聖職者の試練
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「すまんが、まじめな話なんで、君は席をはずしてくれないか?」
「ちぇ〜つまんないの〜」
面白くなさそうにりりが席を離れてりずの隣に向かった。
飲み比べの最中だったらしく、試合は続行!決着はいまだに付いていないようである。
「さて、依頼の件だが、君たちのギルドはどういった構成かな?」
「僧侶が私とルゼファさんの二名、騎士が一人と魔法士が一人ですね。今いるのは」
「今いるのは?」
「今、旅に出てるのが数名いるのです」
「なるほど、そいつらと連絡を取ることは?」
「可能ですわ。でも、それほどの依頼なのですか?」
何かを考え込んでいるように騎士はしばらく黙り込む。
店の中は相変わらずの喧騒ではあったが、この一角だけ別空間のように静かな気がした。
「るびぃさん、僕少し席はずすよ」
ルゼファが沈黙に耐え切れずに席を外した。
(ルゼさんずるい・・・)
後できっちりとお仕置きをしようと心に誓うるびぃであった。
「・・・まあ、大丈夫だろう。実は・・・」
長い沈黙を終えようやく騎士が語りだした。
その内容とは、
「レイウークの森に謎の十字架が出現した。それ以来その周辺のバイルが凶悪になったらしい
そこで、その討伐と原因の調査をお願いしたい。もちろん報酬はきちんと出す」

レイウークの森・・・
ジプシー達の村がある地域である。
木々が生い茂り、緑豊かなこの地はそれなりにバイルもおり、それなりに強い
ただ、ある程度のLVがあれば怖くは無い場所である。

「なるほど・・・わかりました。マスターも恐らく引き受けてくれるでしょう
 なにせ、国王自らの依頼ですからね」
その言葉に騎士が少し驚いた表情を見せた。
「いつから、気づいてました?」
「最初から。その鎧はこの国最高のものですからね」
(なかなか鋭いな。笑顔にだまされると怖いかもしれん)
「でわ、マスターに相談いたしますわ。お返事は後日でよろしいかしら?」
「ああ、明日までにくれれば良い。でわ、よろしく」
「そうそう、その鎧、外に出るときは違うのをお使いになることをお勧めいたしますわ」
「気をつけるよ」
からん・・・と音を立てて騎士が酒場を後にした。



翌日、昨日あれだけ飲んだにもかかわらず、マスターであるりずは元気であった。
本人曰く、
「あの程度で潰れる様ではまだまだだね」
だそうである・・・
ちなみに、一緒に飲んでいたエンジュメンバーは全滅・・・
全員が二日酔いに苦しんでいるのであった・・・
「さて、るびさん。依頼に関してだけど・・・」
「はい、何か不振点でも?」
「ある。報酬は?」
「さあ?詳しく聞いてませんから。それはマスターの交渉しだいでしょうね」
「そこまでやってくれても・・・良いと思うんだけどな〜」
「何を言ってるんですか。私はあくまで代理で話を聞いただけです
 請けるとか請けないといった話ははりずさんに一任してますから」
あくまで自分は代理と主張するるびぃに苦笑しながらりずが思う。
(代理と言いつつ、決定権あるのにな〜るびさんなら)
その苦笑の意味を鋭く察したるびぃが釘を刺すように代理ですからと言うのは
このギルドではお決まりのことである。
「とりあえず、請けるってことでPT募集〜」
「私は参加しますわ」
「僕もいくよ」
「俺は、頭痛いけど行くよ」
少し顔色も青いビクが苦しそうに手を上げている。
「あれしきの酒で二日酔いとは、さすが未成年」
元気いっぱいなりずである。
「まあまあ、でわ、いつものメンバーで行きましょうか」
一向は一路レイウークの森に向かって出発するのであった。
道中、数回の襲撃を受けるものの、それなりのLVのメンバーである。
難なく撃退し、目的の地であるレイウークの森に到着。
さて、どうしようかと今後の方針を決めるための相談を行っていた。
「で、その謎の十字架ってのはどこ?」
全員の視線が話を聞いたるびぃに集まる。
「えっと・・・あれ?そういえば具体的な場所って聞きましたっけ?」
るびぃの視線が一緒にいたルゼファに向く。
全員の視線も同時にルゼファの元へ・・・
「んと・・・僕途中で席外したからわかんないw」
「そうでした、ええ、そうでしたね〜すっかり忘れてましたよ」
「る、るびぃさん・・・お、落ち着いて。ね」
「落ち着いてますよ。私はすっごく冷静です」
じりじりと下がっていくルゼファを笑顔のまま追い詰めていくるびぃ
ちなみに、ここはジプシーの集落。崖の上にあります。
「ふふふ、後がないですよ」
「ぁぁ・・わわ・・・ご、ごめんなさ〜い!!!」
「神様も仰っています。これは試練なのです!さあ、行きますよ〜」
振りかぶったクラブがぼこんとルゼファの頭に炸裂!
ぽてっと意識を失ったルゼファであった。
「ちゃんと加減してありますからすぐ起きますよ」
ほどなくして目を覚ましたルゼファから、この件に関する記憶が飛んだのは
置いておくとしよう・・・
「んでわ、まずは十字架を探すってとこからはじめますかね」
「「「おー!」」」
その後の物語はまた、別の機会に語るとしよう・・・


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あとがき
あら?あとがき担当は初めてですわね。
というわけで今回のあとがきは私るびぃが担当しますね。
今回のお話はエンジュと旅団の合同企画ということで始めさせて頂きました。
こちら側のお話は私が所属するシィルツ旅団側のお話です。
普段のフィリア版とは違った感じが出ていると思いますが、その辺はご容赦くださいませ。
さて、この話、途中でおわったっぽい出来ですが、この話はここで終わらせておくのが
無難だと判断させていただきました。
実際、旅団のメンバーを知っている人なら・・・
まあ、ぜんぜん違うぞ〜と笑ってみてくださいなw
一応伏線も張りましたので、続きを書くことは可能なので
今後のシィルツ旅団の活躍にもご期待ください。
もちろんエンジュ側のフィリアの活躍にもご期待くださいねw

さて、本編の話を少ししましょうか。
このお話はタイタンの封印をするというクエストを終了した所から始まっております。
無事にタイタンの封印に成功した一行は、お疲れ様の意味を込めて酒場で祝杯を挙げております。
もちろん私は飲んでおりませんが。
他の面々は大いに盛り上がっておりましたよw
ギルドが二つということもあって、実際にどのように動かそうか迷っていましたが、
やはり、別々の方が動きやすいだろうということで、こういった形にしました。
ネタとしましては作成当時私が途中だったレイウークの調査クエストがあったものですから
そちらを元に話を構築してみました。
依頼を聞いたけど、肝心の部分を聞き逃すとかはまさに私ですね〜。
その後ルゼ君をぼこったりしてますが、実際はそんなことはないですからね〜w
誤解なさらないでくださいね。
旅団のメンバーも実は意外と動かしやすかったです。
今後も作っていけたらな〜と思うですよ。
(まだ出てきてないメンバーが大勢いますから旅団は)
機会があればぜひ作ってみたいですね。

でわ、簡単ですが、今回はこの辺で。
最後に、お世話になった沢山の方にありがとうございますと言わせてもらって
今回のあとがきを閉めようと思います。
沢山のご協力ありがとうございました。
今後もよろしくお願いいたします。