再開
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「でわ、剣士である君に依頼するとしよう」
騎士が少しまじめな表情をしたのを察したるびぃがすっとその場を後にした。
そのしぐさを見た騎士がそっちに頼めば良かったといった表情を一瞬したが・・・
「さてと、話をしようか・・・所で君の所属ギルドのマスターは誰かね?」
「ちょっとまってね〜。くぅお姉ちゃ〜ん、お客さんだよ〜」
「は〜い。ちょっとまってね〜今行くから〜」
遠くから返事が聞こえてきた。
こんなに騒がしい中でも自分を呼ぶ声というのはしっかり聞こえるようである。
酒場の喧騒とは不思議なものだ
「お待たせしました。私が当ギルドのマスターです。えへw」
顔を真っ赤にして上機嫌で現れた魔法士の後ろにはこれまた真っ赤になった僧侶が立っていた。
「・・・後ろの方は?」
「おかまいなく、さてお話というのはなんでしょうか?」
「くぅ〜紹介してよ〜」
ぽぽえっとが泣きそうな顔をした。(もちろんすっかり出来上がっているので演技なのだが)
「はいはい、えっと、うちのギルドの支援僧侶のポポエットです」
「くぅの彼氏っては説明してくれないの?」
「・・・とまあ、そういうことです」
「お姉ちゃんごまかした〜♪」
「・・・お話の続きをお願いしますわ、出来れば別室で」
「あ、ああ、そうしてくれると助かる」
二人は依頼の話を進めるため別室へと向かった。
そうなると、取り残されたものは・・・
「よ〜し!依頼もきたし、お金もばっちり!!飲むよ〜♪」
「「「「「お〜!!!」」」」」
とまあ、さらに盛り上がるのだった。ま、当然だね。



しばらくのち、話し合いが終わったようで二人が戻ってくると
・・・店内はさらにヒートアップしていた・・・
「ルゼ君!飲まないとだめだよ!ええ!聖職者?関係ないない、ほらるびぃ姉ちゃんも飲んでるし」
るびぃもしっかり飲まされ、ばっちり潰れていたのだった・・・
「あ、お姉ちゃんお帰り〜。さ、駆けつけ三杯いってみよう〜」
もう誰にもとめられないようである・・・
その日は日が昇るまで続いたとさw



「さてと、昨日の依頼の話をしたいんだけど・・・だめだね〜これは」
全員潰れていたのだった。
もちろんマスターたるくぅも例外ではなく。
全員一致で明日にしようと決まったのは言うまでもない。
ちなみに、旅団のメンバーは誰も倒れることなく元気に出かけていったとさ
元気だね〜



さて、次の日。
「さてと、一昨日の依頼の話をしたいんだけど・・・今日もだめ?」
フィリアとポポエットが揃って三日酔いに倒れていたのだった。
「あ〜、私はパス」
「僕もちょっと無理」
剣士と僧侶が動けない状態ではギルドの能力が半減どころの話ではなかった。
「しょうがない、じゃ、明日にしましょう。一応話だけしておくけど、ザイドの奥に新たな坑道が見つかったらしいの
 で、そこの探索をお願いしたいそうよ。報酬も破格だし、引き受けたけど良いよね?」
「へえ〜新たな坑道ですか、何が取れるのかな〜?宝石だったらすごいよね」
「そうね、宝石だったら見に行きたいな〜」
「チロに似合う宝石だと良いね」
「その時は私にプレゼントしてね」
「もっちろん」
「はい、そこ、盛り上がらない。ちぇ、ぽぽが元気なら私だって(ぼそっ)」
「ん?くぅお姉ちゃん何か言った??」
「なんでもないわよ!さっさと寝て元気になりなさい!!」
照れ隠しに一喝されてその日はおしまい。
一応動ける面子が調査の準備をすすめてくれたということで・・・
そして、さらに次の日。
「りりちゃん復活〜・・・は無理ぽ(;;)」
ポポエットは無事に復活したものの、一番飲んで一番大騒ぎしていたフィリアは四日酔いに突入していたのだった。
「だから、あれほど飲むなって言ったのに。今日は無理してでもいくわよ!!」
「ぇぇぇ〜」
「ぇぇぇ〜じゃないの!期限まで三日しかないのよ?坑道がどのくらいの大きさかもわからないんだから!」
新たに見つかった坑道には強力なバイルが生息しており、探索が思うように進まない。
探索が進まないので、どの位の大きさなのかも不明ということである。
それを調べる意味で冒険者を雇いたいと言うのが今回の依頼の内容らしい。
「ちぇ〜しょうがないな〜仮病はだめか〜。よっと、じゃあいこっか」
そういうと元気にベットから飛び起きたフィリアであった。
「・・・りり、後で話があるわ。そう、じっくりとね」
「ぅ・・・ま、まあ怒らない怒らない。ね。ぽぽさん一人だと絶対無理すると思ったから私もね
 け、けして行きたくないとか、面倒とか思ったわけじゃないからさ、ほら、そんなに怒らないでよ〜(^^; 」
あせあせと答えるフィリアであった。
多少の問題はあったものの目的の鉱山についた一行。
「ずいぶん端折ったわね」
「そういうものだよ、さて中には何があるのかな〜」
いつもと同じクレメンツ鉱山・・・
いつもと同じコイン部屋・・・
いつもと同じタイタン部屋・・・
そして、いつもと様子が違う、空に浮かぶ死体の部屋
そう、いつもはそこにあるはずのものが消えている。
「・・・どういうこと?死体は?」
フィリアが辺りを見渡す。
そこにはただ広い空間が存在するだけ・・・何も無い。
「落ち着きなさい。情報によるとこの先に新たな坑道があるはずよ」
向かった先には全てを飲み込むほどの漆黒の空間が存在していた。
「こ、ここに入るの?調査隊は無事に戻ってこれたんだよね?ね??」
チロが震える声で確認してくる。その手はしっかりとシュークの手を握り締めていた。
その手をしっかりと握り返しながら笑顔を返すしっかりものの騎士の姿がそこにはあった。
「くぅ、良いのか?悪い予感がするんだが・・・どうする?」
ポポエットも嫌な予感を感じているのだろう。
というより、愛するくぅを危険な目に合わせたくないという感じであるが
「そうね、少し様子をみて危険なようだったら引き上げましょう」
「・・・よんでる・・・誰?え、この声・・・そんな・・」
「りり?どうしたの?」
「まって・・・どうしてあなたが・・・だって」
何かに引きづられるようにフィリアが闇の中に歩を進めていく。
「りり!待ちなさい!!」
くぅの静止する声も聞こえてないのかまっすぐ闇の中に消えていった。
「様子がおかしい。追いかけよう!」
ポポエットが、シュークが、チロが、そしてくぅが闇の中へと姿を消す。
少し歩くとその闇は晴れ、見慣れてはいないが見覚えのある鉱山の姿が目の前に浮かぶ。
全員がいるのはすでに廃坑となっている所であった。
「ここは、ケインに誘われた廃坑?」
「みたいだよ、あ、あそこにいるのりりちゃんだよ」
少し先の広間にフィリアがいた。
そして、彼女の前にはもう一人、見たことの無い剣士が立っていた。
全員がフィリアの近くに移動する。
「ふふ、フィー、久しぶりだね。あれから元気ですごしていたかい?」
フィリアはその声を聞いたとたん、びくっと身を硬くしていた。
「どうしたんだい、フィー?」
「ちっ違う、そんなはずは無いわ!だって、だって貴方は!!」
「ふふ、そうだよな、見殺しにされたんだし生きてるはず無いよな」
「ちっちが、見殺しなんて・・・そんな」
「良いさ、僕は気にしてないよ。さて、皆さんとははじめましてですね。僕の名はシオン
 しがない剣士ですよ」
優雅に一礼しエンジュの面々に挨拶をする。
だが、そのしぐさとは対照的にその人物からかもし出される気は深く、冷たいものであった。
「ふ、どうも嫌われたものですね。まあ良いでしょう今回は久しぶりにフィーにも会えたし
 ここは大人しく去りましょう。フィー、また会おう」
そう言いながらシオンの姿はすぅっと闇に消えていった。
変わりに大量のケンサイスカルとジェネラススコールが襲ってきた。
『ああ、そうそう、そいつらはお土産ですよ。せっかく来てもらったのに手ぶらで返すのもなんですからね』
「シオン!まって。私の話も聞いて!!」
『また会おうフィー、その時はもっといい返事を貰いたいものだよ』
「まっまって!お願い。お願いだから私の話も聞いて!!」
フィリアの叫びに答える声はすでになかった。
「シオン・・・どうして、どうしてなの・・・」
呆然とたたずむフィリア・・・
しかし、バイルはそんなことにはお構い無しに襲い掛かってくる。
「りり!止まっちゃだめ!動いて!!」
くぅの声も今のフィリアには届いていないようである。その場に立ち尽くしていた。
全員目の前の敵に手一杯で援護に回れない。
誰もが間に合わないと思った。
「フィーちゃん、戦場でボーっとしてたら危ないよ」
蒼い影がフィリアとバイルの間に割り込んできた!
その影は、フィリアを襲おうとしていたジェネラススコールを一刀の元に切伏せる
「「「「蒼さん(ちゃん)」」」」
エンジュのもう一人の剣士、
その剣はいかなる敵をも切り裂き、
その身のこなしの華麗さは敵も味方も見惚れるばかり、
その剣士の名は蒼き殺戮・・・
まさに、その名に相応しい剣技を振るう剣士であった。
「フィーちゃん、大丈夫?怪我してない?痛いとこない??」
その名に・・・ふさわしく・・・
「あああ!!こんな所から血が出てるよ〜!た、大変!ぽぽさんキュアを早く〜」
ふさわしく・・・・
「きゃ〜きゃ〜こ、こっちにも怪我があるよ〜!!!」
・・・・怖い名前とは裏腹にとっても心優しい剣士さまである。
いつも仲間のことを気遣うそんな蒼さんを皆が慕っていた。
本人はこの名前がコンプレックスになっているようであるが・・・
その辺はギルドの面子も承知している。
「フィーちゃんいじめたのは貴方達ですか・・・許しませんよ!」
瞬時に敵に向かい走り出す。そのすばやい一撃はやすやすと残存していた敵バイルを駆逐していく。
数分と経たずに全てのバイルを制圧。見事な腕前である。
「蒼ちゃん、どうしてここに?」
「あ、くぅさんお久しぶりです。まあ積もる話は本部に戻ってからにしませんか?」
「そ。そうね。とりあえず調査も完了ってことで引き上げるわよ」
「は〜い」
全員が帰還スクロールを使いエリムへと帰還する。
「シオン・・・仕方なかったのよ・・・でも・・・」
そんな中フィリアの呟きは人に聞かれること無く闇の中へと消えていくのだった。




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あとがき
はい、こっちのあとがき担当のフィリアです。
いつも読んでくれてありがとうございます。
今回のお話はエンジュと旅団の合同企画ということで進めてきました。
で、こっちの話は私が所属するギルド『エンジュ』の方のお話になります。
今回この話を作る上で二つの話を関連あるものにするか、まったく別のものにするかで
悩みました。
結局、依頼人は同じだけどギルドによって依頼内容が違うと言うまったく別物の話として構成してみました。
いかがだったでしょうか?
作者としては結構面白い企画だったです(構成が結構てこずったけどw)
どちらの話にも言えるのはばっちり伏線を張ってるから続きを作成する時には使えるかなということですね
(使わないかもだけど)
でわ、本文の解説を少ししましょうね。
さて、この話はまず、タイタンの封印クエストを受けたというところから始まっています。
タイタンも一応BOSS!ですから結構強いという設定です。(実際はあっさり倒される悲しい存在ですけどね)
なので、倒したその日は大賑わいになるでしょう!きっと!!
ですから、酒場で大賑わいの場面になっています。
お酒の強さとかは勝手に作ったものですからリアルは関係ありません。
で、フィリア編では、シオンという剣士が登場していますね。
この剣士については今後作ろうと思っているフィリア外伝で登場させる予定
なにがあったかとかもその時に明らかになるかも・・・(あくまで予定w)
それと、今回登場の蒼さん
かっこよくということだったので、それっぽいシーンで出てきてもらったけど。
まだかっこよさがたりないかな〜と思ってます。
次こそは、もっとかっこいいシーンを演出したいですね。
今後に、こうご期待!!
とまあ、こんなところですかね?
他にも聞きたいことがあればどしどし質問してくださいね。
答えられる範囲でお答えいたします。

最後に、お世話になった沢山の方にお礼をのべさせてもらいます。
皆さんの協力があって作品を完成させることができました。
この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
沢山のご協力ありがとうございました。
今後もよろしくお願いいたします。