Last Modified : 22 JANUARY 2004
From Dulcinea's diary Part.3 "Dulcet Wind to Heaven".
競売所でカザムパインを二ダース買って、コンシュタット高地へと出陣だ。久し振りにパインのジュースを絞ってMPを回復させながら、効率よくレベル上げという腹積もりである。
黒魔道士にとって「カモ」と言えるモンスターがコンシュタットにいる。ミミズである。地面からにょろりと顔を出すミミズは、戦闘中に移動することはない。つまりバインドをわざわざ使わなくとも距離さえ取っていれば、近距離攻撃を食らわずに戦うことが出来るのである。ミミズは動かない代わりに魔法を使ってくるのだが、その魔法使用間隔はかなり長めで、襲われているにしてはのんびりとしたペースだ。よってこちらがダメージを被る割合も、近距離攻撃を使ってくるモンスターと比べるとかなり少なくて済むのである。
ミミズを求めて、ドルシネアはグスゲン鉱山前の丘に陣取った。ミミズが美味しいのはドルシネアだけにとってではない。そこにはミミズを狙った狩りのライバルが数人見受けられる。なんとか美味しい餌にありつきたいものである。ミミズを求めて時には歩き回り、射程距離内に入ったミミズに魔法を打ち込む。時にはMPの回復をしながらミミズの出現を待って、近場に現れたミミズにすかさず魔法を叩き込む。
「同じくらいの強さ」のミミズには楽勝である。「強い」ミミズをそれでも比較的楽に倒すと、得られる経験値は一戦に付き120から140にもなった。えらい勢いで経験値が増えていく。……だが嬉しい話ばかりでもない。その丘にいるのは、ミミズだけではないからだ。
ストーン、ウォータなどの精霊魔法の攻撃力は激烈で、バインドで敵の足を釘付けにして精霊魔法で一気に粉砕する黒魔道士の戦法は実に爽快だ。極めて短い戦闘時間で100を超える経験値を稼ぎ出すソロプレイは、他のジョブではそうそう味わえない。恐らく黒魔道士と似たような性質を持つアタッカー、狩人くらいだろう。だがその攻撃力で押し切れない相手となるとあまりにも脆い。あっという間に息の根を止められてしまうのだ。大雑把である。
稼ぐスピードが速いとはいえ、そして低レベルでは失われる経験値は少ないとはいえ、やはり死ぬと少々へこむ。あぁ、さっき死にさえしなければ今頃はレベル上がっているのにと悔やむし、何より力無く倒れ伏すドルシネアを見るのはとても辛い。すぐさまホームポイントに戻って蘇生させる。ホームポイントは北グスタベルグのガードのところに、お金を払って移してある。そこに移していないと遠くバストゥークまで戻らなければならない。死は隣り合わせのソロ黒魔道士、抜かりはない。
狩り場に冒険者が増え、限られた資源であるミミズが足りなくなってきた。獲物の取り合いをしてもお互いにとっていいことはない。この場所は充分満喫したので、別のいい場所を探すことにする。黒魔道士のドルシネアにとって、コンシュタットは未だ油断のならない場所だ。特にカメ獣人・クゥダフやゴブリンは絡まれると致命的な状況となる。周囲に充分注意しながら、ミミズがいるであろう狩り場を求める。しかし何とか見つけても、そこにはやはりライバルの姿あり……難しいものだ。
獲物になかなかありつけない中、何とか踏ん張って黒魔道士のレベルが10になる。死んでもレベルが落ちないところまで経験値を稼いで、バストゥークへの帰途に付いた。
北グスタベルグを走っている最中、珍しく周囲にSayの声が響いた。「どなたかグスゲンには何処から行くか知りませんか?」 通りすがりのタルタルが、それを繰り返しながら走っている。それほど低いレベルの冒険者ではないが、恐らくバストゥーク方面には明るくないのだろう。誰か知り合いと待ち合わせでもしているのだろうか。
人が少ない北グスタベルグなのに、それでも必死に問いかけを繰り返すタルタル……流石に放っておけない。グスゲン鉱山の場所をTellでそのタルタルに伝えた。「ありがとうございます(ioi) 助かりました」と泣き顔の顔文字付きでお礼が返ってきた。結構切羽詰まっていたのかなと、こちらまでハラハラする。
バストゥークにて新たな防具を購入し、更に黒魔法・ブレイズスパイクを調達した。ブレイズスパイクはウィンダスのクエストで入手できるが、それはずっと以前に売ってしまっていた。まさか黒魔道士のレベルを上げるとは思っていなかったからだ。競売で買うと酷く高く付くので、サブキャラのヌナイでクエストをクリアして、これをドルシネアに渡すことで入手することとなった。やれやれだ。
アップルパイもジュース用のパインも底を付いた。明日からの狩りの前には、補充しておかなければならないな。新たな狩り場も探した方が良さそうだ。ミミズだミミズ……はてさてミミズは、他に何処にいたっけか……。
黒魔道士レベル10のドルシネア。ミミズを求めて今日は南グスタベルグ西方にあるダンジョン、ダングルフの涸れ谷へと向かった。ここにも二種類程のミミズが生息していることを思い出したのだ。ただミミズのいる狭い道には強力なゴブリンも徘徊している筈である。果たして狩り場として適しているかどうか、それも探ってみなければならない。
涸れ谷に入ってすぐのエリアには大した敵はいない。絡まれない訳ではないのだが、調べても「楽な相手」と表示される強さなので楽勝である。吹き上がる間欠泉に乗ってその先へ足を踏み入れると、敵のランクがグンと上がる。特にゴブリンは「とてもとても強い」と表示される桁違いの強さだ。ミミズの強さは見たところ「同じくらいの強さ」か「強い」というところ。これは恐らく倒せる相手だ。倒せば100〜140くらいの経験値が期待できる。この涸れ谷でレベル上げをする冒険者は少ない。ミミズを独占できるなら、こんなに美味しい場所はないだろう。ワクワクしてきた。
狩りを始める前に取りあえず、新たに習得した黒魔法・ブレイズスパイクを使ってみる。
まぁ、黒魔道士としては近接攻撃を受ける訳にはいかないので、このブレイズスパイクがなるべく効果を発揮しないことを祈るばかりだ。
炎を纏って準備オッケー。さぁ、いよいよミミズに攻撃を仕掛けるか。と思った矢先、ドルシネアの足を押しのけて、地面の下からミミズが出現した。当然絡まれる。いきなりのバトルで殺されかける。「同じくらいの強さ」のミミズだったようで、経験値100を獲得。接近戦を余儀なくされたため、ブレイズスパイクが大活躍した。散々である。
その後は充分間合いを取って、「強い」ミミズを確実に狩る。どうやらこの周辺にはミミズが二匹出現するようだ。双方を狩るとミミズの再出現までしばらく掛かるので、その間は間欠泉を降りて下の弱いゴブリンやウサギを狩る。そしてヒーリングで体力とMPを回復し、間欠泉に乗って上へ移動、再出現しているミミズを狩る。そんなパターンが出来上がった。実にいい感じ。
しかしミミズの出現地点は岩に囲まれた狭い道。そこを強いゴブリンも数匹往復している。見つからないように気を付けているのだが、しかし時には冒険が必要となる。道の奥にミミズが現れたときなどは、ミミズを魔法の射程距離内に入れるためにその道にある程度踏み込まなければならないのだ。結果、ゴブリンに見つかって叩かれる。相手があまりにも強く、逃げる間もなくたった三発殴られただけであの世行きになったりする。黒魔道士の弱さを痛感させられた。
ホームポイントのバストゥークに戻り、すぐさま涸れ谷をまた目指す。途中、知り合いのStさんと出会い、お話しをしながら二人で涸れ谷へ。奥に行くStさんと手を振って別れ、ミミズ狩りの再開だ。そしてあっさりとゴブリンに絡まれる。
涸れ谷の出口を目指して、殴られつつも儚い逃走を続けていると、間欠泉を降りた先で冒険者の姿を見つけた。冷静さを失っていた私はそのままその横を通り過ぎ、結局出口まで逃げ切れずに力尽きた。
先程の冒険者……その格闘着姿からモンクだろう……がこちらを伺っている。死体のドルシネアを見下ろしていたゴブリンが、やがて元の位置に戻ろうとする。それは勿論、モンクさんのいる方向に、である。この狭い涸れ谷の岩道ではモンクさんに逃げ場はない。ここに来て私は自分のしでかしたミスに気が付いた。彼女を巻き込んでしまったのだ。
ゴブリンとの戦闘に入るモンクさん。ウェポンスキルのコンボなどを繰り出したが、結局彼女も倒されてしまった。なんてことだ……自分一人だけで死んでおけば良かったのだ。とても申し訳ないことをした。Tellで謝罪をするも気分は晴れない。ホームポイントのバストゥークに戻る。サーチを掛けると先程のモンクさんもバストゥークに戻ってきたようだ。競売所まで走って周囲を探すと、そのモンクさんの姿を見つけることが出来た。
お辞儀をして、改めて謝ってからバザーに出していたミスラ風山の幸串焼きをトレードする。「お互い頑張りましょう」と言ってもらえたのが救いだった。もう同じようなミスはすまいと心に誓う。
涸れ谷再々訪。今度は無理をせず、安全第一で狩りを進める。ゴブリンが邪魔でしようがなくなったので、敵のランクを下げて数で勝負することにする。トカゲからは炎のクリスタルが採取できるし、ゴブリンは加えてワイルドオニオンも手に入る。串焼きの素材となるオニオンは比較的高価な物だからとても美味しい。ウサギを狩っていると加勢のウサギがリンクしてちょいとした危機に。すかさず二時間ジョブアビリティ・魔力の泉を発動させて切り抜けた。初めて役に立ったかも、魔力の泉。
狩りの時間を40分ほどオーバーしたが、黒魔道士のレベルは11になり、炎のクリスタルやオニオンもそこそこ手に入った。色々あったが最後にはほくほくと気分良く、バストゥークに帰ることが出来た。