Last Modified : 11 JUNE 2004
From Dulcinea's diary Part.4 "March for the Dulcet Wind".
本日はFFXIの大規模バージョンアップが行われる日。ログインしようとすると、早速大量のファイルのダウンロードが始まる。ダウンロードが終わったと思うと続いてそれらのファイルが適用されるのを待つこととなった。暫く経ち、バージョンアップ作業がやっと終了。ヴァナ・ディールへと降り立つことが出来た。
バージョンアップ後のログインでまずすること、それは「座り込む」ことである。今日から新たなキャラクターモーションコマンド、「/sit」が追加されたのだ。戦闘にも合成にも全く係わらない、全く実利の無いただ地面に座るだけのモーション「/sit」。だがその追加はプレイヤーにとってとても大きいものと思われた。
以前プレイしていたオンラインゲーム「Phantasy Star Online」(PSO)。これも最初は、座る動作が存在していなかった。プレイヤー達はロビーに立ったまま会話を楽しんでいた。ところが続編「PSO Episode I&II」において、椅子を出して座るという動作が付け加えられる。するとどうだろう。プレイヤーの多くはちゃんと椅子に座って話し込むようになったのだ。立ちと座りの違いはなんら会話の進行に支障は無い。座ると他のアクション……手を振ったり踊ったりといった表現を使えなくなるという、むしろマイナス面もあるのだが、こぞって椅子に座る様子を見ることが出来た。
私自身も椅子に座るプレイヤーだったのだが、その要因は「座る方が自然だから」という感覚的なものだった。画面上のキャラクターに座らせるだけで、プレイヤー自身が随分リラックスできたように思える。腰を落ち着けてじっくり話す、そんな意志を持って座らせていた。そう、PSOにおける座るというアクションは、会話のための動作と言えるものだった。
FFXIではこれまでにもしゃがむ動作がありはしたが、それは「ヒーリング」という回復のための動作であった。祈るように手を顔の前に置き、目を伏せる動作である。それはリラックスしているとは到底見えないし、ましてや会話に相応しいものとは言えなかった。自分一人の精神に集中し、何より相手を見ない仕草なのだから。だが今回追加される「/sit」は違った。事前に公開された画面写真には、体育座りの様に膝を抱えて前を見る、和らいだ表情のタルタル等の姿が見られたのだ。そこには今までに無い、緊張の解れたキャラクター達の顔があった。
私がログインする際は、まずはサブキャラ達で入り倉庫管理業務を行うのが常である。まずはエルヴァーンのヌナイでログイン。「/sit」を入力する。ヌナイが腰を落とし、手を付いて……おおおおおぉぉッ!?
こりゃたまらん! カメラをぐるぐると回し、そのセクシーっぷりを充分過ぎるほど堪能した後でログアウト。エルヴァーン女性の株がぐんと上がったな、こりゃ……とか思いつつ、タルタルのトパーズトパーズでログインし直す。早速「/sit」。こちらは前述の通り体育座りだ。ただタルタルは頭が大きく、そしてその頭が微かに左右に揺れている。例えれば、夢見る純真な幼稚園児というところか。かわええ……。
次いでガルカのヘブンスコープだ。こちらはあぐら。ガルカの重厚さに相応しい、どっしりとした佇まい。うん、ガルカはこれしかないでしょう。ガルカが体育座りとか正座とかしたら笑えるな。……ううーむ、どれもいい。実にいい。今回の追加要素は実に素晴らしいものかも知れませんな。
満足しながらログアウト、そしていよいよドルシネアでログインだ。サンドリアのレンタルハウスに起床したドル猫に、恐る恐る「/sit」の命令を告げる。
……いい感じ。私はミスラに、元気な少年のイメージを持っている。なのでなよっとした女の子っぽい座り方をされたら嫌だなぁと思っていた。そんな私から見ると、色気よりもバイタリティーや清々しさを感じさせるこの座り方はイメージ通り。うむ、満足だ。
レンタルハウスを出てつるはしを購入し、ドルシネアはユグホトの岩屋へと向かった。今回追加されたモーションは「/sit」だけではない。採掘や伐採、収穫など、斧や草刈鎌を振るうアクションも追加されていたのである。
ユグホトの岩屋にて、採掘ポイントにつるはしを落とす。今までは画面上は棒立ちのままで、メッセージウィンドウ上に(ざく、ざく、ざく)と擬音が表示されるだけだった。ところが今日、採掘コマンドを入力すると、ドルシネアはどこからか実際につるはしを取り出した。それを両手でぐいと頭上に振り上げる。眼前の岩盤に対してつるはしが振り下ろされると、カキーン!という高い音が響いた。つるはしが消え、ドルシネアは元の直立体勢に姿勢を戻す。
一振りだけなのか! なんかこう、もっと景気よく二、三回がーんがーんとやってくれると思っていたのだが。一回振り下ろすだけで鉱石が入手出来ちゃうというのも、リアリティが今一つなぁ……とか思ったが、何度も振り下ろしていたら一アクションに掛かる時間も馬鹿にならないか。採掘コマンドを連続で入力すれば、それで何とかそれっぽくもなる。
それにしても、やはり「掘っている感覚」がぐっと増した。アクションとその効果音が実にいい。実際に鉄で出来たつるはしを、硬い岩肌に叩き付けている感じがする。働いている感じがする。動いているだけで楽しい。やはりこのモーションの追加はとても大きい。釣りと同様にモーションの最中に画面写真を撮られないのは残念だが。
ユグホトを出て、ゲルスバ砦でちゃっかり宝箱からお金をゲットしつつ下山。サンドリアに戻ると、そこでタルタルモンク・Gzさん、エルヴァーン紳士・Lxさんに出会った。
自然と流れる和みの空気。のんびり今日のバージョンアップについて情報や感想を交換する。座ったままでもターゲットした方に顔を向けるし、手を振るなどの一部のアクションを行うことも出来る。特にタルタルの「/joy」モーションは手足をバタバタと振って喜ぶ動作で、可愛らしさ全開。かなりヤバイ感じだ。見慣れない座りモーションが目を引くのか、足を止め、こちらを眺める人なんかもいる。
別れた後で調理。「サンドリアティー」に初挑戦したが、スキルはさっぱり上がらない。あれあれおかしいな、スキル的には問題ない筈なのだが……。
今回のバージョンアップで改良されたものに「サーチコメント」がある。指定したエリアや全地域を対象にプレイヤーを検索し、一覧表示するサーチ機能。その一覧表示で自分を指定された時、メッセージウィンドウ上に予め設定しておいた「コメント」を表示させ、何らかの情報を相手に伝えられるのが「サーチコメント」である。今まではこれを設定しておくと、一覧表示の自分の名前に緑色のマーカーが表示された。「サーチコメントを書いていますよ」というお知らせだ。そこに自分の経験値やジョブ、使える武器など、レベル上げのパーティを組む際に参考となる情報を書いておくのが、多くの冒険者の「就職活動」の一環であった。
しかしサーチコメントは別に就職活動にしか使ってはいけない訳ではない。その日あった出来事を書いていたり、愚痴を書いていたり、好きな歌の歌詞を書いていたり、釣りの釣果を書いていたり、利用法は様々だ。だがその雑多な内容は、サーチコメントを情報収集に使う者にとって不要な情報を引き当ててしまうという悩みの種にもなっていた。
今回のバージョンアップでは、このサーチコメントに「カテゴリー分け」の概念が加わった。まずコメントを記す側は、次の四要素からどれかを選んでコメントを書くようになる。
- 緑:レベル上げなどのパーティ編成。
- 赤:ミッションやクエストのためのパーティ編成。
- 青:アイテム売買や合成依頼、請負などアイテムに関するコメント。
- 黄:上記以外の自己アピールなど、その他何でも。
PlayOnlineの「バージョンアップ(2003/10/21)」より。
そうすると、サーチして表示される一覧には上に示される色のマーカーが表示されるのだ。更にこのマーカーの色でもって、検索結果を絞り込むことが出来る。だからレベル上げパーティを組みたい時は緑色、何かネタを書きたい時は黄色でコメントを書き、それらを参照したい時は逆にそれで検索すればよいのだ。サーチコメントはこれでぐっと有用性が増したと言えるだろう。
再びゲルスバ野営陣へと向かいながら、試しに黄色や青色でサーチコメントを検索してみる。今いるエリアには一人もいなかったが、全地域を対象とするとそこそこの数のヒットを得た。試しにそれらを読んでみる。するとバージョンアップに関する新たな情報を得ることが出来た。
それは調理に関する嬉しい話だ。まず「魔女の串焼き」とかいう新たなアイテムがあるということ。これに関しては別の人のコメントに、キノコの塩焼きのハイクオリティ品であるらしいことが記されていた。魔道士……主に白魔道士に有効なキノコの塩焼き。これまではハイクオリティになってもキノコの塩焼きのままであったが、どうやらより強力な物が作られるようになったようだ。
青色のサーチコメントに、「族長専用山の幸串焼」に関する情報があった。なんでも一回の合成で出来る本数が増えているとのこと。「族長山串」は「ミスラ風山の幸串焼」のハイクオリティ品であるが、品質が上がる代償に焼き上がる本数が一ダースから四本へと著しく減る。そのため大成功の筈のハイクオリティ品が、逆に赤字になり結果的に失敗という本末転倒な状態が続いていた。まともな本数が出来るのであれば、調理師としてこんなに嬉しいことはない。今までは出来てしまったら競売所に出品できないため知り合いに配っていたが、もしかしたら今後は競売へ出品できるようになるかもしれない。お金稼ぎの手段になり得るかもしれない。
サーチコメントに心弾ませながら、ロンフォールの森を北へと走った。
ゲルスバ野営陣には釣りに来たのだが、その前に試したいことがあった。伐採である。つまり、まさかりを使った木こりである。採掘にモーションが加えられたように、伐採でもまさかりを振るうモーションが加えられた筈なのである。採掘モーションがなかなかいいものであったから、伐採も期待できるだろう。
ゲルスバに入って小道を行ったすぐ先に、伐採ポイントが多数ある林がある。伐採マクロを用意しつつそこへ足を踏み入れると、いつもの様に木こりのライバルが既にいた。タルタルの木こりである。近寄って見ていると、タルタルは伐採ポイントのある木の元までたたたと駆け寄り、やおらスプーンの様に小さなまさかりを取り出すと、それをぺちっと木に振り当てる。……ああ、もう! タルタルは何をやっても! 思わず「かわいい……」と呟くと、タルタルは「ふふふ」と笑いを漏らした。
負けじと別の伐採ポイントに走り、まさかりを使うマクロを実行。まさかりを出したドルシネアが木に対して横になり、両足を踏ん張ってまさかりを横にぶんと振り抜く。どすっと音を立てて木に突き刺さるまさかりの刃。……これもいい。腰の入ったスイングといい、まさかりにも揺るがない樹木の確かな存在感といい、とてもリアルな感触がある。ぽろっとアイテムが発生するのとは違う、仕事をしている充実感がある。いいぞ、実にいいぞこれは!
満足しつつ川へと移動、当初の予定通り釣りを始める。今日はムニエル用のサケ釣りだ。マスも釣れちゃうのだが、そのお陰でスキルもアップ。釣りのスキルは27になった。ついでに釣れてしまったモンスターを銃で撃って、射撃スキルもアップだ。マス・サケそれぞれ一ダース釣り上げて終了、サンドリアに帰還。木こりで入手した木を加工したり、水銀作ったり、お茶作りに再挑戦したりしてから就寝した。