Last Modified : 19 JULY 2004
From Dulcinea's diary Part.3 "Dulcet Wind to Heaven".
約一週間振りのヴァナ・ディール。ウィンダスに復帰したドルシネアは、取りあえずおにぎり作りからスタートだ。海苔が足りなかったので、ウィンダス港の釣りギルドまで走って購入する。おにぎりには具の入った「鮭おにぎり」が別レシピとして存在する事を知りこちらを作ってみようと思ったのだが、鮭をいぶすための原木が入手できずに断念する。
ウィンダスを出て北上、タロンギ大峡谷へ。キリンを狩って肉を得、ステーキを焼いて食べる。更に北上してメリファト山地へ。トリやトカゲを狩りながら先に進む。更に北のソロムグ原野に出る。西側のルートを進んでいると、狭い道の近くにポルターガイスト系の強敵・イビルウェポンがいて進めない。困っていると、近場の脇道で狩りをしていたパーティがこのウェポンを連れて行った。ラッキー。そこを通り過ぎるとあとは危なげなく、ドルシネアはジュノに辿り着いた。
久し振りのジュノでは以前から気になっていた、町中の街灯を点けて回るクエストを受けた。以前、NPCのミスラがゆっくりと歩いて街灯を点けていたのを見たことがある。このクエストを受けた冒険者がいない日は、彼女が街灯を点けると聞いた。この仕事の定員は、一日に一人だけ。誰かが受けているときは、別の人が受けることは出来ない。今日ドルシネアが受けることが出来たということは、つまり今日は誰も受けていないということを意味する。ドル猫が仕事を受けたから、あのNPCミスラは今夜はお休みということになる。
21時を過ぎ、依頼主のガルカに街灯を点けてくるように言われてから歩を進める。NPCのミスラを真似て、ゆっくり歩きながら街灯を回ることにした。灯すべき街灯の数は12。深夜一時までに点け終わればいい。充分な時間はあるのだ。大勢の冒険者がたむろする競売所前を通り過ぎ、石の階段を下り、上り。一つ一つ、確かめるように点けていく。ボッと音を立てて明かりが灯る様は、他の冒険者にも分かるそうである。その様子、まだ見たことがなかったな。今度誰かが灯していくのを、のんびり見守ったりしてみようか。
全ての街灯に明かりを灯し、依頼主のガルカに報告。この仕事はボランティアなので、報酬は一切無し。それでも何となくいい気分なのは、このクエストの持つ独特の味というところだろうか。
チョコボを借りて、ドルシネアはサンドリアを目指した。
サンドリアを出て、ロンフォール、ラテーヌ高原と走っていく。久し振りにリンクパールも付けていたが、リンクシェルの会話ではなくTellで直接「おかえりなさ〜い♪」とか「お久しぶりです」と声を掛けてもらったりする。Tellでの呼び掛けは個人対個人のものであるため、より親密な感じがする。だからとても嬉しい。
トパーズトパーズの栽培再開のために、植える種が必要だ。ジャグナー森林にてタマネギを狩る。ジャグナーのカブトムシが、自らは襲ってこないノンアクティブのモンスターであることに今更ながら気付く。そうと知っていれば、五月の連休でここを経由してジュノに行ったヌナイはもっと楽に行けたのに……カブトムシに襲われる!と必要のない警戒をしていたのだなぁと、少々ガッカリする。
まだ狩りを始めて間もない頃に、TkさんからTellが届いた。これから辺境行きの飛空挺に乗ってカザムへ行こうというのだ。
Tkさん達は私がしばしの休養を取っている間に、イベントとして皆で初めての飛空挺乗船を体験していた筈だ。恐らくTkさんは休んでいて一緒に飛空挺に乗れなかった私を気遣ってくれているのだろう。でも今は種を集めたいんだけれどなぁと渋っていたが、Tkさんの意気込みは大したもので全然引く様子が見えない。
私が渋っているのにはもう一つ理由があった。この様な突発的な集まりに、参加できない人がまた不満を抱くのではないかと警戒したのだ。Tkさんの他に数人集まるということだから尚更である。私がリンクパールを外すキッカケとなったのは、私達数人が飛空挺に乗る計画を立てていたことを知らなかった方が、外されたように感じて不満を抱いたというものだった。同じような経過を辿ってまた面倒なことになるのは、いい加減御免被りたかった。
結局この時はTkさんがTellで「知らせる」ことで確認を取ることで、問題なしということになった。だが正直、知り合い数人で集まるのにそこまで気を回さなければならないのかと、少々うんざり感じたのも事実である。
バタリア丘陵を徒歩で横断したドルシネアがジュノ港で会ったのは、Tkさんを始め、Rnさん、Rbさん、Mkさんの四人である。ドルシネアを加えて五人でパーティを組んで、飛空挺乗り場へと向かった。いよいよ初めての、飛空挺の旅である。
そして定刻がやってきた。飛空挺が桟橋を離れ、軽快なBGMと共に海から飛び立つデモが流れる。画面暗転、データロード。
やがて飛空挺はウィンダスのあるミンダルシア大陸を離れ、辺境の地・カザムへと降り立った。400年前に流浪の民、ミスラ達が移住してきた漁村である。この地からウィンダスへと、一部のミスラは旅立っていったのだ。
カザムに着くとTkさん、Rbさん、Mkさんは別パーティとなり、カザムの門を抜け外へと旅立っていった。どうやら別に用があるようだ。残ったRnさんと二人でカザムを歩いて回る。
ウィンダスはタルタルとミスラの国だったが、ここはミスラだけの町である。もう周りは猫女だらけ。私とRnさんもミスラだから、もう目に入るのは猫だけである。女子校的雰囲気なのである。実際にこの場に立っていたら、なんだか居たたまれなくなるんだろうなぁとか思う。
二人で宛もなくウロウロとしていると、Rnさんが別の場所にいるリンクシェルの仲間からレベル上げに誘われたという。夜も遅く私はそろそろプレイを終えようと思っていたため、了解してRnさんにそちらへ向かうよう勧めた。パーティを解散し、別れの挨拶をしてから背を向けてその場から歩き出すと、Rnさんは瞬間移動の黒魔法・デジョンで姿を消した。
結局、一人になってしまった。
足を止め、立ち止まった私が感じていたのは、以前と同じ感情である。以前ダボイでMkさんとのパーティを解散したときのような、共に行動する仲間を横取りされたような「悔しさ」を感じていたのである。確かに経験値稼ぎの狩りをしていた訳ではない。だが一緒に行動していた、パーティの仲間だったのだ。自分で承諾をしておいて勝手だとは思うが、それを持って行かれたという悔しさ・寂しさを感じる。
それは仕方のないことかもしれない。FFXIにおいてはレベル上げのための時間は膨大に必要だ。経験値を稼ぐことの出来る機会は、時になかなか訪れない。私自身も苦労した時期があるからそれはよく分かる。冒険者として生きる者にとって、レベル上げの機会は大切なものなのだ。このヴァナ・ディールで生きていくということは、レベル上げを続けていくということと言えるかもしれない。
それに対してドルシネアはレベル上げを止めた、冒険者を辞めた者だ。冒険者としては「死者」である。……死者に生者は止められない。
『私の名はドルシネア。
レベル上げを止めたミスラのシーフだ。
「終わり」を探して今日も惑う。
「何処」で終わろう。「どう」終わろう。
今夜は何処で休もうか……』
そもそもRnさんは既に一度はカザムを訪れている筈、もしかしたら退屈であったかもしれない。わざわざ付き合ってくれていたのだ、留めることは出来ない……。(例によって考え過ぎ。自意識過剰だ……)と、そんな風に自分を戒めながら、自分を抑えながら、見知らぬ土地に足を踏み出す。
おにぎりを頬張りながらカザムを歩いた。ミスラの故郷・カザムは「終わりの地」として考えていた場所の一つである。ウィンダスに似た作りの、緑の豊富ないい町だ。だがミスラが走るには少々狭すぎる感がある。元気なミスラ達ではその躍動的な身体に持つエネルギーを持て余すのではないだろうか。
入った宿屋にハンモックが架けられているのを見つけた。丁度いい、これを使わせてもらうとしよう。今夜はカザムで、ログアウト。