1. 番長方面
  2. Dulcet Wind
  3. ドルシネア・ダイアリィ 第三部・目次

Last Modified : 10 JANUARY 2004


石碑に記す者

パイを作るのに必要な香味料・シナモンを買いに、飛空挺に乗ってカザムへ。一ダース買っただけで財布の中がスッカラカンだ。結構高いなシナモン。まぁ、所持金のことあまり考えていなかったってのもあるのだけれど。ため息一つ。

ジュノ港でのチョコボのレンタル代は安かった。何とか借りられてウィンダスへ移動する。お金が足りなかったら、バザーのおにぎりやチョコをNPCに売却しなければならないところだった。貧乏貧乏。ウィンダスのモグハウスに帰宅。ポストを覗くと、競売に出していた黒鉄鉱の代金が送られてきていた。所持金復活。

集めた素材で早速アップルパイ作りに挑戦……成功! 調理スキルもアップした。ミスラ風山の幸串焼きも作成し、これを先日タマネギ狩りをご一緒したCcさんに送る。パイは魔道士の知り合いに送る。前衛ジョブをやっている知り合いには、定番の串焼きを送っていれば良かった。だが魔道士をメインジョブとしている知り合いには送るのにいい食べ物がなかなかなく、残念に思っていた。パイは魔道士の食べ物の定番である。やっと作られるようになった。送る物が出来て、とても嬉しい。

出掛けにモグハウス前のバザーから、「マスの塩焼き」を二つ買っておいた。自分で作った物だけでなく、たまには他人の料理を食べてみるのも悪くない。バザーから買った後で、Tellで「頂きます、どうもありがとう」と声を入れておく。相手はいわゆる寝バザー、プレイヤー不在のキャラクターだ。返事がその場で返ってくる訳ではない。だがもしかしたら後でログを見返すかもしれない。その時Tellが入っていたら、私がバザーの立場だったらきっと嬉しく思うだろう。

クエストのためにギデアスに向かう。パイレートガンと、サブキャラクターのヘブンスコープで買っておいた銃弾も持って行く。ウィンダス周辺で射撃スキルを上げるのに丁度いいモンスターを捜すつもりである。行く先々で、ウサギやらトリやらイモムシやらをパンパン撃つ。ギデアスから帰る頃には弾も切れた。射撃スキルは7に上がった。

アラゴーニュ地方の補給物資を持ってメリファト山地のアウトポストに向かう。ここしばらくで呪符デジョンをよく使った。呪符デジョンを補充するには戦績ポイントを消費する。補給物資を届けることで少しでも戦績ポイントを稼いでおきたい。チョコボでメリファトの北部まで走る。アウトポストで降りて補給物資をガードに渡す。戦績ポイント、プラス40。呪符デジョンとの引き替えに必要なポイントは1,500だ。……無駄なことをしているような気がしてきた。

ウィンダスへ帰りながらトカゲを狩る。トカゲの強さは「楽な相手」。倒せば経験値が入る(=戦績ポイントも入る)し、時には炎のクリスタルを落とす。炎のクリスタルの値段が高くなりつつある昨今だ、ただで手に入れられるのは大きい。トカゲを倒しながら、なんとなくメリファトを探索してみることにした。考えてみれば私はメリファトを余りよく知らない。マップを見ながらいつも通る道沿いを離れ、南東方面に足を向ける。

荒涼とした山地が続く。高い岩壁に行く手を遮られ、道を戻ることもたまにある。フィールドを彷徨くモンスターの絶対数が少ないため、このメリファトはレベル上げパーティの狩り場になっていない訳だが、そのお陰でかなり自由に歩き回れる。時折出会うヤグードと剣を交え、獣人銀貨を得たりする。

画像・メリファトの名所。
メリファトの空中を渡る謎の物体。タルタルはこれを「ドロガロガの背骨」と呼ぶ。

探索の先で、思いがけず石碑を発見した。各エリアの何処かに存在する、アイアンハートという名の冒険家が遺した石碑だ。各地の気候、各種族や獣人の文化、伝承などを記してある。セルビナの村長がこれを研究していて、冒険者に粘土を渡して文章を写すように頼んでくるのだ。今度粘土を持ってこなければ……そう思いながら、取りあえずそれに記された文章を読んでみた。

ここで驚いたのは、それを記したのが私の覚えていた「アイアンハート」ではなかったことだ。私の覚えているのは「グインハム・アイアンハート」。だがこれを記していたのは「エニッド・アイアンハート」だったのだ。石碑を記していたのは一人だけではなかった。「アイアンハート」は少なくとも二代に渡って研究を続けていたのだ。新たな発見に胸が躍る。

取りあえずマップに石碑の位置をマーキングしてその場を去る。お金もないことだし、セルビナの村長に粘土を貰って、すぐ写しに来るとしよう。


ドル猫メリファト探検記

石碑の前を後にして、ドルシネアのメリファト探検は更に続く。夜のメリファトに青白い獣がドルシネアの視界を横切っていく。東洋系の竜を思わせるラプターだ。以前、チョコボで偵察しに来たときに眺めたことがある。あの時は到底敵いっこないモンスターであったが、今のドルシネアなら戦えないことも無さそうだ。だが彼等はその足の速さが厄介。戦況が危うくなった場合に、とんずらを使っても逃げ切れるかどうか怪しいものだ。なるべくなら戦いたくない相手かな。

画像・ゴブリンのキャンプ。
メリファト南部に、すり鉢状の地形を見つけた。

この「すり鉢」の底には何かあるのだろうか。試しに降りて近付いてみるが、ぽつりと灯るゴブリンキャンプの焚き火があるだけだ。これといって特別な場所ではないらしい。面白いところを発見した。狩り場にもならず、人気の少ないメリファトだ。ここを知る人もあまりいないだろう。得した気分である。

北上し、「Galesmouth」と名の付いた地帯に入り込む。そこで何やら大きな身体のモンスターを目撃した。ソロムグ原野で見たことのある、「ビーク」という名の飛ばない鳥だ。確かこいつを倒すと、稀に「コカトリスの肉」を落とす筈だ。これはミスラ風山の幸串焼きの素材となる高価な肉である。……自力でゲットできたら、すごく嬉しいんだけれどなぁ。そう思いながら強さを「調べる」と、意外にもそこに「楽な相手」と出た。いけるんじゃない、これ?

画像・VSビーク。
ドルシネア バーサス Axe Beak。

試しに戦ってみる。開幕時にちゃんと不意打ちも入った、聴覚索敵ではないようだ。パッと見とても鳥には見えないのだが、攻撃の度にビークがコケコケと鳴く。なるほど、ニワトリの化け物みたいなものなのか。だから串焼きの素材にもなるって訳ね。決して楽な戦いではなかったが、何とか勝利した。残念ながら肉は落とさず。でも勝てたね、行けるね!

しばらく彷徨いていたらまたビークを見つけた。「丁度いい強さ」と出る。前のよりは強いみたい。今度こそ肉落としてくれないかなーと思いながら剣を落とした。

これが強い! 一度に二回攻撃してきたりする。受けるダメージがさっきと比べて段違いに大きい。同じビークとは思えない。騙された! たまらず絶対回避を発動。だがしかし凌ぎきれるかどうか怪しいぞ、こりゃ。冷や汗だらだらものである。

そんな中、シャキーンとビークの目が光る。特殊攻撃「邪視」である。食らったドルシネアは「石化」状態に陥った。石化は攻撃や魔法詠唱どころか移動すら出来なくなる、最悪の状態だ。一方的に殴られっぱなしになる上、なかなか治らない。白魔法・ストナで回復できるが、もちろんそれは石化した当人以外が唱えなければならない訳だ。

もうボッコボコの石化ドルシネア。そっか、そういえば「コカトリスの肉」を落とすんだもんな。「コカトリス」といえば、相手を石にする魔物のことだもんなぁ。石化があるのは当然か。あーあ、考えもしなかったよ。

画像・ビークに敗北。
ドルシネア、石のまま死亡。お疲れさまでした。

お陰でウィンダスに帰る手間が省けました。


双子石のピアス

(これが、あの石と
うまく合わさればいいが……。)

ウィンダス・森の区のNPC、Gioh Ajihriの台詞より。

ビークに殺されてウィンダスに戻ったドルシネアは、森の区のとあるNPCミスラの元へと足を向けた。彼女に頼まれたクエストがあった。探してくるように頼まれた物を、ドルシネアはメリファトで手に入れていたのだ。その品物の名は「双子石のピアス」という。トカゲを倒したら戦利品として一つ出たのだ。これを求めていたミスラ、Gioh Ajihriの元へ行く。Giohにピアスを渡すと、彼女は報酬として弓をくれた。

Giohのそばに立つミスラが語るには、双子石は二つの石がくっついて取れる石だそうだ。それを分けて二つ作るピアスはペアとなり、同じ石から作ったピアスしか絶対に合わさらない。ミスラは大切に想い合う者同士で一つずつピアスを身に付けて、それを絆の証とするのだという。

Giohが語る。メリファトにはヤグードの居城、オズトロヤ城がある。そこは20年前の大戦でヤグードとミスラによる大きな戦いのあった地で、多くのミスラの勇士がメリファトの大地に倒れたという。メリファトのトカゲから取れるピアスとは即ち、この地で力尽きたミスラ達の物であるということだ。

冒頭に引用した台詞は、ピアスを受け取ったGiohが呟くものだ。そして実際にうまく合わさったかどうかまでは示されない。だが後にGiohの元にやってきたとき、冒険者は再びピアスを持ってくるように依頼される。それが語ることは言わずもがなだ。そしてこの「双子石の絆」と名付けられたクエストは複数回クリア可能なクエストだ。ピアスを持ってくる度に報酬を貰える。報酬も二度目からはお金となり、なかなか高額なのでお金稼ぎに適したクエストと言えるだろう。だがそれは、Giohがいつまでも求める物を手に入れられないことを意味する。

一体今まで、何人の冒険者が何個のピアスを彼女の元に運んだのだろう。何百、何千、もしかしたら何万にもなろうか。そしてその全てのピアス一つ一つを、彼女は自分の持っている「片方のピアス」と合わせたに違いないのだ。このクエストにおいて彼女は、「終わりに辿り着けない」という終わりに陥っている。私はそんな彼女に、とても切ない思いを抱く。だが終わりがないからこそこのクエストは、数あるクエストの中でも一際美しいのだろうとも思う。

後にメリファトへトカゲ狩りに行ったとき、ドルシネアは一時間余りで七つもの「双子石のピアス」を手に入れた。Giohに渡せば全部で6,300ギルにもなる大きな儲けだ。だがそれをどうしても素直に喜べない自分が、そしてドルシネアが、ミスラ達の眠る地・メリファトに立ち尽くすのである。


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