1. 番長方面
  2. Dulcet Wind
  3. ドルシネア・ダイアリィ 第四部・目次

Last Modified : 23 JUNE 2004


ドル猫、パトロール隊員になる

ドルシネア、ウィンダスに起床。モグハウスを出ると、「kelp」の入手先を問う英語のShoutが聞こえてきた。kelpって何だ? 分からない。辞書ソフトを起動して検索……「昆布」と出た。昆布だって? 何だそりゃ、そんな物ヴァナ・ディールには無いぞ。暫く考えて、はたと思い付く。「海苔」のことか? 「パムタム海苔」、そういうアイテムならある。でも海苔を手に入れてどうするのだ。おにぎりでも握るつもりか? まさかな……。

次に聞こえたのはリンクシェルが売られている場所を尋ねるShoutだ。ウィンダス港のどこどこだ、とマップの座標も示してTellすると、「thanks much =)」というお礼が返ってきた。頭を左に倒して見る顔文字もまた新鮮だ。別の人がShoutで同じように回答していた。

競売所で弾丸を購入し、それを銃にこめるとサルタバルタに出た。今日はちょいとこの辺をパトロールすることにしたのだ。

国家間の領土争いであるコンクェスト。その今週分の結果が出て、サンドリア近接地域であるロンフォール地方は「獣人支配」になっていた。その地域で冒険者が余りにも多く死んでしまい、サンドリア、バストゥーク、そしてウィンダスの三国では支配出来なかったのだ。これは数日前から参入した北米の冒険者が原因だ。彼らは初心者である。自分と敵との強さの差を測りかねているのは、致し方の無いことだ。

加えて彼ら冒険者の数がとても多い。この時試しにサルタバルタをサーチしてみると、東サルタが64人、西サルタには65人のプレイヤーがいた。北米ユーザに人気があるというサンドリア。そこを出てすぐのエリアである西ロンフォールに至っては、なんと123人ものプレイヤーが引っ掛かった。彼らが何度か死ねば、そりゃあ獣人支配にもなるだろう。今回は何とかウィンダス支配となったサルタバルタも、現在は既に獣人の勢力がウィンダスのそれより圧倒的に上回っていた。来週のコンクェストでは、ここも獣人の手に落ちるだろう。

獣人支配となって痛いのは、その地域のモンスターがクリスタルを落とさなくなることだ。クリスタルは初めて間もない冒険者にとって、競売所で売られる貴重な収入源である。また、何より合成の基点となるアイテムであり、これが無くなるとヴァナ・ディールの生産活動は停止する。ロンフォール地方といえばオークから得られる炎のクリスタルの巨大産出地域であり……そこが獣人支配になるということは、高騰続く炎クリの供給にまた大きなダメージが加わったということだ。これはまた更なる高騰となるかもしれない。ああー、悩ましい。

未だ未熟故にミスしてしまう北米の冒険者。彼らに唾を吐きかけるのではなく、出来る分だけフォローに廻ろうと思う。狩りをしに行く時間は取られないが、周辺のパトロールくらいなら時間を取ることが出来るし、また有意義だろう。そういう理由から、今日のパトロールと相成った。

一人で戦っている低レベル冒険者達に、ケアルやプロテスを掛けて応援する。助けられることもあるのだが、しかし間に合わずに死を看取る羽目になる機会の方が多いような気がする。駆け寄る最中にばったりと倒れるタルタル。ケアルを掛けようか悩んでいたら、予想外の強烈な一撃で見殺しにしてしまったりもする。走った先の草むらに、這いつくばる死体と彼を屠ったウサギを見つけたりもした。なかなか力になれなくて、口惜しい。

死んでいるのは北米ユーザだけではない。サポートジョブの付いた、それなりに熟練であろう日本人冒険者も死んでいる。強過ぎる敵を相手にわたわたと戦うタルタル二名をこちらも二人掛りで助けたら、去り際に「ありがとうございましたー!」とShoutされ、「叫ぶのかい! そして日本人だったんかい!」と驚いたこともあった。その無茶っぷりから北米の冒険者かと思っていたが、そうとは全く限らないのだ。

西サルタバルタのアウトポスト(前哨基地)付近には、多くの北米冒険者の姿が見られた。やはり基地ということで安全であると思ってしまうのかもしれない。もっとも、そんなことは全く無く、NPCのガードも冒険者を守ってはくれない役立たずである。

しばしその周辺をうろついて様子を窺う。一人の男エルヴァーンにケアルを施したところ、トレードを申し込まれた。彼から渡されたのは「スニーク」の魔法スクロール。それはどうやらケアルのお礼ということらしい。持ち歩いていた食べ物「野兎のグリル」を代わりに渡そうとしたが、何故か突っ返された。戦士である彼向きの食事なんだが。

立ち去ろうとする彼を呼び止め、もう一度グリルを渡してその効力を簡単に教えた。
「take it for STR up」
どうやって食べるのか迷う彼に「use it」と伝えると、彼の身体がごおうと炎のエフェクトに包まれた。『おお、なるほど』と喜ぶ彼。ついでにバザーの使い方も教えておく。

バザーには通常の半額でグリルやゆで卵を並べていた。そしてバザーコメントに英語でその効力を書いておいたのだが、残念ながら全くといっていいほど売れなかった。売れても買っていったのは殆ど日本人プレイヤーであったと思う。食事の有効性もまだ知らないのだろうし、そもそもそこに回すお金も持っていないのだろう。そういえば、私がちゃんと食事するようになったのは、プレイを始めて何日経った頃であったかな……。

暫く後でウィンダスに戻った際、先程の彼に貰ったスニークをNPCのお店に売却した。それは512ギルという、思いもかけない比較的高い額で売れた。それならばと、その売上に加えて焼いたグリルのハイクオリティ品を宅配NPCに託す。そして先程のエルヴァーンにTellを送った。

『さっき貰ったスクロールは512ギルで売れたよ』
『それはナイスだ』
『貴方に送っておいたから、帰宅したらポストを確認しておいて』
『どうも有り難う』

こちらこそ、刺激ある楽しい一時をどうも有り難う。そして「good luck」。


どたばたのNewbie's Area

西サルタバルタのアウトポストに座り込み、辺りをのんびりと眺めていると、時折そばに冒険者の姿がぽんっと湧く。そしてたったかと走って何処かへ行く。暫くするとまたぽんっと別の冒険者が湧いて、何処かへと走り去っていく。あぁ、そういえばアウトポストに勤務するNPCガードに話し掛ければ、ここでホームポイントを設定することが出来るのだっけ。つまりぽこぽこ湧く冒険者は何処かで死んでここに戻ってきている訳で……順調に獣人支配が進んでいるということな訳なのね。ああー。

体力を減らした冒険者がアウトポスト、ドルシネアのそばまでやって来た。どれ、ちょいと回復を手伝ってやろうかと立ち上がると、その冒険者はケアルを唱え始めた。あぁ、自分で回復するのか……と思いきや、そのケアルはドルシネアに掛かった。ドルシネアの体力は満タンで傷一つない。魔法の撃ち間違えということだろう。ケアルIIで返礼。

ドルシネアを座らせたまま、ちょいと席を外していた。戻ってきてログを確認すると、ドルシネアに対する英語の呼び掛けが残っていた。
『ハイ、ドルシネア! 貴方の名前の横にある袋のマークは何ですか?』
すると別の者がそれに答えている。
『あれはバザーだ。彼女は何かを売りに出しているんだ』
『ふむむ、そうなんだ』
『さ、行こう!』
『ヤー!』

始めたばかりの彼らは、まだ知らないことだらけであるだろう。知らないことを「知る」というのは、とても楽しいことだ。私がかれこれ十ヶ月掛けて知ってきたことを、これから彼らも知っていくのだろう。

彼らの会話はまだSay形式で行われるのが普通のようだ。アウトポストに寄りに来る人達の声が頻繁に聞こえる。助け合う声。喜びの声。
『Cure2まであと2Lvだ! awesome!!』
彼らの姿は今の私にはとても眩しい。楽しそうで羨ましいとか思う。

チョコボでサンドリアへと移動する。サンドリアに辿り着く前に、チョコボを降りた。

画像・獣人旗。
獣人支配となったロンフォール。掲げられた獣人旗を前に「オーマイゴッド」。

この少し前から、サンドリアにいる赤魔道士エルヴァーンのVnさんとTellで会話していた。そしてどうやらこちら、ラテーヌ高原方面へと向かってくるらしい。チョコボを降りたのは、ここで彼女を待ち受けるためであった。座って待っていると、もやの向こうから長身の彼女の影が近付いてきた。

画像・Vnさんと。
フィッシャ装備でお揃いのVnさんとドル猫。

直に会うのは久し振りかも。草の上に座り込んで、色々お話しする。ミスラの可愛らしさもさることながら、「/sit」で座ったエルヴァーンの艶やかさは破壊力抜群だ。娘二人の歓談を、思わず立ち止まって眺める男が一人。手を振ってやると、嬉しそうに手を振り返す。「お知り合いですか?」と尋ねるVnさんに、「いーや、全然」「サービスサービス」と返した。

Vnさんと別れ、西ロンフォールをサンドリアに向け走っている最中、アウトポストまでやってきたところでオークに追われる北米冒険者を見つけた。彼らの後ろから、助けようと走ってくるタルタルの姿も見える。私も救助しようと身構えるのだが、北米冒険者が逃げようか戦いを続けようか迷っているようで、右往左往してどうにも落ち着かない。そしてそれを追うオークもうろうろしてうまく殴れない。混迷の中、いきなり英語のTellまでが舞い込んできた。『ちょっと質問があるのですが、いいでしょうか?』……ぎゃー!

向こうのプレイヤーには早く返答しないと、早々に諦めて去ってしまう傾向がある。『英語は使えますか』という問いに慌てて『赤ちゃんレベルなら』と答える。『もし私の言う言葉が分からなかったら、無視してください』と断りがあった上で、『サブジョブのクエストはどこで受けられますか?』と問われた。サブジョブ? あぁ、サポートジョブのことか。

質問者をサーチすると、まだレベル10代前半だ。まだ該当クエストは受けられない。『サポートジョブはレベル18からですよ』と答えると、『いえ、レベルのことは聞いていません』と言われた。あぁ、そうだ。そりゃそうだ。「クエストはどこで受けられるか」という質問だった。気を利かせて答えたつもりだったが、それは全く正しくなかったな。反省しつつ『それはセルビナかマウラで受けられます』と言い直した。『分かりました、有難う』 やれやれ、なんとかうまく返すことが出来たようだ。

と、視線をログウィンドウから周辺の様子に戻すと……オークに追われていた北米冒険者は、既にお亡くなりになっていた。ああぁ……。残ったオークを始末した救助者のタルタル詩人さんに、こちらで起こっていた事態を説明する。
「すいません、英語の問い合わせがきていたので、フォロー出来ませんでした^^;」
「あぁ、やっぱりそういうことでしたか^^」
二人しゃがみこみヒーリングしながら、ロンフォールやサルタバルタの状況……死者続出、進む獣人支配について話し合う。
「この状況ではしょうがないのかな」と詩人さん。
「ですね。出来る限りフォローはしようかと」
「お互い頑張りましょう」
と、手を振り合って分かれた。

サンドリアにて、サーモンのムニエル作り。折りしも火曜日。調理スキルはぐんぐん上がって、71になった。


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