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  3. ドルシネア・ダイアリィ 第三部・目次

Last Modified : 20 JANUARY 2004


釣りが解き放つ声

ウィンダスのヌナイで草糸を結って草布作り、裁縫スキルを上げる。やがて草布を作ってもスキルが上昇しなくなったので、裁縫ギルドのお店まで出掛けた。ヌナイに裁縫をさせている理由は以前にも記したとおり、倉庫管理業務だけでは可哀想だったからだが、お金になる物を作って儲けを出すことが出来れば、ドルシネアの助けにもなりとても助かる。今後のスキル上げで作る物を、その売価を見て決めようという訳だ。

素材調達の面倒さなども考慮して、低レベル用両手防具である「グローブ」を作ることにする。どうせこんな低レベル用の装備などプレイヤー相手には売れないだろうから、作ったそばからギルドに売りさばくこととした。ギデアスで草刈り&ヤグード狩りで素材を調達すれば、スキルを上げつつ充分儲けが出る算段である。

裁縫ギルドのNPC師匠にお金を払い、上級サポートを受けてからグローブ作りを開始。順調に作成が進む中、ハイクオリティ品の「グローブ+1」が出来上がった。ヌナイ初のハイクオリティ品だ! 大いに祝う。グローブ+1はギルドに売却できなかったため、取りあえず競売所に出品してみる。……低レベル帯は通常のレベル上げによってあっという間に通過してしまうから、大した装備は必要としないんだよね。高い金を払ってまでハイクオリティ品を揃える人なんて、いないかも。売れない……かもな。

ヌナイでのプレイを終え、同じくウィンダスにいるドルシネアでログインし直す。ポストには串焼き五つ分の売り上げが送られてきていた。お金もだいぶ貯まってきた。いいぞいいぞ。

そのお金を持ってチョコボに乗る。ジュノに向けてサルタバルタを走り始めた矢先、川沿いに走るヒュームの女性に目が留まった。一度お会いしたことのあるあの方は、Flさんの知り合いのRpさんである。先日セルビナで直接会って、ご挨拶をしておいた方だ。ちょいと挨拶をしておくかとチョコボの足を止めたところ、なんとそのRpさんが近場のホネに襲われているではないか。慌ててチョコボを降りて助けに向かった。

ジュノで目当ての品に付けられた値の高さに衝撃を受けてから、今日もセルビナへ釣りをしに行く。メキメキと順調にスキルが上がる中、釣り人のタルタル二人とSay形式による会話を楽しんだ。竿折れを慰めたり、「太ったグリーディ」を釣るための餌や竿は何がいいかと話し合ったり。釣った魚を生で食べて驚かせたり。

何度も竿を折るタルタルは、その度に漁師ギルドに走り「渓流くん2号〜」と購入した竿に付けた名を呼びながら帰ってくる。「4号」が来たときにはすかさず、「不吉だが頑張れ」と声を掛けて笑わせたりする。結局そのタルタル氏の「渓流くん」は、5号まで行っていた。

ヴァナ・ディールでは、人の話し声が外に漏れることはあまりない。大抵Tellやパーティ、リンクシェルなどの特定の人にしか聞こえない会話形式が用いられているからだ。周囲の不特定多数に聞こえるようなSay形式は、むしろ忌み嫌われる傾向があるように思う。

それは会話だけでなく合成や魔法、アビリティなどの全てのログが、狭い一枚のウィンドウに表示され流れていくという、環境・資源的な問題があるが故に生まれてきた慣習ではある。人は競売所などの便利な場所に集中するので、その様な場所で幾つもの会話が行われたらウィンドウの表示はあっという間に流れていく。自分が見たい情報が興味のない他人の会話で流されてしまったら、確かに気分も悪くなるだろう。

だが、話し声が周りに聞こえるのは当然であるというのが、やはり正常な感覚であると私は思う。町中で人が大勢いるのに全く声が聞こえないというのは、改めて見回したときに不気味に感じるものだ。またそうやって他人に聞かれることが前提となれば、会話の内容、言葉の品性にも気を付けるのではないかと思う。全ての人がそうなるとは言わない。以前イベントの中で聞いたような乱れた言葉、品格を欠いた言い回しを使う人はいるだろう。しかし元々そうでない人が、リンクシェルや匿名掲示板といった閉鎖空間の中で過ごして変わっていくのを、「他人に聞かれることが前提」の環境ならある程度抑えられるのではないかと考えるのだ。

釣りは、沈黙に陥りがちな慣習から解き放たれる雰囲気を作り出す。セルビナや船上ではよくSayによる会話を見掛けるし、私自身もそれに参加する。競売所の前で隣に立つ人物に対して感じるような、沈黙の中で何をしているのか分からないといった不気味さを抱くことなく、自分と同じ釣りをしているという仲間意識が、そのような和気あいあいとした空間を作り上げるのではないだろうか。そんな時、私はオンラインゲームを満喫していると実感する。

楽しい時間を過ごしつつ、ドルシネアの釣りのスキルは17に上がった。


新サービスの使い心地

バストゥークに渡り、錬金術ギルドにて水銀を作る。水銀の素材はコバルトジェリーというクラゲである。これの競売所における相場が現在一ダース3,000ギルというところ。一度の合成で四匹も使うから、結構きつい。

画像・錬金術ギルドにて。
雷のクリスタルでジェリーを分解。べんべけべんべけ……(効果音)。

毒素の素材であるイエローグローブの様にじゃんじゃか釣れれば自給自足も叶うのだが、コバルトジェリーはそうはいかない。コバルトジェリーは自分から食いついてくるヤツじゃあないからだ。海苔とか指輪とか、錆びたシリーズのような装備物のように、針に引っかかってしまう「外道」なのである。外道釣り用の針もあるにはあるが、やはり向こうから食いついてくるものとは釣れる数が段違い。結局、漁師ギルドの売店で売られるジェリーが主な調達手段となる。

当然、同じ目的を持っている者は同じように考える。漁師ギルドの開店時間には、ジェリーを求める冒険者達がギルドの売店前に集まってくる。ギルドの在庫は一日に幾らと限られている。その為、ジェリーの転売を目的とした商売人もギルドに並ぶこととなる。その結果、付加価値を付けられたコバルトジェリーはギルド売価のほぼ倍になって、競売所で流通しているのである。

バストゥークの中心地にある大工房へと足を運ぶ。そこに新たなNPCが登場していた。先日行われた公式イベントの結果配置された、テレポサービスのNPCである。三国にいるNPCが各地に点在するアウトポストまで、自国領地なら無料で、他国領地なら有料で冒険者を飛ばしてくれるのだ。ウィンダスに帰るため、試しにサルタバルタへのテレポをお願いする。サルタバルタはウィンダス領であり、テレポ代は無料である。手を上げたNPCの魔法に包まれたかと思うと、ドルシネアは瞬時に西サルタバルタのアウトポストに現れた。ウィンダスはすぐそこだ……これはとても便利じゃないか。

早速このサービスを有効活用してみる。まずはロンフォールに飛んでサンドリアに駆け込む。サンドリアは炎のクリスタルが安いし、調理の素材も豊富に揃う。買い込んで再びサルタバルタに飛び、ウィンダスの調理ギルドまで走って調理のスキル上げだ。ジンジャークッキーとからしせんべいを作って、調理スキルは56に上がった。

串焼きを焼いて競売所に出品した後、漁師ギルドにいって釣りの上級サポートを受ける。これで一時間半ほどの間、釣りのスキルが底上げされた状態となる。NPCのテレポでザルクヘイム地方のアウトポストへワープ。そこはセルビナが視界に入る、バルクルム砂丘のまっただ中である。周りにいるゴブリンに気を付けてセルビナへ。釣りサポートを受けたままセルビナで釣りなんて、今まで考えられなかった。……これはとてもいいサービスだぞ。

ジンジャークッキーを食べながら、釣りサポートの効力が切れるまで釣りをする。錆びたレギンス(足装備)がよく釣れる。さながらレギンス養殖場の如し、である。そんな中でも生きた魚をきっちり釣り上げ、釣りのスキルは18に上がった。

船に乗ってマウラに渡り、そのままウィンダスまで走って帰る。NPCテレポ、今度は何に使おうか。これはちょいと、生活が変わるかもしれないね。


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