1. 番長方面
  2. Dulcet Wind
  3. ドルシネア・ダイアリィ 第三部・目次

Last Modified : 22 JANUARY 2004


改めてラテーヌ

ジュノに香辛料の買い出しに行った折り、競売所で新たな装備を揃えておいた。グレートダブレット、コットンブレー、コットンゲートル。シーフでも着られる胴部、脚部、足部の装備だ。今まで着ていたのはビートル系の防具。決して嫌いな物ではないが、これらを買ったのは三月の始め。長い間着続けて、流石に飽きを感じていた。

新たな装備を身に付けて、ギデアスに草刈りへ出掛ける。ギデアスにはハチがいて、蜂蜜や蜂の巣の欠けらなどの調理・合成素材が手に入る。更に獣人・ヤグードからは銀貨を盗むこともできる。タロンギ大峡谷と同じく、ギデアスは今や恵み多き収穫の地だ。

画像・ギデアスにて。
ヤグードの住処で宝箱を発見。

こまめに歩き回り、放置されている宝箱も頂いてしまう。二つ開けて3,000ギルを超える収入を得た。悪くない。

翌日は、黒魔道士の装備を求めてサンドリアへ移動する。先日コンシュタット高地で、ミミズやゴブリンを相手に殺したり殺されたりしながら、なんとかレベル12になっていた。黒魔道士用の杖や指輪は既に手に入れていたものの、それ以外の防具を新調する必要があった。そして現在ウィンダスは、国同士の勢力争いであるコンクェストで最下位になっていた。ウィンダスで全ての装備を揃えるには少々難であったのだ。

サンドリアにて無事に装備を揃え、早速黒魔道士のレベル上げへ。サンドリア方面となると、レベル的に丁度いいのは恐らくラテーヌ高原ということになるだろう。私はこれまでラテーヌで狩りをしたことが余りない。移動の途中に通り抜けるだけの場所だった。それ故に私はこの高原に明るくない。ヴァナ・ディールにおける終わりを迎える前に、この美しい高原をもっとよく知っていてもいい。今日の狩りは、ラテーヌ高原を広く廻りながら進めるとしよう。

画像・ラテーヌにて。
ラテーヌのよく晴れた日は、緑と青のコントラストが美しい。

ロンフォールの森を駆け抜けラテーヌへ。そしてラテーヌを北東から西へ、更に南へと大きく巡っていく。色んなモンスターに魔法を打ち込んで、その効き具合を試してみる。羊はちょいと危険か。ミミズには微妙に魔法の効きが悪いようだが、まぁその分近距離で戦わずに済むリスクの低さが魅力だ。ハチとトリはさほど変わらない強さか。だとしたら炎のクリスタルを落とすトリの方が風を落とすハチよりも美味しい。炎は調理、そして最近始めた彫金や鍛冶にも必要となる。

だがやはり本命はクロスボウを持ったゴブリンとなる。クロスボウとは引き金を引いて矢を打ち出す、弓矢と銃の中間にあるような武器だ。この様な遠隔攻撃の武器はダメージが大きい代わりに攻撃と攻撃の間隔が長く、一定時間内の攻撃回数自体は少なくなる。そこに黒魔道士の速攻パターンがうまく噛み合うのだ。そしてこの周辺にいる狩人ゴブリンの持つクロスボウは当たってもそれほど強力ではなく、攻撃に当たっても深刻なダメージは受けない。攻撃回数が少なく、当たっても痛くない。こんなに狩りにうってつけの相手はいないだろう。

ラテーヌの南部に至り、今度は東を目指す。弓を持ったオークを見つけた。ゴブリンと同じように行くかと思い、少々強めだがケンカを振ってみた。これがまた酷く苦戦する。通り掛かりの冒険者が立ち止まり、心配させるほどだった。「ガンバってくださーい」と去っていく冒険者を、「心配させてすいませんですー」と手を振って見送る、血まみれドルシネア。あと一発食らったら死んでいた。相変わらず薄氷だ、黒魔道士のレベル上げ。


Outride A Crisis

画像・侍エルヴァーン登場。
ラテーヌ中央部にて、Ccさんがチョコボで登場。

Ccさんは最近、侍でレベルを上げている。腰に差した刀が眩しい。もっともFFXIにおける多くの侍と同じように、その格好は西洋風の鎧に抜き身の刀。違和感バリバリであるのだが。

Ccさんが見守るその前で、ドルシネアのレベルが13に上がる。Ccさんがアストラルリングを貸してくれた。これは最大HPを25減らす代わりに最大MPを25増やすことの出来る強力な指輪である。ジュノの競売所では確か10万ギルくらいで取り引きされているのではないだろうか。MPの少ない種族、エルヴァーンであるCcさんが魔道士をやるために、そのハンデを少しでも減らそうと入手したのだろう。前衛ジョブのタルタルと同じように、種族的に向かないエルヴァーンやガルカの魔道士を疎んで、パーティに誘わない冒険者もいると聞く。

現在ドルシネアは、INT(知力)を増やすための指輪を填めている。攻撃魔法によって与えるダメージを少しでも多くするためだ。この指輪をアストラルリングに換えるということは、魔法のダメージを減らしてMPを増やすことで魔法詠唱回数を増やすということだ。どちらがより適切であるかという選択になるな。さてさて……。

Ccさんと別れた後、ドルシネアはサンドリアに戻ることとした。レベルも上がって一区切り。現実の時間的にも遅くなりつつある、この辺でプレイを終えた方がいいだろう。この場でログアウト、野宿もいいのかもしれないが、やはり何となく落ち着かない。ちゃんと町に戻ってベッドに寝て終わりたいと思う。ラテーヌ中央部を北上して、サンドリア方面に伸びる主流の道への合流地点を目指した。

この夜、ラテーヌを知ろうと思い立ったのは、その場に居合わせるための運命だったのだろうか。

斜面を登る道を左手にして、なんとなく右手の、断崖沿いを行く草原が気になった。この先はまだ見たことがない。ラテーヌを穿つ幅の広い断崖。その周りに広がる草原に、何か目新しいものがあるかもしれない。そんな風に考えて、帰る前に一回りだけ歩いてみることにした。雲って暗い夜の草原を、さくさくと音を立ててドルシネアが駆ける。

断崖の末端でドルシネアが目にしたものは、夜の闇の中でゴブリンを襲う羊の姿だった。え? 何故モンスター同士が?と我が目を疑うが、よくよく見ればそれは獣使いによって操られた羊である。少し駆け寄ると、ゴブリン達の先に小さくその獣使いの姿が見えた。夜の闇が暗すぎて、そしてまだあまりにも遠すぎて、その冒険者の種族が何かまでは確認することが出来ない。

戦況に変化があった。羊がゴブリンに倒されたのだ。敵を始末したゴブリンは、続いて羊の主人である獣使いに襲いかかる。獣使いというジョブは、他のジョブとはまた違うソロプレイが可能だ。モンスターを操りペットにすることで、擬似的な二人パーティを形成できるからだ。強い敵にモンスターをぶつけ、その間に自分は先の戦闘で受けた傷をヒーリングによって癒す。やがてペットは倒されるのだが、ペットによって体力を削った敵を楽に始末できるという訳だ。だがこの時はその計算に狂いがあったのか、ゴブリンの体力は半分以上残っていた。明らかに、獣使いは危険な状況に陥っていた。

急いでゴブリンの後を追う。獣使いが遠ざかるように逃げていくため、なかなか距離が縮まらない。追いながら打算する。果たして私に、あの獣使いを助けることが出来るのか。あのゴブリンは戦士タイプのGoblin Bucher。狩人タイプのAmbusherなら美味しい相手だが、それとは訳が違う。まともにやり合うと今のドルシネアでは返り討ちだ。だが相手は既に半分、体力を減らされている。黒魔道士の高い攻撃力なら、返り討ちにされる前にあるいは仕留められるかもしれない。

そうこうしている間にいよいよ獣使いの状況が切迫してきた。ターゲットして見ると残りの体力はもう殆ど無い……考えている暇は無さそうだった。射程距離に入ったところで足を止め、ゴブリンに魔法を打ち込む。ゴブリンの狙いは獣使いからこちらに向いた。

駆け寄るゴブリンに続けて魔法を打ち込む。確実に減っていくゴブリンの体力。だがゴブリンが駆け寄ると、次に減らされるのはドルシネアの体力だ。ゴブリンの重い攻撃が、一撃ごとにずっしりとドルシネアにダメージを与える。生か死か、どちらが相手を先にねじ伏せるかの瞬間的な攻防になった。

打撃と魔法、数回の打ち合いの中で、私は微かに勝機を見た。一手。一手早い。ドルシネアの魔法の方が、ゴブリンの体力を枯らすのに一手だけ早い! ゴブリンの攻撃を受け止め、辛うじて耐えきったところで最後の一発となる精霊魔法・ストーンをゴブリンに放つ。これでお終いだっ! ……だがゴブリンはその攻撃に耐えきっていた。ストーンを「レジスト」したのだ。レジストに成功すると、魔法は効力を発動できなかったり効果が半減したりする。ドルシネアのストーンは充分なダメージを与えることが出来なかった。そしてゴブリンのお返しの攻撃が、ドルシネアの最後の体力を奪い去っていた。

画像・敗北。
無念……しかもレベルダウン……。

レベルダウンの萎むような効果音と共に、草の中に倒れ込むドルシネア。惜しい、あのレジストさえなければ……。ドルシネアを倒したゴブリンは、踵を返して獣使いの後を追った。その姿が闇の中に小さくなっていく。獣使いが生き残ってくれればいいが……だがずっと遠くの景色に、ゴブリンの倒れた気配はなかった。ホームポイント、サンドリアへ移動する。

取りあえず、下がったレベルをまた上げに行こうか。サンドリアの町中を歩いていると、先程の獣使いからTellが届いた。
「さっきは助けていただいたのにすいませんでしたm(_ _)m」
恐らくこちらが死んだことを知っているのだろう。
「あー、いえいえー 惜しいところでした^^」
努めて明るく返す。

そしてこちらの心配事を聞いてみる。
「というか、そちらも殺されちゃいました?」
「はい〜(^_^;」
あらら、やっぱりか。大袈裟なほどに、明るく返す。
「くはー、そりゃ残念なりぃ! お互い頑張りましょうー^^」
「はーい!」

その後ロンフォールを走っていると、森林の中にしゃがみ込む獣使いの姿を見掛けた。二人で手を振り、激励し合う。その後のラテーヌでの狩りで、ドルシネアはレベル13に戻った。


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