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Last Modified : 22 JANUARY 2004


調理師として生きる

取りあえず、メロンパイを作られるようになりたいのである。前衛ジョブをメインとしている知り合いには、山串ことミスラ風山の幸串焼きを送れば充分だろう。だが後衛用、魔法をメインとするジョブを生業とする知り合いにはまだ決定打と言える食べ物を送ることが出来ない。最大MPを増やすパイ類ではアップルパイを焼くことができるが、パイ類の中では最も低い効果なのでまだまだ不満だ。もっと相手が胸を張って食べられるような、そして私が胸を張って送ることの出来るパイを作りたいと思う。修行だ。調理スキルを上げなくては。

ウィンダスからサンドリアへと移動。調理の素材が豊富だし、ウィンダスと比べてサンドリアの方が全体的に物価が安めであると経験的に感じる。競売所にて、まずコカトリスの肉を一ダース購入した。今やドルシネアの所持金は10万ギル目前である。15,000程する肉も思い切って買う。太っ腹だ。串焼きを焼いて数ダースは知り合いに送るとして、大体で計算すると6ダースの串焼きが競売で売れれば、肉の代金分は取り戻すことが出来そうだ。

串焼きを作っても調理のスキルはもう上がらない。レシピを参照し、どうやら「ボスディン菜のソテー」を作るのがスキル上げにも費用的にも良さそうであると判断する。食材のボスディン菜はフォルガンディ地方の特産物である。そして現在、フォルガンディ地方を支配しているのはウィンダスだった。特産品を安く仕入れるには、ウィンダスにあるフォルガンディ特産店に行かなければならない。……サンドリアに来る前に買い込んでおけば良かった。ウィンダスのヘブンスコープにボスディン菜を買ってもらい、宅配でドルシネアに送ってもらう。

ボスディン菜でソテーを作るには炎のクリスタルが必要だ。競売で購入、二ダースで4,000ギル。……所持金がもう7万を切ってしまった。まぁそれでも、今までのドルシネアの人生においてこれ程持っていたことは(ギャンブルに勝つまでは)ない訳だが、折角増えた所持金をあまり減らしたくはない。材料のバターを自作してから本番のソテー作り。最初に出来たソテーは取りあえず自分で食べておく。

ソテーを作ってもなかなかスキルが上がらない。食べきれないソテーはNPCに売却するのだが、思いの外買い取り値が高く、あまり損をしている感覚はない。バターを追加で作成、炎クリも更に二ダース買い込む。ウィンダスのトパーズトパーズを走らせて、ボスディン菜も四ダース追加だ。

スキルが上がらないソテー作りを中断し、取りあえず競売に出品するための串焼きを焼く。するといきなり、ハイクオリティ品の「族長専用山の幸串焼き」が出来上がった。初めて出来た串焼きのハイクオリティ品だが、大いに困る。

合成におけるハイクオリティ品は、通常出来上がる物より高い効果を持ったり数が多く出来上がる。武器や防具のハイクオリティ品はノーマルの物より倍以上の値段で取り引きされるし、食べ物だって例えばバブルチョコのハイクオリティ品「ハートチョコ」は、そのハート形の形状も相まってバレンタインデー近くではかなり高騰していたようだ。

しかしこの「族長専用山の幸串焼き」は、確かに通常の串焼きよりも性能こそ高いものの、一回の調理で出来上がる数が12本から4本へと激減してしまう。競売へは一本単位か一ダース単位でしか出品できないから、半端な族長専用が出来るとダースで出品できなくなってしまう。また出来上がるその数の少なさから、一本辺りの価格が跳ね上がってしまう。その値段分の性能差が通常版と族長専用にあるかというと疑問符が点る。通常の串焼きでも充分強力だからだ。結果的に族長専用の串焼きは売れないということになる。

会心の出来である筈のハイクオリティ品の生成は、売れ筋の串焼きを作ったつもりが売れない物が出来上がるという不運に見舞われたことになってしまうのだ。ドルシネアの作った初めての族長専用山の幸串焼きも四本限りでは売りに出せない。次のハイクオリティはいつ出来るか……一ダース揃えられるのはいつになるのか分からない。しようが無いので、知り合いに一本ずつ配ることにした。皆も食べたことないだろうから珍しいだろうし、まぁ、これはこれでいいか。

族長専用の串焼きを知り合いに配り終えて、少しため息を付く。調理のスキル上げを焦りすぎているなと思う。ボスディン菜のソテー作りでなかなかスキルが上がらず、少し頭に血が上っていた。

調理で目標とする料理がある。終わりを迎えるまでにそれを作られるようにならなければと、スキルをもっと上げなければと少々焦っていた。確かに合成のスキル上げは、お金を積めば短期間で一気に上げることが出来る。だが少なくとも私は、スキルを上げることだけに捕らわれてはならない。数値だけを睨んでいてはいけない。結果だけを見ていてはならない。

もっと色々な料理を作る過程を楽しまなければならないと思う。それがこのヴァナ・ディールでより良く「生活する」ことに繋がることだと思う。私はヴァナ・ディールを、FFXIを攻略するためにプレイしているのではない。ドルシネアと共に生きるためにプレイしているのだ。

目標の料理は、その名を「雪山のロランベリー」という。ロランベリーという果実を食材にしたデザートだ。ヴァナ・ディールにはあまりこういった料理は存在しない。だからこそそれに憧れる。これを作るには、ドルシネアのスキルはまだまだスキルが足りない。

「雪山のロランベリー」の素材として、「ゼラチン」が必要だ。ゼラチンは競売や調理ギルドで購入すると高く付く。ゼラチンは合成で作ることが出来るのだが、作るには骨細工のスキルを「見習」まで上げなければならない。

取りあえず、焦りを感じている調理を一休み。「雪山のロランベリー」のために、ゼラチンの自作を目指してみよう。その為には骨細工のスキルを上げなければならない。骨だ。骨が大量に必要だ。

サンドリアからチョコボに乗って、一路グスゲン鉱山へ。暗い鉱山に籠もり、ホネを狩って骨くず集め。初めての作業で新鮮さを味わった。

画像・ホネ狩り。
サイレンの音が響く暗いグスゲン鉱山で骨くず集め。

猫のカバンはカエルでいっぱい

グスゲン鉱山にてホネを飽きるまでしばきまくって集めた骨くず。バストゥークに移動してこれを風のクリスタルで削り、骨の髪飾りを作る。骨細工のスキルアップ! 髪飾りはNPCのお店に売り払う。作業を終えてレンタルハウスに帰ってみると、ジュノに出していたメディシンリングが売れていた。所持金は遂に133,236ギルにまでなった。

合成はこの辺で一区切り。釣竿と疑似餌を持って北グスタベルグに出掛ける。グスタを流れる川に釣り糸を垂らして、今日はカエルを釣ろうじゃないか。先日釣りについて調べたら、今のスキルではカエルを釣るのが上達の近道であることが分かった。更にバストゥーク近辺で釣れるカエルは、今後の調理で食材として使うことが出来るのだ。釣りのスキルを上げながら、後々の食材まで集められる。一石二鳥である。

バストゥーク港から北グスタベルグに直接出ると、そこから先へ行ける場所はパルブロ鉱山程度しかなく、地形的に行き止まりの場所となる。グスタベルグの先、コンシュタット高地に抜けるには、南グスタベルグを経由して北グスタの西部、そしてコンシュタットと移動しなければならない。北グスタベルグを巨大な断崖が東西に分断しているためにこうなっているのだが、とても不便極まりない。ジュノや港町・セルビナからバストゥークへ至る距離が一つのエリア分遠くなってしまっているのだ。交通の便が悪いため、バストゥークにはあまり来る気になれなかったりする。

行き止まりの場所故、南グスタベルグと比べると冒険者の姿はあまり見当たらない。橋から釣り糸を垂らしつつ、釣りの合間に周辺のサーチを掛けてみたりするが、やはり北グスタベルグには冒険者の数自体が少ないようだ。たまにソロの冒険者がとんとんと音を立てて橋を渡っていったり、チョコボに乗った一団が北グスタの端っこにあるパルブロ鉱山に向けて橋をどどどと駆け抜けていったりする。

ドルシネアの釣りの具合はどうかというと、いきなりバケツが釣れて嫌な予感がしたものの、その後は順調にカエルが釣れる。自分のサーチコメントに、「バ蛙蛙蛙蛙蛙蛙バ蛙蛙脚蛙バ」という風に釣果を記録していく。「バ」はバケツ、「脚」は脚部防具の「錆びたレギンス」を指す。このコメントを狩り場で見たCcさんが、パーティプレイの合間を見て感想を言ってくれたりする。

先程からサーチに引っかかっていた、ミスラのシーフが近くにやってきた。近場に数匹湧いているカニたちと戦って経験を積んでいるようだ。やがてカニを倒したその方が、橋のたもとでしゃがみ込みヒーリングを始めた。彼女のレベルは4。サポートジョブはモンクであるから、魔法は使えない。回復を手伝おうと魔法の準備をすると、彼女もドルシネアを見つめてきた。ドルシネアのバザーをチェックしているようである。

彼女に対してドルシネアのケアルIIが飛ぶのと同時に、バザーから串焼きが二本売れた。「毎度アリー」と言いながら防御魔法・プロテスもかける。「いいもん買いました〜」と微笑みながら、彼女は橋を渡って先へと走っていった。

画像・カエル釣りの様子。
木造の橋の上を、時折カニもてけてけ渡る。

グスタベルグの地平線、東から太陽が昇り、ドルシネアの頭上を横切って西の地平線へと沈んでいく。その様子をボーっと眺めながら釣りを続ける。釣竿と一緒に銃も持ってきていた。両手の指には飛び道具の命中率を上げるビートルリング+1もはめている。釣りの合間に何気なく、橋を渡ろうとしているカニに向かって発砲してみたりする。

カエルが順調に釣れる。それに合わせて釣りのスキルも順調に上がり、蛙が20匹釣れる頃には釣りスキルが15に上がった。今日だけで1.0近く上がっただろうか。昔のさっぱりヒットしない時代の釣りを思うと、嘘のような上達スピードである。とても気分がよい。

カエルが二ダースも鞄の中に揃った。サーチコメントにも釣果を書ききれなくなったので、そろそろバストゥークに戻ることにする。橋を去り際にまたカニに向かって銃を向けると、先程のシーフさんが丁度その場にやってきた。銃の乾いた発砲音に立ち止まるシーフさん。「銃いいな〜」と羨ましげに言ってきたので、「ニヒヒ、宝物です」と微笑み返した。そしてもう一度、ケアルとプロテスを掛けてお別れした。


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