1. 番長方面
  2. Dulcet Wind
  3. ドルシネア・ダイアリィ 第四部・目次

Last Modified : 21 MARCH 2004


命を懸けた船釣り

サンドリアの競売所で、エビダンゴとイワシの切り身を一ダースずつ買っておいた。これは釣りの生き餌である。ナマズ用ではない。海釣り用の餌である。ナマズ釣りもウィンダス、バストゥーク、そしてサンドリアと三国周辺でやってみた。少しは飽きも感じる。ここらで一つ、新たな標的を海に求めてみようと思ったのだ。

海釣りの先達として、釣りの先輩・エルヴァーン姉さんのCcさんにアドバイスを貰いながら一路クォン大陸の港町・セルビナへ向かう。ところがその道中、ラテーヌ高原にて巨大な雄羊・バターリングラムと鉢合わせ。すかさず戦いを挑んだ。

画像・VS バターリングラム。
曇り空のラテーヌにて、久し振りのラム退治。

途中、ラムの特殊攻撃でドルシネアは「石化」の状態に陥る。全く身動きが取られずにボコられるドルシネア。リンクパールを通じた実況でその状態を知ったCcさんが、「南無」とか言ってくれちゃう。おのれっ。死ぬ前に石化が解除され、なんとか逆襲、勝利した。

セルビナから船に乗って、いよいよ久し振りの船釣りだ。船の釣りで何が恐ろしいって、タコのノートリアスモンスター・シーホラーの出現である。レベル60を超えている冒険者ですら逃げるしかない超生物、レベル29のシーフでは一撃で粉砕だろう。っていうか、今死んだらレベルダウンだな……恐ろしい……。

ビクビクと周りを見回しながら糸を垂れる。海の魚は三国周辺のものよりもずっと逞しいらしく、やわな竿ではあっさりと折られてしまう。逆にだからこそ海の魚は価値が高い。いい値で取り引きされるのである。今回ドルシネアが狙っているのは「ネビムナイト」という殻を持った軟体魚。防御力を上げつつ攻撃力をも上げられる強力な食べ物「ミスラ風海の幸串焼き(みすらふう・うみのさち・くしやき)」の素材として、そして錬金術でインクを作るのにも用いられる需要の高い魚である。需要が高い割りになかなか釣れない魚でもあり、しかも船にはシーホラーが出現するようになったものだから更に高価になってしまったという経緯がある。

ぼっきり竿を折られたりしたものの、それは予想の範囲内。マウラに至る間になんとか一匹のネビムナイトをゲットした。危険の中からの釣果に喜びもひとしおだ。ウィンダスに移動した後で高価な釣竿「複合素材の竿」を購入。12,000ギルもしたが、こいつはそうそう折れない筈。今後の釣りでの釣果に期待である。以前バザーで買った外道用釣り針・ローグ針を取り付けてウィンダス港で糸を垂らす。海苔などを引っかけつつ、遂に狙いの「破れた帽子」を釣り上げた。これが必要で長らく進められなかったウィンダス港のクエストを、ようやく進めることが出来た。


Destiny

ウィンダスからチョコボに乗ってバストゥークに向かう。まずはジュノ方面へ北上。サルタバルタからタロンギ大峡谷、そしてメリファト山地へ。メリファトでは同様にジュノ方面に向かう冒険者のチョコボとレース状態になった。って勝手に自分がライバル意識を持っただけだけれど。ソロムグ原野からジュノ目前で方向を変える。ジュノには入らずに、ここからはバストゥークに向かうのだ。

バタリア丘陵を走りながら、傍らにいる黒ヒョウの強さを「調べる」。……「丁度いい強さ」と出た。トラが「丁度いい」になったのか……感慨深い。別のトラを調べると「同じくらいの強さ」とかもいる。まだレベル上げをしていた頃、ここらの「強い」とか「とても強い」トラを相手にしたのだ。少しは強くなったのかな……。

バタリアを抜け、ドルシネアを乗せたチョコボは隣のエリアへ。薄暗い森林の中を走らせながら、不意にある「異常」に気が付いた。

いやちょっと待て。「ジャグナー」? ジャグナー森林だって? ええと、おかしいぞ。何故に今、私はジャグナーにいるのか?

このジャグナー森林の先は、ラテーヌ高原、そしてロンフォールだ。つまりこれは、ジュノからサンドリアに向かうルートである。私が向かっていたのはバストゥークだ。バストゥークへ行くにはジュノを掠めてロランベリー耕地に抜けなければならない。そこからパシュハウ沼、コンシュタット高地だ。つまりアレだ。間違えた。バストゥークよりもサンドリアに行く機会の方が断然多いから、ついついサンドリア方面に向かってしまった。このルートを行くのがすっかり癖になってしまっていたようだ。

思わず苦笑する。何と気の抜けたことか、お馬鹿なミスをしたものだ。それとも何か? この先に「何かあったりする」のか? そんなことを考えながら、チョコボに先を急がせた。ジャグナーももう半ば辺り、ここまで来てしまったら戻ってもしようがない。ラテーヌから砂丘を経由してバストゥークへ向かうとしよう。

そうしてラテーヌからバルクルム砂丘へと出て、すぐのことだ。白い砂を蹴り上げるチョコボとすれ違う、数人の冒険者達を見た。この辺でレベル上げをする、レベル10台前半の冒険者達だ。彼等が縦に連なってラテーヌへと向かっていく。
(何か様子が……)
変だ。そう思うのと、冒険者達の後ろに追いすがる二体のゴブリンを見つけたのは殆ど同時だった。

『これ』なのか。

チョコボを止め、急いで降りる。最後尾の冒険者と彼を追うゴブリンが横を過ぎた。更に後ろに続く二体めのゴブリンに魔法を飛ばし、ドルシネアに注意を引きつけた。こちらに向かってきたゴブリンとの戦闘に入りつつ、外していた武具を装備し直した。そしてどうする? 一体ゴブリンが行ってしまったぞ。追いかけるか? しかしゴブリンを同時に二体というのは、結構辛いのではないか……。

その躊躇いのため、結局目の前のゴブリンを倒すことを優先した。ゴブリンを叩き伏せると同時にアビリティ・とんずらをマクロで使う。
『天国への階段(Stairway to Heaven)!!』
『時は加速するッ!!』
ラテーヌ方面へと走り出しながら後悔した。きっと判断の誤りだ。追われていた人達は無事に逃げられたのか? やはり追うべきだった!

ラテーヌへのエリア切替え点に、こちらへ戻ってくる一体のゴブリンを見つけた。他には誰も見当たらない。冒険者達は隣のエリアへ逃げ込めたのか? それとも倒されてしまったか? 心配しながらこのゴブリンも倒す。そしてラテーヌへと移動した。果たしてそこには、しゃがみ込んで休んでいる彼等の姿があった。そしてその中には、パーティでしんがりを務めた、最も危険だった方の姿も発見できた。

……ここから記すのは数年前の出来事だ。いや、何も起こらなかったのだから「出来事」ですらない。その日私は、隣町に行くために電車に乗った。吊革に掴まった私の正面には、一組の男女のカップルが座っていた。彼等は遊びの帰りなのか眠り込んでいて、お互いに寄り添うようにして肩と頭を合わせていた。

その彼等のあまりに幸せそうな表情に、私自身も幸せな気分を味わった。だが次に思ったのは少々物騒なことだ。それは……もし今電車の中に精神の具合がおかしい者が現れて、ナイフなんかを手にしつつこの場に近寄ったとする。そしてもしこのカップルを見つけて襲いかかるようなことがあれば……私は彼等の盾になって死ななければならない。そう思ったのだ。

私はここで彼等を守るためにここにいるのだ。その様な役目を負ってここにいるのだ。その為に私は生きてきたのだ。その様な状況下でその様に考え、行動するために私のこれまでの人生はあって、価値判断の基準を育み刻み込んできたのだ。

勿論、そんな異常事態に遭遇はしなかった。電車が出て五分後には目的の駅に着き、私はその電車を降りた。電車が眠ったままのカップルを更にその先へと運んでいった。何も起こらなかった。全ては私の妄想に過ぎない。

しゃがんだままのしんがりを務めていた冒険者から、「ありがとうございました」というTellが届いた。「ご無事で何より」と返事を返して、ドルシネアは再び砂丘へのエリア切替えに身を投じた。この場に立ち会うために、そしてそこで動くためにドルシネアはいたのだ。これまでのドルシネアはこの瞬間のためにあったのだ。

だがそれだけではない。今のドルシネアもまた、今後に出会う瞬間のためにあるに違いないのだから。


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