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Last Modified : 10 JANUARY 2004


おにぎり対からしせんべい、南海の死闘

ウィンダスの調理ギルドでメロンジュースを作る。スキルは36に上がった。チョコボに乗ってウィンダスを出るとRmさんに出会う。先程作ったメロンジュースを二本渡す。そしてドルシネアは今日もマウラへ。

「釣りのお供におにぎりもどうぞ」とバザーコメントに書いて、モグハウスで作ったおにぎりをバザーに出す。そして今日も黙々と釣りをして過ごす。

船待ちをしていた冒険者が、船に乗る前に「からしせんべい」を食べた。からしせんべいは正確な効能が不明な食べ物で、噂でシーフのアビリティ・トレジャーハンターと同じアイテムの入手確率が上がる効果があると、冒険者の間でまことしやかに言われたりしている。それが本当かどうかは分からないが、少なくともあの冒険者がステータスを上げるため以外の目的で食べ物を食べる、洒落っけのある方には間違いない。思わず対抗して、バザーに出さずに取っておいたおにぎりを頬張るドルシネア。

それに気付いた先程の冒険者が、船に乗り込もうとした足を止める。そして離れた場所で糸を垂らしているドルシネアのバザーを覗き込んだ。「お?」と思うや否や、ドルシネアのおにぎりを二つ買ってくれる。こちらにお辞儀をして船に入っていく冒険者に、ドルシネアはにやりと微笑みを返した。

ウィンダスに帰り、チョコボでバストゥークへと向かう。マウラで釣れた「イエローグローブ」を分解することで毒素を作ることが出来る。これは錬金術の技術だ。久し振りにバストゥークの錬金術ギルドに行き、スキルを磨こうという訳だ。目的のない、思い悩みながらのマウラの釣りは、思いも掛けず役に立った。

Nmさんに頂いてたまっていた「雷の塊」もこれに使うことが出来た。イエローグローブ6ダースを消費して毒素が3ダースほど生成できた。錬金術スキルは9.5くらいまで上昇。昇格試験を受け、錬金術は「素人」から「見習」へと昇格した。

少し喜んでいたところに、Lxさんからメッセージが届く。それを読んで非常に強いショックを受けた。自分中心的であると、一方的に非難されている内容であると受け取ったからだ。実際のところ、Lxさんは同様のメッセージをトラブル中の双方に送っており、お互いに譲歩を勧めるメッセージだったのだ。だが前述のように、私はそう読みとらなかった。

リンクシェルを離れた私を親しくフォローしてくれていた方にまで、批判されてしまった……混乱と絶望に包まれながら一度ログアウトした。

しばらくして再びログインした私は、ドルシネアをチョコボに乗せてセルビナへと向かった。……自殺するためである。


Suicide on the sea

先日の、パシュハウ沼でのモルボル戦を思い出していた。圧倒的な攻撃に敵わず沈んだとき、私は爽快感を感じた。だからまた同じ爽快感を感じようと思ったのだ。船に乗り、船上に現れる強力なノートリアスモンスター・シーホラーに殺されれば、少しは気分が晴れるのではないかと考えたのだ。死んでしまうドルシネアには悪いけれど、もう私にはそれくらいしかこの暗澹たる気分を打破する方法を、思い付かない。

セルビナに到着した船に乗ると、船倉にはドルシネアの他にも多くの冒険者が乗り込んでいた。これでは自殺は出来ないか、と思う。流石に衆人の見守る中で死ぬまではできない。船が出航して冒険者達が甲板の上へと上がっていく中、目的を失った私は船倉にボーっと立ち尽くしていた。

しばらくして持ち物を確認すると、マウラで使っていた海釣り用の竿を持っていた。海釣りでもするかという気になって、船内のお店で売られていた餌を購入して甲板への階段を上った。

甲板に出るドアに手を掛ける。重い音を立ててゆっくり開いた扉の先に、一匹の大きなタコの姿が現れた。一瞬、お迎えが本当に来たのかと思った。シーホラーはタコのノートリアスモンスターだからだ。だがそれは通常のモンスターであるシーモンクだった。もっともドルシネアにとっては、シーホラーだろうがシーモンクであろうが、致死性の脅威であることに代わりはない。

驚きで呆然と立ったままのドルシネアに、シーモンクが襲いかかる。ドルシネアとシーモンクの間にある扉が自動的に閉じていく。するとシーモンクは扉を越えて、船の中まで進入してきた。ここに来て意識がはっきりとする。マズイ。ドルシネアが殴られているのはともかく、シーモンクを船内に入れてはいけない。船内にはレベルの低い冒険者が敵を避けるために籠もっているかもしれないのだ。

慌てて扉を開けて甲板に走り出る。次の瞬間、シーモンクに飛ぶ弱体魔法・ディア。ドルシネアを襲っていたシーモンクは、ディアを撃ち込んだ男性のヒュームへと向かっていった。足を止めたドルシネアに、今度は回復魔法・ケアルが唱えられる。ヒュームの隣に立っている男性のエルヴァーンが放ったものだった。

画像・助けられたドルシネア。
ドルシネアを襲ったタコは、救い主によって倒された。

それは私が逆の立場なら……モンスターに襲われた弱者を見たならば、当然のように行う行為だ。だがこの時それを受けて、私は疲れ切った心を癒される思いだった。自殺をしに来たのだが……もし今シーホラーが現れたとしても、彼等のいる側でシーホラーに「/welcome」して歩み寄るような失礼な真似は、出来る筈がない。

お礼をして、彼等の横で釣りを始める。時折Sayで会話しながら、短い船旅を楽しんだ。


Waste days

死に損ねた私を乗せ、船はマウラに辿り着く。結局ここに流れ着くのかと、再びマウラで釣りを開始。おにぎりを食べながらイエローグローブを釣り上げて、雷のクリスタルで分解して毒素を作る。釣りのスキルと錬金術のスキルが上がっていく様を、半ば呆然と眺める。

MtさんからTellが届いた。確か今夜はLxさん以外の仲間も加えて、タロンギで狩りをしていた筈だ。その報告を楽しそうにしてくれるMtさんに、つい堪えきれずに聞いてしまう。
「ワタシの今までのおせっかい、邪魔になっていませんでしたか?」
良かれと思ってやっていたことが、全て自己中心的な押し付けであったとしたら。

「ドルさん〜、どうしてそんなこと。あるわけないじゃないですか」
「今日のドルさん、なんかいつもと違います」
そのように言うMtさんに、挫けた心を吐露してしまう。
「すいません、少し自信をなくしました」

私の返答に絶句したMtさんに代わり、Lxさんが声を掛けてくれる。そこでようやく、Lxさんからのメッセージが前述のような、私個人を非難するものでなかったことを知った。
「同じLS仲間なのになんにもできないと辛いので」
当リンクシェル歴の短いLxさんがそういってそこまで尽力してくれることが、本当に嬉しかった。リンクシェルの仲間といっても、付けていなければそのまま忘れ去られて終わりなのかなと思っていたから、尚更だ。

釣りを止めてマウラを出る。出口でキリンとギリギリの戦いを繰り広げるガルカが一人いた。メインジョブが戦士、レベルは23。サポートジョブに白魔道士を付けていたが、キリンの特殊行動・白眼視を食らって魔法の詠唱が出来なくなった。それは回復手段を失うことを意味する。ガルカにケアルを飛ばす用意をして、戦いを見守る。やがて僅かな差でガルカはキリンを退けた。

画像・ガルカとドルシネア。
マウラの出口にて、勇敢なるガルカの戦士と出会う。

しゃがんで回復に入るガルカに、ケアルを飛ばして回復を助ける。だが流石に逞しいガルカ、二回程度のケアルIIでは大して回復させられない。ドルシネアもその場にしゃがんで、MPの回復を図る。お辞儀をしてくれるガルカさんと二、三会話して、カバンに入っていたメロンジュースを二本渡す。回復の手助けになるとよいけれど。

伝えなければ伝わらない。ウィンダスに戻った後で、競売所、調理ギルド、各地方の物産店を巡って素材を集める。炎のクリスタルがダースで1,900ギルもすることにげんなりする。炎クリは調理で大量に消費するというのに。

なんとか集め終わった素材を持って、ウィンダス・水の区の調理ギルドへ。NPCの上級サポートを受けて調理を開始だ。どちらもまだ一度も作ったことがない。スキルは足りている筈だが、失敗しないということは絶対にない。心配だ。

Mtさんにはレベル上げでは食べないような、8種類もの食材を使う「ウィンダス風サラダ」を。Lxさんにはレベル上げで取る食事の定番「ミスラ風山の幸串焼き」を。どちらも失敗することなく作ることが出来た。ホッとする。それぞれメッセージを添えて宅配で送る。色々安堵して、ログアウト。


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