1. 番長方面
  2. Dulcet Wind
  3. ドルシネア・ダイアリィ 第四部・目次

Last Modified : 21 JULY 2004


家具に収める思い

まずはジュノのヘブンスコープでログインし、売上げのチェックだ。前日出品しておいたミスラ風海の幸串焼きが売れていた。一ダース7,000ギルで三ダース、計21,000ギル。なかなかに大きい売上げだ。同じ串焼きでもミスラ風山の幸串焼きとは三倍近い価格の差がある。これを必要とするパーティの盾役とかは大変だなぁと思う。

海串に加えて、カモミールティーもきっちり売れていた。こちらは吟遊詩人が飲む物と聞く。ダースで出品出来ないのがもどかしい。空いた出品枠に、また海串とお茶を出しておく。これも翌日には捌けていた。

一方、サンドリア在住となったヌナイの方では、調理素材の調達をしながら主に山串によるお金稼ぎを行っている。ウィンダスと較べると売値は微妙に下がるのだが、その分回転は速い。薄利多売というところだ。

そしてウィンダスのドルシネアは、連日パイ作り。バターを作ってパイ生地を練って。下ごしらえを必要とするのが面倒だが、需要の高い食べ物だから辛抱だ。スキルも上げられるしね。ヘブンスコープから送られてきた売上げを受け取って、所持金は10万ギルを久し振りに超えた。

モグハウスでパイを焼くのにも少々飽きた。材料を持って自宅を出る。競売所の宅配NPCに、配達物を託す。族長山串六本を、先日ジュノへの初上京を果たしたヒューム戦士・Riさんに。あの時手持ちの族長一本しか渡せなかった。ちょいと遅くなってしまったが、改めて送らせて貰おう。頑張っているタルタルモンクのGzさんには、族長海串にメッセージを添えて。

それからサルタバルタに出て、思い入れの強い丘の上の木まで足を運んだ。草原や川を見下ろすその木の根元にしゃがみ込む。

画像・草原で調理。
ちょいと趣向を変えて、野外でパイ作り。

火曜日の赤い満月が見える。調理にはもってこいの月齢……の筈。調理スキルはちょこちょこと上がり、この日は最終的に84まで上げられた。

エルヴァーン釣り師のCcさんにTellを送って、収納家具のことについて尋ねてみた。というのも、つい先日に行われた大型のバージョンアップで、今まで殆ど存在価値の無かった家具に「アイテムの収納」という付加価値が付けられたからだ。これまでの家具はモグハウスに設置できるだけの趣味のアイテムで、貴重なアイテム保有数を圧迫するだけのお荷物であった。やっと収納という家具本来の働きを持つようになったのだ。木工職人達の腕がようやく発揮される時が来たと言えるだろう。

とは言え、どの家具がどの程度の収納能力を持つかを私は知らない。そこでまずCcさんに聞いてみた訳だ。だがCcさんも詳しいことは知らないようだ。そこで競売所に足を運び、家具の取引記録を眺めてみる。見たところ、「チェスト」という家具が頻繁に取り引きされている。相場も2,500ギルと、そこそこ手頃だ。意を決してこれを購入してみる。

自宅に戻り、これを「レイアウト」コマンドで部屋に設置する。

画像・家具「チェスト」。
ベッドと反対側の壁際にチェストを設置。初めての収納用具です。

設置してから「収納家具」を見てみると、どうやら二つのアイテムが入れられるようだ。なるほど、一つの家具に二つ入るなら、全体としては一つアイテム保有数が増える訳だな。ただ、家具に入れているアイテムは、他国のレンタルハウスにいる時は取り出せないという。あまり頻繁に出し入れ物は入れておかない方がいいだろう。

その条件を満たす物を求めて金庫を探っていると、ふと目に留まる物があった。数本のオレンジジュース。それらは以前知り合いが調理を始めた際に、嬉しそうに贈ってくれた物だった。だがそれを送ってくれた人の殆どとは、今はもう言葉を交わさない。

そうなんだよな、あの人も送ってくれたんだよな。だったら分かってくれると思うんだ。「もう送らないで」と言われた時にどう思うかを、どんなに辛いかを……。やり切れなさが胸を包む。

だがそれでも、それらを今も捨てられない。私にとってはかけがえの無い宝物なのだ。それらをそっと、チェストにしまい込む。

後々、この時しでかした家具についての勘違いが、ちょいとした悲劇を生むことになる。


風に乗りて歩むもの

翌日、サンドリアのヌナイ起床。セルビナミルクを買いに出掛けたのだが、あいにく物産店は営業していなかった。当該リージョンがバストゥークの支配下にあったのだ。参ったな、ミルクが無いとバターを作れない。仕方なくレンタルハウスへと戻る最中、近場で行われた合成のログに、目新しい料理が表示されるのに気が付いた。「殿様おにぎり」である。ほほう、「おにぎり」「鮭おにぎり」に続く第三のおにぎりが追加されていたのか。それにしても「殿様」ってまた大仰な。一体何が具に入っているのだろうか。

続いてウィンダスのドルシネアが起床。取りあえず残ったミルクでバターを作る。そしてそれを用いてカボチャのパイを……焼こうとするもシナモンを切らしている。そしてシナモンの原産地であるフォルガンディ地方は、現在獣人支配となっていた。シナモン買えないじゃない。困った、どうしよう。

今日はプレイ時間を結構取ることが出来る。そこでミルクの買い出しにちょいと遠出をすることにした。ここのところ町の中に篭っていてばかりだし、羽を伸ばしたい気分だね。バザーでブラックペッパーを購入し、久し振りにキリンの肉のステーキを焼く。派手なエフェクトで、ハイクオリティ品・ワイルドステーキが出来た。チョコボを借りず、徒歩でウィンダスを出る。のんびり歩いて、まずは港町マウラを目指そう。ちょいとしたピクニック気分である。

サルタバルタを北上していくと、縦に伸びる川の中でマンドラゴラと死闘を繰り広げるタルタルを見掛けた。サーチを掛けると、レベル7の黒魔道士である。回復魔法・ケアルの準備をしておいたが、それを使う前に彼女は勝利した。防御魔法・プロテスを掛けてあげると、お辞儀が返ってくる。その場を発ちながら感情表現コマンド「/cheer」で応援すると、飛び跳ねて喜んでいた。彼女からTellが届く。
「Thanx!!」
「np Good luck!」(np = no problemの略)と返すと、
「C.U. ^^」(C.U. = see you)と日本式の笑顔が戻ってきた。

ブブリム半島に入ると、いきなり死体に出迎えられた。少し進むと今度は「help」と叫びながらゴブリンから逃げる冒険者と鉢合わせる。これはケアルIIで救助。やれやれ、今日のブブリムは物騒だな、とか思う。

画像・久し振りの狩り。
マウラ前まで来て久し振りに狩りがしたくなり、周辺のトリと戦ってみる。

更にキリンにもケンカを吹っかけてみる。経験値を18ずつゲット。あぁ、狩りってこんな感じだったよねぇ。懐かしさに浸っていると、マウラ西側の木々の向こうから、二羽のトリに襲われている竜騎士ガルカが子竜と一緒に逃げて来た。委細承知! 片方のトリに弱体魔法・ディアを撃ち込んで引き剥がす。ドルシネアがトリを倒している間に、竜騎士ガルカも体制を立て直したようだ。瀕死になりつつ、ガルカさんも何とか勝利。やれやれ、無事で何より。安心してマウラに入ると、正に船が出港する寸前であった。とんずらで飛び込む。

画像・白猫集合の図。
これは前日の船の様子。ドル猫と同じ髪型のミスラが偶然乗り合わせた。

セルビナに到着。ミルクを五ダース買い込んで、バストゥークを目指すべくセルビナを出た。ついでに食事のステーキに食い付く。走り出したらバストゥークまで行くのが面倒になったので、やっぱりサンドリアに向かうことにした。やっぱりグスタベルグが長過ぎるんだよねぇ、バスは。

砂丘を駆け抜け、ラテーヌ高原へ。折りしも風が吹き出した。これはエアーエレメンタル狩りのチャンスです。期待しながら先へと進むと、案の定夜闇にエアーエレメンタルがくるくると回転している姿が浮かび上がった。風の塊いただきーい! 喜び勇んで走り寄る。

と、エレメンタルを挟んで向かいにある段差を、一人のタルタルが駆け下りてくるのが見えた。あ、もしかしてあの子もエアエレ狙ってる? こりゃ残念、譲るとするか。エレメンタルを目の前にして、剣を握る手の力をすっと緩めた。だが駆け寄ってきたタルタルの行動は、こちらの予想外のものだった。

「oooh! pretty!!」
そう言って飛び上がって喜ぶタルタル。そして何か色々喋りながら、楽しそうにくるくるとエレメンタルの周りを駆け回り始めた。どうやらエレメンタルを倒す気は毛頭無いらしい。だが何てことだ。こんなに喜んでいる子を前にして、ばっさり叩き切る訳にもいかない。風の塊欲しいのに、これでは手を出せない……うううう。

悠然と回転するエレメンタル。その周りをはしゃいで廻るタルタル。そしてすぐそばで立ったまま、その様子を少し引きつった笑顔で見守るドル猫。はしゃぐのはいいがタルタル、ここで魔法を唱えたりするんじゃないぞ? 多分知らないんじゃないかと思うが、エレメンタルは魔法に反応して攻撃して来るんだからな?

ひとしきり楽しんだ後で、タルタルはこの場を後にした。去り際にエレメンタルに手を振って、お別れをしていくのがまた愛らしい。タルタルの姿が小さくなって……やがて視界から消えた。行ったな? もう行ってしまったな? もうこっちは見てないね? じゃあもうオッケーだよね?

ぐっとミスランシミターを握って、エレメンタルに向き直るドルシネア。と、その瞬間、ラテーヌに吹く風が途絶えた。去っていく風に乗って行くように、ふっと姿を消すエアーエレメンタル。

尻尾と耳を力なく倒し、やるせなさに身を振るわせつつ、ドルシネアは改めてサンドリアへと足を向けた。


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