Last Modified : 12 JULY 2004
From Dulcinea's diary Part.4 "March for the Dulcet Wind".
ログインすると、ヒューム戦士のTkさんから、先日送った族長専用山の幸串焼きに対するお礼のメッセージが届いていた。そっちは嬉しいのだが、ジュノの競売所を覗くとその族長山串の相場が暴落していて、こっちでへこむ。何しろ一ダース8,000ギルを切っているのである。ここ暫く競売を見る暇も無く、売れずに返却された族長山串を受け取るくらいしか出来なかったのだが、なるほど相場が1,000ギル以上も下がれば売れない訳だ。大きな儲け口が失われてしまった。残念だ。
ドルシネア、ウィンダスの自宅に起床。とにかく時間の無い今は、串焼きを売るしかお金稼ぎの手段が無い。モグハウスの中でごんごんと串焼きを焼く。売る分を作り終えると、今度は調理ギルドの売店まで行き、オレンジクーヘンを焼いて調理のスキル上げだ。ひたすら焼く。スキルめきめきアップ。もう少しでスキル80というところで、ギルドの小麦粉が売り切れた。残念ここまで。
今夜も時間が無いので、ウィンダスの町から出ることは叶わない。あと出来るのは、競売とバザーのチェックくらいだ。なるべくバザーから物を買うように心掛ける。その方が生活観や人との繋がりを感じられるからだ。元々FFXIをやるまでは、MMORPGでNPCから物を買うということがあるとは、思ってもいなかった。物の売買はプレイヤー間だけで行われるものだと思っていたからだ。
ストーリーだって、各人それぞれがそれぞれの話を紡ぐもの。そう思っていたから、NPCたちが語るクエストやミッションの存在など、考えもしなかった。「オフラインのRPGでもあるまいし」と、誰かが作ったお仕着せの、決まりきったお話に存在意義は感じられなかった。それは基本的には、今もそうだ。だって我々は、舞台を見ているのではない。舞台に立っているのだから。
フレンドをサーチすると、タルタルモンクのGzさんがレベル上げのパーティでリーダをやっているようだ。自分でリーダを務めなければ、ひ弱なタルタルモンクではパーティに加えて貰えない。よく聞くそういうことなのかも知れない。競売で素材を揃えてミスラ風海の幸串焼きを作る。メッセージを添えて、送っておいた。
そうこうしている内に日が変わり、調理ギルドに小麦粉が入荷した。早速ギルドでオレンジクーヘン作りを再開する。そこに外から、あるNPCの居場所を尋ねる英語のShoutが聞こえてきた。もう一台のPCでそのNPCについて調べ、質問者にTellで場所を伝える。水の区にある新聞社のNPCだ。水の区は広くてマップが二つに分かれているから厄介である。その辺を考慮し、「WindurstWater "South"」と強調しておいた。ちゃんと伝わるといいけれど。
調理スキル、遂に80に到達。余ったサルタオレンジでジュースを絞る。おめでとう、ドルシネア。そう言って一人乾杯でお祝いする。そういえば、今日はドル猫がヴァナ・ディールに立ってちょうど一年、記念の日でもあったなぁ。マンドラゴラと相打ちになって、もう一年か……。感慨に耽っていると、そこに先程の北米冒険者からTellが届いた。
『彼はどの近くにいますか?』
う、やっぱりうまく伝わらなかったか? 私もその周辺を正確に覚えている訳ではないし、口頭ではうまく説明しにくい。迷いつつ、取り合えずその場所へ向かってみることにした。途中出会えれば、そこへ連れて行くことも出来るだろう。ウィンダス港から北上して水の区へ移動する。
道中に彼の姿を見つけられないまま新聞社へ飛び込むと、件のNPCの前に一人の男性ヒュームの姿があった。名前を見ると、先程の北米冒険者だ。ああ、見付けられたのか。後ろに立つドルシネアに気付いた彼が、こちらに振り向いて笑った。
「I found it」「hehe」
この「hehe」というのをそのまま「ヘヘ」と日本風に受け止めると、なんとなくこすずるい印象を受ける笑い方になる。だが本来のニュアンスとしては、「ハハ」という軽いものであるそうだ。「ok ok」と返して、彼ににやりと笑ってみせる。ぺこりとお辞儀をしてくれた彼に改めて応援を返して、新聞社を後にした。
ログアウト間際に、Gzさんからメッセージ。狩りを無事に終えたらしい。
「今の目標は48から装備可能なパタです。あと1レベル、頑張るぞ〜!」
随分元気な文面になんとなく安堵しながら、ドルシネアはモグハウスのベッドに身を沈めた。ドルシネア、一歳。そして残り、一ヶ月。