Last Modified : 10 MAY 2004
From Dulcinea's diary Part.4 "March for the Dulcet Wind".
ウィンダスのモグハウスに起床。モグハウスを出たところにいた寝バザー。そこで売られていたオーガイールという魚を買って、生で食べてみる。そのバザーには「ゴブリンダイス」というアイテムも売られていた。これは何に使うアイテムなのだろう。
ウィンダス・森の区と水の区をエビダンゴ作りに奔走する。なんとかニダース作られたが、競売所にも素材が出品されていない。ウィンダスはザリガニ不足だ。時間があれば自分で釣ってもいいのだが、取りあえずこれだけあれば充分だ。釣り道具を持ってマウラへと向かう。空に見えるは満月、釣り日和だ。
マウラにて船を待つ。やがて到着した船からは、冒険者の死体が二体吐き出された。彼等のレベルはドルシネアよりも高い。続いて死者の隣に生きている冒険者の姿が現れた。
「何も出来なくてごめんなさい;;」
……どうやら、強力なノートリアスモンスター・Sea Horrorが出現して、その餌食になったようだ。彼等に敬礼をして、入れ違いに船に乗り込む。船上の海釣りをしていると、私もああなる可能性がある訳だ。
セルビナ行きの船が出航。深夜の船だ。エビダンゴを付けて釣り糸を垂れる。自分で作った生餌での釣り、疑似餌を使ったのとはちょっと違う気分だ。なかなかいい。お弁当代わりに持ってきたカラフルエッグを食べる。今日は風曜日、緑色の満月が空を横断していく。満月なのにさっぱりヒットしない。往路は釣果ゼロである。
静かな釣りだ。それはこの時、ドルシネアがリンクパールを付けていなかったことも要因の一つである。九月辺りから、私は時折リンクパールを外して行動する機会を作っていた。幾つかの訳がある。ヴァナ・ディールの世界とじっくり向き合いたいという欲求。今までにも記したことのある、時折パールに流れるある種の言葉へのネガティブな印象。加えて私自身がパールに捕らわれている、拘り過ぎているのではないかという自問。
リンクシェルのメンバーには別のリンクパールを持っていて、時にそちらを付けている者もいる。それだけ交友範囲が広いということだ。それと比べて、私は狭すぎやしないだろうか。他のメンバーはレベル上げの狩りに出掛ける。その際は知らない人とパーティを組む。それが多くの人との交流に繋がる。対して私はレベル上げを止めた者。その様な交流手段を破棄してしまった者だ。参加したパーティ以外で、知らない人と会話をする機会などこの世界にはあまり無い。ましてや私は、「パールに閉じこもっている」と言ってもいい状態であるのかもしれないのだから。
数往復した後で、徒歩にてサンドリアへ向かう。ラテーヌ高原で風が吹き始めたのでエレメンタルを狩ろうと、エアーエレメンタルが出現するポイントへ向かった。するとそこには、ちょうどエレメンタルに襲われた詩人タルタルの姿が。助けてちょいと挨拶を交わす。サンドリアの競売所にて、釣果のネビムナイト五匹を一匹ずつ出品して就寝した。
以前にも記したが、ネビムナイトは高価な調理用、錬金術用の素材だ。それ故取引価格も高く、一ダースとなると相場は二万ギル程にもなる。だから一度に一ダースも買って大きな支出をするよりは、単価で考えると高くついても取りあえず必要な分を一つずつ買って、当座の支払いを安く済ませようと考える人がいるようである。少なくとも、競売所の取引履歴を見て私はそう捉えた。ジュノで出品した一ダースのネビムナイトとは別に、先日サンドリアの競売所に単品で数匹出品したのは、そういった考えの末であった。
今日サンドリアのレンタルハウスに起床して早速ポストを覗いてみると、狙い通り単品で出したネビムナイトが三匹売れていた。一匹につき2,000ギル、合わせて6,000ギルの売り上げだ。所持金総計はこれで96,945ギル。十万ギルも目前だ、よっしゃあ! 調子に乗ってザリガニを購入し、ネビムナイト釣り用のエビダンゴを作成する。
とはいえ。いい加減、毎日毎日海釣りというのも味気ない。何かにはまるとそれを続けたり、食べ続けたりするのは私の悪い癖だ。何しろ飽きて、その後全く手を付けないようになってしまうのだから。今日は別のことをしよう。久し振りに、陸地で何かやることはないだろうか……。
考えていたとき、金庫の中に粘土を見つけた。これはセルビナの爺さんから預かっていた物だ。石碑の型取りか。そういえばラテーヌ高原にある筈の石碑には、まだ辿り着いていなかった。粘土を持って、釣竿の代わりに銃を持って。ドルシネアはラテーヌ高原へと足を伸ばした。
ラテーヌ高原の端っこは大体歩き回っていたが、石碑は何処にも見当たらなかった。大抵石碑はエリアの端っこにあるのだが……悩んだ末に攻略本やWebサイトで少し情報を漁ったところ、全く予想もしない場所にラテーヌの石碑があることを知った。それがこの、ラテーヌのあちこちに深く穿たれた、大きな裂け目の底だというのだ。この裂け目、まさか降りられるとは思わなかった!
裂け目の底へ降りられる、大体の場所は調べてきたが、正確な場所は知らないままだ。見たところ何処も降りられない感じなのだが……てくてくと走りながら裂け目の周りを巡り、やがてようやくその場所を発見できた。パッと見、降りられない他の場所と同じ印象。最初に気が付いた人は凄いな、大したもんだ。今まで走っていた場所を徐々に見上げるようにしながら、裂け目の中へと降りていった。
ラテーヌ高原を切り裂く断崖の底に到達し、その周辺を見回して私は少々驚いていた。上と変わらず、ここも緑に溢れている。上にも生えている、大きな綿帽子を付けた植物が上と同じく自生している。確かに、上からこの底を見下ろしたときに緑色に見えてはいたが、実際に来てみるとまた改めて新鮮な驚きがあるものだ。ともあれ、ここにあるという石碑を探してみるとする。ラテーヌの底を先へ、足を進める。
ところがその先……裂け目の突き当たりに求める石碑を見つけられなかった。そこに見たのは意外なもの……洞窟への入り口だったのだ。
この洞窟は何処へ通じるのか。分からないがここは行くしかないだろう。用心しつつ洞窟に足を踏み入れる。中にはコウモリが生息しているようだが、ドルシネアに絡んでくることはない。大した強さではないようだ。先へ進んでいくと、やがて陽の当たる外へと出ることが出来た。マップを広げて調べると、そこは最初に降りた断崖とは違う、別の裂け目の底であった。そこに降りられるだけではなく、それぞれが繋がっていたとは! 今まで何度も往復していたラテーヌの地底には、こんな秘密があったのだ。今度は大いに驚く。
更に進んだ先で、今度は初めて見る植物に面食らった。何しろ宙に浮くのだ。
綿帽子の成長した姿なのだろうか。ふわ、ふわ、ふわと上に登ったかと思うと、ふわ、ふわ、ふわと地面まで戻ってくる。その繰り返しだ。そんな綿帽子があちこちにあり、何ともメルヘンな風景を作っていた。風が吹くと、小さな綿毛がどこからか飛ばされて、いくつも宙を流れていく。縦の動きと横の動き。綿帽子達が見せる幻想的な風景に、しばし見とれた。
また洞窟を抜けたりする。途中、二人のタルタルとすれ違った。この先に石碑があるに違いない。彼等もその石碑の型を取りに来たのだろうか。コウモリ以外に、キノコバッタも現れた。初めてこのラテーヌに来たときは、キノコバッタの醜悪さに顔をしかめたものだったが……今はとても貴重な食材に見える。彼等の姿を見たらときめきを覚えるほどだ。慣れとは恐ろしいものである。
幾つもの断崖を渡り歩いた末に、その突き当たりにようやく石碑を見つけることが出来た。
二人いる「グインハム」の内、この石碑は一人目のグインハムによって記されたものであった。とある謎を解くために、遠い地へ足を伸ばそうとするグインハム。家族の身を案じつつ、自らに及ぶ危険をも感じている。……この後彼はその地で命を落としたのだろうか。そして二人目のグインハムが彼の足取りを追っていったのだろうか……そんな話の筋道を思い描いたが、それが確かかどうかは各地の石碑を改めなければ、私には分かりそうもない。
今日は多くの発見があった。久し振りに味わう新鮮さに満足しながら、ドルシネアはラテーヌを後にした。