつ、独立した暮らしが守られるよう、適度な距離感を計算した。
自然との関係

外壁、屋根の外断熱・通気工法や、開口部のペアガラスの採用、蓄熱床としての鉄平石床の設定など、住みやすい環境を用意し
た。それらに加え、引戸により外部に開かれ、また、室同志が一体化し気持ちよく風が通り抜ける工夫や、低い水平線で景色を切
取り、日射をコントロールする深い庇といった日本の伝統的家屋の手法を取入れ、自然環境との調和を考慮している。

 

 

 

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 有斐舎

 

所在地  :大阪府豊中市
用   途:住宅
敷地面積:724.49u
建築面積:149.86u
延床面積:198.08u
構   造:W造2F建
竣   工:1999年7月

その他の写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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