依頼
--------------------------------------------------------------------------------

道・・・
それは多くの人が通るもの。
真っ直ぐだったり、曲がったり、分かれたり
人の人生というのもこの道と同じではないでしょうか。
真っ直ぐだったり、曲がったり
時に他の道と交じり合い
そして、分かれていく・・・
分かれた道は再び混じることは無いのか?
いや、そうではない。
複雑に絡み合った道であれば、再び混じることもあるであろう。
だが、交わらない道も当然ながら存在する。

ギルド名「エンジュ」
現在メンバーは7名
構成・・・剣士2、騎士1、魔法士3、僧侶1
マスター名:くぅ

「ギルドとしては小規模だな、このギルドがどうかしたのか?」
黒い鎧に身を包んだ騎士が部下の報告を聞いている。
「はい、このギルドが先日タイタンの封印に成功いたしました」
報告をする部下も黒い鎧に身を包んでいる。
一見同じような鎧であったが、報告を聞く男の物の方が明らかに作りがしっかりしているようであった。
「ほう、タイタンを・・・なかなかの者たちのようだな」
「はい、・・・様の依頼を果たすにも十分かと」
「ふむ、して、もうひとつのこのギルドは?」
「はい、こちらは・・・」

ギルド名「シィルツ旅団」
現在メンバー不明
構成・・・不明
マスター名:りず(通称)

「残念ながら、こちらのギルドとはアクセスが取れておりません」
「・・・未知数か」
「はい、ですが、この二つのどちらかのギルドに任せるしかないかと・・・」
「さて、どうするか・・・」
部下の報告書を見ながら騎士はそう呟くのだった。

「おっつかれさま〜♪」
元気一杯の声が今日も酒場に響く。
満面に笑顔を浮かべながら、黒髪の剣士がジョッキを片手にわいわい楽しそうにしている。
「もう、りりったら、少しは落ち着きなさい」
「なにを言ってるの〜。お姉ちゃんこそもっと騒ごうよ〜」
すでに、出来上がっているようである・・・
「まったく、お酒弱いくせに・・・明日どうなっても知らないからね」
「明日の心配は明日するも〜ん」
一気にジョッキの中身を飲み干していく
「まあまあ、今日くらい良いじゃないか、くぅもしっかり飲もうぜ」
そういって、一人の僧侶がくぅと呼ばれた魔法士の肩にそっと手を回し、くぅを抱き寄せる。
「ぽぽ・・・貴方も酔ってるでしょ」
「ん?俺は酔ってないぞ」
「酔ってなかったらこんな大胆なこと貴方はしないくせに・・・(ぼそっ)」
誰にも聞こえることの無い呟きをもらすくぅであった。
そう言いつつも、こっそりぽぽに寄りかかっているのは秘密である。
「あれ〜?チロはどこいった〜。お〜い、チロ〜」
「チロさんならさっき外に行きましたよ〜風に当たってくるって言ってました〜」
「そっか、外か〜。ちょっと行って来るね」
酒とグラスをもち、騎士がいそいそと外に向かっていった。
「シューク君〜がんばれ〜きゃははは〜」



エリムの町もすっかり日が暮れ夜になっていた。
酒場にとってはこれからが稼ぎ時である。
・・・すでに大賑わいではあるが・・・
「ほら!ぽぽさん、飲みが足りないよ〜」
「おう!負けないぞ〜」
中では飲み比べをやっている様である・・・
「あれでお酒に弱いって・・・どういうこと??」
酒場の外で酔いを醒ましていた魔法士が首を傾げていた。
「チロ、ここにいたのか。外は寒くない?中に行こうよ」
「ん・・・もうちょっと休んだら行くわ」
「そう言うと思った。じゃ、ここで飲むか」
そういって、持ってきた酒をグラスに注ぎチロに手渡す。
「酔い醒ましに外にいるのに・・・」
苦笑いしつつ素直にグラスを受け取るチロであった。
「大丈夫、つぶれちゃったら快方してあげるから」
「それが目的?」
「だったりする」
「ふふ、じゃ、その時はお願いね」
「任せてよ」
いつでもどこでも良い雰囲気な二人であった。



一方その頃酒場内では・・・
「ささ、りずさんもぐ〜っとぐ〜っと」
本日共同でタイタン狩りを行っていたギルドのマスターであるリズがりりに捕まっていた。
「いや〜、すみませんね〜とと・・」
ぐいっと一気にグラスを開けるりず・・・
「おおお!良い飲みっぷりで、ささ、もう一杯」
「いや〜すみませんね〜」
・・・この調子で延々と飲み続けるりずであった。
「りずさん・・・相変わらずざるですね」
「ですね」
「ルゼさんは飲まないのですか?」
「僕は聖職者ですから・・・一応ね」
「そうですね」
「るびぃさんは飲まないの?」
「私、も聖職者なんですけど?」
「はは、同じ理由ですね」
ギルド「シィルツ旅団」のメンバーであるルビーダイスとルゼファの二人は
酒場の片隅でそんな光景を眺めていたのだった。
「あれ〜るびぃさん飲まないの〜?」
「ビクさん・・・貴方、確か未成年だったはず・・」
「硬い事言わない言わない」
「やれやれ・・・まあ、今日だけですよ」
「は〜い」
ジョッキを片手にご機嫌で輪に戻っていくビクであった。
「しかし・・・マスター、未成年に飲ませてよろしいのですか?」
「まあ、めでたい日だし。今日だけだよ。聖職者さんのお許しも出てるしな」
苦笑いで返するびぃであった。

からんからん・・・
「いらっしゃい、今日はちと騒がしいけど勘弁してくれよな。何にする?」
入ってきた黒い鎧を着た騎士に対してマスターが注文をとりにきた。
「ああ、この依頼を頼みたいのだが・・・」
「依頼か〜急ぎかい?急ぎなら今この場に二組のギルドがあるからそっちに声かけてみな」
騎士は店内をぐるりと見渡す。
視線がルビーダイスと合う。
「あら、ご依頼ですか?マスターが今は手が離せないそうなので私が代わりに伺いますわ」
「お姉ちゃ〜ん、飲も!今日はとことん飲もう!って、お客さん?私も聞いても良い?良いよね♪」
酔っ払いは無敵である・・・
困った表情の騎士・・・
どっちに話して良いものやら・・・





1.正気に見える僧侶に話をする

2.酔ってても剣士だし、この子に話をする