1. 番長方面
  2. Dulcet Wind
  3. ドルシネア・ダイアリィ 第三部・目次

Last Modified : 10 JANUARY 2004


Century Colors

ジュノのレンタルハウスにて起床する。チョコボの好物である「ギサールの野菜」をむしゃむしゃ頬張りながら、辺境行きの飛空挺に乗る。海を越え、一路カザムへ。

画像・プロペラ。
回転する羽根の向こうに太陽を見る。

向こうの大陸に、
あんたが本当に欲しいものって全部あったかい?

カザム飛空挺乗り場の売店店員、Ghemi Sinteriloの台詞より。

この台詞にふと振り返る。このゲームを始めて約8カ月。その時の中で、向こうの大陸で私は何を得たのだろう。私が欲しいものとは何だったのだろう。そして、一体何を欲するべきだったのだろう……。

Ghemiからミスラントマトを数ダース買い込んで帰りの便に乗る。空を眺め、地を見下ろし、トマトをかじりながらジュノへ。レンタルハウスに籠もってトマトジュースを作る。調理スキルアップ!

翌日、ジュノを出て徒歩でサンドリアに向かう。トマトジュースを飲みながらジャグナー森林にてタマネギ狩り。栽培用の種の採取を狙うがなかなか収穫できない。ジャグナー半ばで辺りをモヤが包む。この様な雲りの天候では、大抵フィールドにボム系の魔法生物が出現する。彼等はそのフィールドのモンスターと比べて強めであるため、特に警戒すべきモンスターである。

ジャグナーのアウトポスト近くまでやって来たとき、そばにやはりボム系のモンスター・Will-o'-the-Wispが出現しているのが見えた。進路の先にふわふわと漂っている。あー、ボムだねー。気を付けないとねー。そう思いながら、タマネギとの戦いで負傷した傷を癒すべく、回復魔法・ケアルを詠唱する。途端にそれに反応し、ドルシネアに襲いかかるウィスプ。ボム系は視覚と魔法反応で敵を感知するのである。近くで魔法を使ってはいけないのである。大ボケこいてしまったのである。

ボム系の最もやっかいな攻撃である「自爆」に巻き込まれ、瀕死になったドルシネア。真っ黒焦げになりつつも、何とか生き延びた。こんなんで死んだら恥も良いところ。無事で良かった。しかし懲りずにジャグナーの出口でトラに絡まれ、近場にいたレベル上げの四人パーティに援護を貰う。カバンからメロンジュースを取り出して、お礼に差し上げた。

その後、ゲルスバ野営陣にいたGzさんに会いに行ってトマトジュースと水のクリスタルを交換したり、チョコボでサンドリアに凱旋したMtさんを出迎えたり。Mtさんにはチョコボ免許証ゲットのお祝いに、ジュース五色セットをお送りした。オレンジ、アップル、パイン、メロン、そしてトマト。振り返ると色々作ってきたものだ。並べてみると華やかで、そしてそのそれぞれが思い出深い。これ以降にもまだ数種類ジュースが控えている。作るのが楽しみだ。


盆踊りの夜

今夜はプレイヤーの有志が主催する「Bon-Odori」が行われる。元々、去年の同時期にやはりプレイヤーが大勢集まって行ったイベントで、今回はスクウェアエニックス側も少し手を貸すようである。ウィンダスの各ゲートには特別なモーグリ達が配置され、祭りの開催を冒険者達に告げていた。

祭りの様子を見に、そしてちょいとは参加するためにチョコボでジュノへ。そして飛空挺に乗りカザムまで行き、パインなどを買い込んですぐにウィンダスに戻る。パインジュースやバブルチョコ、焼きリンゴなんかも作ってみる。要するに出店のような感じで参加しようという訳だ。

夜の20時から開催とのこと。準備を整えたドルシネアが、開催会場の西サルタバルタを目指したのは20時20分頃のことだった。サーチを掛けると驚くべきことに、西サルタバルタに504人のプレイヤーが集まっているとのこと。大丈夫なのか? 恐る恐る西サルタに通じるゲートをくぐってみる。画面暗転、ダウンロード開始。……ダウンロードが終わらない。数分間待った挙げ句、画面に表示されたのは回線の切断、強制終了を示すダイアログだった。しかも再ログインが出来ない。

二回目のリトライで無事ドルシネアは西サルタに降り立った。星降る丘を目指して走り出す。人影はあまり見当たらないが、徐々にShoutが聞こえてくる。どうやら人が多すぎて、すぐ近場にいる人でないと表示できなくなっているようだ。ドルシネアの動きも微かにぎこちない。

その時ログウィンドウにシステムメッセージが表示された。「Bon-Odori開催中のため、BGMを変更いたします。」 相変わらず人はあまり表示されないが周囲から歓声が上がる。プレイヤー達の統率が取れず、祭りがなかなか始まらない。スッキリしないこの雰囲気を、派手なBGMが打破してくれるだろうか。

なかなか替わらないBGMに不満の声が上がり始めてからしばらく経って、ようやくBGMが切り替わった。……恐ろしく静かなBGMである。枯れ葉舞う秋を感じさせるような、実に哀愁漂うBGMになってしまった。当然のように不満の声が上がる。確かにそれはそうだろう。どういう選曲のセンスをしてるんだ?

画像・Bon-Odori、その一。
Twincle Tree周辺にぼうっと立つ冒険者達。

相変わらず、冒険者達の動きに一体感が伴わない。踊るでもなく、歩くでもなく。バラバラに立ち尽くした冒険者達が、近場にいる者だけ取りあえず表示されるという感じである。もっと魔法とかジョブアビリティを連発して派手に騒ぐようなものだと思っていたのだけれど。抱いていた印象と随分違う、怠惰な雰囲気をそこに感じていた。

特に気になったのは、そこかしこから発せられているShoutの内容だ。詰まらない駄洒落や匿名掲示板のスラングの垂れ流し。それらは私にとって、聞くに耐えないものだった。恐らくそれ以外のまともな会話は、パーティやリンクシェルの仲間内で行われているのだろう。

アウトポスト周辺に場所を変えると、その周辺はある程度統制が取られていた。列を作り、並んで輪を作ろうとしているようである。花火なんかも打ち上げられているようだ。

近場のタルタルにヤグードが絡んでいた。Bon-Odori開催中といえどフィールドにモンスターは存在する。低レベルであると絡まれて殺されかねないのだ。ヤグードは誰かに始末されたようだったので、そのタルタルに回復魔法・ケアルを施す。感謝される。と、その時バザーの焼きリンゴやパインジュースが売れた。振り返ると、エルヴァーン(男)とヒューム(女)のカップルが買っていったようである。焼きリンゴを食べる様子がログウィンドウに流れた。作ってきて良かったなと、少し嬉しく思う。

画像・Bon-Odori、その二。
焼きリンゴを食べたカップル。楽しんでいただけましたか?

だがやがて、やる気も完全に削がれてしまった。下らないShout以外は聞こえてこない、静かなBon-Odori会場を後にする。手元に残ったのは大量の売れ残り。やれやれ失敗、困ったもんだわ……。


Record Link