1965年:東京都生まれ。横浜市青葉区出身。
1987年:横浜国立大学工学部建築学科卒業。
1995年:瀧浩明建築計画事務所設立。
2004年:瀧浩明建築計画事務所/studio blankに改称。
2025年:同事務所、設計監理部門休眠予定。
1990年:SDレビュー入選(仙舎)。
1997年:新建築住宅特集掲載(世田谷S邸)。
2006年:渡辺篤史の建もの探訪放映(杉並S2邸)。
2021年:BUILD Architecture Awards Best Wooden
Residence(世田谷S邸ほか)。
2023年:designboom掲載(アトリエ青葉台)。
1.建築を始めたきっかけは?
まず美術が好きでした。
また幼い頃から様々な空間に魅力を感じていまして、
自分がつくるとしたらどこまでできるのか、腕試しに。
2.建築に対する基本的な姿勢は?
施主の要望を満たした上で、
自立した「箱」をつくることを心がけています。
かゆいところまでつくりこまれた「間取り」ではなく、
住まい手が空間と対話しながら工夫を重ね、
生活をつくりあげていけるような強い器をつくること。
そしてその空間をどう変化をつけてつなげていくかを考えます。
3.建築を引き受ける条件は?
まず当方の作風を好んでくれること。
基本的に打診があった場合、一度お話を伺い、場合によっては簡単なプランを提示します。
その上でお互いの求めるものが大きく食い違わない限り、お受けするようにしています。
基本プランがおおまかに固まった段階で、設計契約を交させていただきます。
4.作品の特徴とその理由
シンプルで建物らしからぬ家。伸びやかで変化に富んだ品のある空間。
素材感を生かし、モノトーン以外の色はあまり使いません。
slow・silent・stoic。
5.得意分野
住宅、別荘、集合住宅等。
6.家づくりで大切なことは何ですか?
自分にとって本当に大切なものは何かを見極めることと、
設計者を信頼することだと思います。
7.設計監理料はどのくらいですか?
木造の場合、総工費の10%としています。
構造設計が必要な鉄骨造、鉄筋コンクリート造では13%となります。
また、最低設計料を200万円と設定しています。
8.設計期間はどのくらいですか?
最初のお打合せから着工まで、半年ほど頂くことが多いです。
9.自由に自己紹介をお願いします。
寡黙で温厚、かつ几帳面です。
少ない仕事をこつこつとつくりあげていくことに喜びを感じます。
10.今までの家づくりの中で一番嬉しかったこと。
施主が喜んでくれたことと、住むことによって空間にまた違った深みが出たことです。
11.今声を大にしていいたいことは?
日本は社会的に保守化しているのが気にかかります。
文化という、一見無駄に見えるものにも価値を見い出し続けて欲しいです。
人と同じものではない、面白いものをつくりましょう!
12.好きな映画監督は?
ロシアの故Andrei Tarkovsky。
「Nostalghia」は全編を通して映像と音声の美しさが際立っています。
「Stalker」では人間の欲というものを辛辣な視線で描いています。
13.好きなミュージシャンは?
1960-70年代のprogressive rock。
・King Crimson「Lark's Tongues in Aspic」
・Pink Floyd「Atom Heart Mother」
・Yes「Close to the Edge」
1990年代のalternative rock。
Nirvana、Radiohead、Audioslaveなど。
Red Hot Chili Peppersも嫌いではない。
14.好きな作家は?
美術家ですが河原温。
Date Paintingsという作品で有名な作家で、
プロフィール等は一切あかされていない、神秘的存在です。
その作品は人生というものを突きはなして見せてくれる、
ちょっと哲学的なものですが、自分の人生を少し救ってくれました。
15.好きな色は?
黒。最近はオレンジも。更に今はブルーグレー。
服は黒と決めていた時期がありましたが、白い服のほうが人当たりがよく感じられるようなので
今は明るい色にシフトしてきつつあります。
16.好きな国は?
スペイン。
陽気でイタリアほど攻撃的でなく、ポルトガルほどおとなしくないあたりが丁度いいです。
オリーブ畑がどこまでも続く美しい風景も気にいっています。
ただ、本当に好きな国、過ごしやすい国はやはり日本。
17.建築家になっていなかったら、何をしていると思いますか?
大学は機械学科も受けたので、もしそちらに進んだならば、
目指すのは宇宙船かロボットの研究者だったと思います。
難易度高いですけど。
18.血液型は何ですか?
A型。
しかしO型に近いとかB型に近いとか占いの結果は様々です。
1.現在の私が設計の軸に置いているものは空間であり、建築を空間構成体と捉えています。
建築の世界では空間という言葉が頻繁に用いられますが、
設計する際にそれを十分に意識して構成要素にまで還元し、その質を高め、
可能性を探っている建築家はごく少数で、まだまだ開発する余地があるものだと考えています。
空間は五感で感じ取る「あいている」部分の総称であり、また設計とは線を引く、
つまり区切り、秩序を与えるという行為であり、それにより空間が明確化して増殖していきます。
私はまず区分された内-外をともに空間として認識し、
両者が豊かなものとなるような解決方法を考えています。
さらに内部空間については、その3次元における様々な展開バリエーションをスタディしており、
その一部が「9000×9000 section game」 というイラストレーションです。
具体的な現場では与えられた条件のなかで空間の可能性を追及し、
そのなかで最も強度を持ち、シークエンス(連続する場面)が豊かで
身体感覚にまで訴えかけてくるような案を採用するようにしており、
情報や映像などヴァーチャルな世界の占める比重が高まっている現代人にとって、
そこがリアルな時間を取り戻せる場となりえれば、と考えています。
2.建築はそれそのものが空間の枠である、
というものが自分の計画の特徴と言えるかもしれません。
写真はSam Francisというアメリカの画家の作品で
カンバス中央には何も描かず、周囲にわずかにペイントされた、
いわば余白を主題にした、発想の転換のある絵画ですが、
まだ自分が10代の頃からそのユニークな考えには関心を持っていました。
自分の設計した住宅でいうと、s邸、o邸はそのまんまかもしれません。
一気に把握できない長細い内部空間というのも好きなのです。
それが旋回しながら展開していく。
しかし敷地条件が厳しくなってくると図と地を分ける余裕がなくなり
枠の象徴としてかぎかっこ=L型平面(断面)を主題として採用しています。
例を挙げるとt邸、s2邸の平面はマクロで見るとL字型になっていて
なかでもt邸はそれを徹底しており、平面、断面で5つの
L型空間が連続して、枠と中身、図と地が絡み合って存在しています。
非常にわかり辛い設計ですが、自宅に持ってきて正解でした。
竣工後7年経った今でも新鮮な気持ちで空間を眺めるときがあります。