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  3. ドルシネア・ダイアリィ 第四部・目次

Last Modified : 22 JUNE 2004


ヘブンスコープの単身赴任

サブキャラクターで、主にドルシネアの釣果や調理・裁縫以外の合成素材を管理しているガルカ、ヘブンスコープ。彼でジュノを目指した。ゴールデンウィーク以来の、倉庫キャラによるジュノ上京である。

十一月以降の業務の多忙で、ログイン時間が減るのは明らかだった。ドルシネアの最終目標である「マロングラッセの作成」までは、まだまだ調理スキルが必要だ。本当は調理以外にも別のスキルを上げておくつもりだったが、そんな時間を取ることは出来ないだろう。年内までにマロングラッセを作るには、調理の方に出来る限り時間を当てなければならない。

調理にはお金が掛かる。お金を稼ぐには、素材刈り等の時間がやはりそれ相当必要だ。その時間を出来るだけ軽減するため、新たなお金稼ぎの手段を採用することにした。「ミスラ風山の幸串焼き」等、需要の高い料理の大量販売である。これであればドルシネアは時間の掛かる移動や狩りをする必要なく、大量に生産することが出来る。そしてそれを買い手の多いジュノの競売に流せば、ログインできない間に売られるであろうという考えだ。こういったお金儲けの為の調理は私自身の望むところではない。だが、そんなことを言っていられる状況でもないのである。

調理素材調達の都合を考えると、ドルシネアは三国……主にウィンダスかサンドリアに在住したい。そこでヘブンスコープにジュノへの駐在任務が告げられたのだ。

ウィンダスからタロンギ大峡谷、メリファト山地、そしてソロムグ丘陵を戦士レベル4のヘブンスコープで走り抜ける。以前の上京での反省から、ちゃんと周辺地図は購入済みだ。そしてあれから随分経った。敵に絡まれる、絡まれないという距離感は、大体掴めている。すんなりとジュノに到着。早速ドルシネアから山串を受け取り、競売所へと出品する。半日も経つと、山串はぽんぽんと売れ始めた。

ジュノをヘブンスコープで走っていると、リンクシェルのメンバー、エルヴァーン釣り師・Ccさん、ミスラモンクのStさん、そしてにタルタル赤魔道士のRmさんに出会った。座り込んで暫しお話しする。

画像・ヘブンスコープ、ジュノにて歓談する。
ガルカのあぐらにタルタルはぴったりはまります。
画像・Ccさんの胴着姿。
Stさん自慢の胴着をCcさんが借りて、袖を通してみたりする。

それにしてもジュノは関税、競売への出品手数料が馬鹿高い。ジュノの混雑を解消するために運営側・スクウェアエニックスが執った政策であるのだが、結局それはジュノだけ物価が上がるという状況を生み出しただけだった。関税等の掛からない、トレードによる直接販売を使う売人も登場した。便利な場所を使いにくくするというマイナス方面での変更は、運営側がよく使う手段だ。しかしそれは多くの場合、プレイヤーのストレスを増大させる方向にしか作用していないように見える。

販売用の山串をドルシネアで作ると、そこそこの確率でハイクオリティ品の「族長専用山の幸串焼き」が出来上がる。これを競売所で売ってお金に換えたいが、ジュノの競売では一ダース10,000ギルを超える相場で、殆ど売れていないようだ。このままでは売れない族長山串がたまってしまう。どうにか、どうにかしなければ……。赴任先で早速大きな問題に直面するヘブンスコープであった。


徘徊するかぼちゃ達

大忙しだった前日に引き続き、今日もドルシネアは競売前でせんべいを焼く。だが、昨夜程の激しい売れ方はしなかった。町を行く多くの冒険者が既にかぼちゃの帽子を被っている。一日である程度行き渡ってしまったのだろう。また、お菓子だけではなく、果物をNPCに渡してもいいことが判明していた。果物は各地の物産品店で安く大量に手に入れられる。わざわざ調理師のバザーを利用する必要もないということだ。……プレイヤー同士の交流の為に、NPCから得られないようにしておけばいいのにと、運営側に対して不満に思う。

知り合いのRnさんとTkさんが、サブキャラのタルタルでアイテムを得ようとウィンダスを走り回っていた。せんべいの売れ行きもそれほどではないから、そろそろ私もアイテムゲットに行ってみますか。そう思い、お二人と合流することにした。

三人でウィンダス・水の区のお店や徘徊する仮装NPCに、アイテムをトレードして廻る。ドルシネアは程なく「トリックスタッフ」をゲット。デフォルメされたコウモリの飾りが端に付いた、黒い杖だ。大した能力もない杖なのだが、問題はこれの上位アイテム「トリートスタッフ」。これには追加効果として移動魔法の「デジョン」が備えられているらしい。つまりモンスターと戦う際にトリートスタッフを装備していると、杖で殴った時にデジョンが発動し、いきなりホームポイントへワープしてしまうことがあるというのだ。

トリートスタッフはどのジョブでも装備することが出来る。だから黒魔道士以外のデジョンを使えないジョブのキャラでも、弱いモンスター相手に杖を振るっていれば瞬間的に遠くへ移動できるようになるという訳だ。これまでは貴重な戦績ポイントを使って呪符デジョンを入手するとか、テレポ屋などを利用しなければならなかった瞬間移動。移動にとにかく時間が掛かるこの世界において、トリートスタッフは革命的なアイテムということが出来るだろう。トリックスタッフなんぞより、やはりどうせならトリートスタッフが欲しいものである。よってお菓子配りは続行なのである。

画像・かぼちゃタルタルズ。
花火を使い、通りすがりの人も巻き込んで大はしゃぎ。

それにしても、やはりタルタルを使っている時、人はいつもより羽目を外すようである。Rnさん、Tkさんのお二人は元気良く走り回り、感情表現コマンドを使って伸び伸びとはしゃぐ。見知らぬ人にちょっかいを掛けるなんて普通はないことだが、相手も相手でかぼちゃ装備のタルタルだったりすると、更に騒ぎはエスカレートだ。保護者ドル猫ももうお手上げである。

画像・かぼちゃタルタルズ、その二。
奔放なかぼちゃタルタルズと、その保護者ドルシネアの図。

このイベントのため、普段ジュノや狩り場で過ごす冒険者達も、その多くが三国へと帰国していた。そして仮装NPCを求め、町の中を走り回っている。お陰でこのハロウィン期間の町中は、随分と賑やかになっていた。

そして賑やかさに拍車を掛けていたのが、丁度多く流入してきた新規北米ユーザの存在である。これまでのヴァナ・ディールで作られた慣習を、彼らは知らない。「狭いログウィンドウの表示を流さない為、会話は周囲に声が漏れ出さないTell等を用いる」という慣習を知らない彼らは、ごく普通にSay形式、時にはShout形式で話をしていた。町中に溢れる英語の会話、呼び掛け。それは町の静かさに慣れた私には久し振りの喧騒で、とても心地よく思えた。そうだ、以前プレイしていたオンラインゲームでは、このような「耳に入って来る声」は当たり前に存在していたのだ。

ある時、『そのかぼちゃの帽子は何処で手に入るのですか?』(訳)と英語のSayで問い掛けられた。『お菓子をお化けにトレードするんです』 頭をフル回転させ、捻り出した簡単な英文でそう答える。『お菓子は何処で手に入れられますか?』と続く言葉に、『これを使って』と持っていた十枚程度のにんにくせんべいを渡した。『ありがとう』、そう言ってそのタルタルは走っていった。

だが、たった一ダース程度のお菓子では、手に入れられる確率は低い。実際、私やRnさん達も、随分多くのお菓子を消費してやっと手に入れている。それから考えると、このイベントにはお菓子を買うための結構なお金が必要になると、言えるかもしれない。そのお金を参入直後の北米ユーザが用意出来るかどうか……私には非常に難しいことに思えた。外れアイテムである花火をNPCに売却すれば、お菓子・果物を購入する資金に回すことが出来る……そのような意見を見掛けたことがあるが、始めてまだ一、二日のプレイヤーがそれ程効率的なアクションを取れるかというと、難しいのではないかと私は思う。私の場合その頃は、まだ60ギルだけを持ってうろついていただろう。

やがてドル猫も、かぼちゃの帽子こと「パンプキンヘッド」を入手した。

画像・かぼちゃドルシネア。
……似合わない。

頭の大きなタルタルだととても可愛いけれど、ミスラだと駄目だな。目元まで隠れてしまうし。やっぱりこういう可愛い系は、タルタルの独壇場かな。そんな風に思っていたら、他にも似合う種族を発見した。

画像・かぼちゃガルカ。
競売所前で出くわした、ダンディーMmさんのサブキャラガルカ。

……こ、怖えぇーッ! 頭全体がかぼちゃになってるよ! 元の顔が無いよ! だがそれがいい! はまり過ぎ! 普段渋いガルカにも、可愛い系が逆にマッチする訳だな。全く逆の組み合わせはネタになる。うむ、道理。納得。

しかしよく見ると種族によってカボチャの切り方が違うんだなぁ。ガルカは目が睨みつけるような切り込みになっているし、ミスラは鼻の形と口元が猫っぽい。こういうところ、FFXIの凝り方は凄いんだよなぁ。

Mmさんと別れた後、自宅で調理をしてから就寝した。


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