Last Modified : 10 JANUARY 2004
From Dulcinea's diary Part.2 "Dulcet Wind flows Vana-wide".
トパーズトパーズの植木鉢から、高価な「光のクリスタル」が四つも収穫できて喜んだり、グスタベルグの小山でクエスト用のソーセージを焼いたりしてから、ドルシネアはジュノに向かった。いよいよ今夜は、ミッションのドラゴン戦である。だがそれまでにはまだ時間があるので、タルットカードを収集したりパーティを組んでレベル上げをしようかなと考えたのだ。
だがタルットカードを求めるShoutには反応はなく、パーティを組もうにも同レベル帯の冒険者はジュノには少なかった。さっさと諦め、チョコボに乗ってバストゥークへ戻ることにする。
途中、パシュハウ沼でチョコボを降りた。折角なので、ここいらでのソロによる経験値稼ぎを試してみる気になったのだ。念のため、危なくなったら逃げられるように、コンシュタット高地に逃げやすい位置で敵を求めた。どうやらトンボと戦えそうである。パインを搾ってジュースを作り、戦闘中にMPの充填を出来るようにして剣を振りかざした。
トンボの嫌な攻撃は、「カースドフィア」という飛び道具である。ピンク色の光球がターゲットされた相手に撃ち込まれ爆発、範囲内の冒険者全員に大ダメージを与えるというもの。一人で戦っている今、ダメージは一人分で済む(この時は大体50くらいだった)。これがパーティプレイとなると、少なくとも前衛の人数分ダメージ量が増えるということになり、ケアルによる回復の手間と必要なMP量も増える。とてもやっかい、という訳だ。
近くをゆっくりと歩むモルボルに恐怖したり、降る雨の音に緊張をほぐされたり。戦闘毎にパインジュースを絞っていたら、調理スキルが26に上がった。ある程度経験値を稼いで沼を立ち去る。トンボは大したアイテムも出さなかった。どうやらこいつは、「おいしい」敵では無さそうだ。
現実時間で22時前、バストゥーク鉱山区のチョコボ厩舎前にメンバーが集まった。ドルシネア、Flさん、Mhさん、Rnさん、Tkさん、そしてRmさん。ウィンダス所属・ランク2の冒険者達である。いよいよミッション「三大強国」のオーラス、ドラゴン戦に出撃である。
ウィンダス領事館で「呪符リレイズ」……自己蘇生魔法・リレイズを封じ込めた札。一度使うと消滅する……を入手したりしてから、チョコボに乗ってパルブロ鉱山へと向かう。
これだけ大人数のチョコボで移動するのはこれが初めて。ちょいとワクワクする。北グスタベルグを北東へ。Tkさんがはぐれたりしつつ(お約束か?)、全員揃って鉱山に到着。装備を整え、敵地に乗り込む。
暗い行動を、ドルシネアが導くように先へと進む。この鉱山をある程度攻略した経験のある者はメンバーにあまりいなかったためだ。ドルシネアは以前、クエストを解くために潜ってつるはしを振るったことがある。少しだけ、地理に明るいのだ。とはいえ、入ってしばらくは脅威となる敵もいない。わんさかと彷徨くカメ達を避け、先へと足を進める。我々の後ろには、リンクシェルメンバーで高レベルの者が応援(冷やかし?)の為に続いていた。
やがて入り組んだ迷路状の場所に踏み込む。この辺になると彷徨くカメ達はかなり強くなっており、近付くとすぐに絡んでくる。一人で挑んだ場合は命が危ういが、今は六人のフルパーティである。絡まれたらすぐに近場のメンバーが駆け寄って、カメをボコボコにする。ところがこの迷路の先を求めて、パーティメンバーが徐々に散り散りになっていった。一人離れたドルシネアが次々とカメに絡まれ、少々危なっかしい状態になったりする。
なんとか最深部、マップで不明瞭になっている部分へと辿り着いた。
話によると、このバーニングサークルにメンバーで突入することにより、メンバー専用の戦闘フィールドに移りボス戦、ということになるそうである。サークルには先客のパーティが控えていた。皆、同じ色のリンクパールを付けている。我々と同じく、リンクシェルのメンバーでドラゴンに挑もうというのだろう。町でShoutをして見知らぬ人同士で集まる、いわゆる野良メンバーで挑むのも刺激的であると聞くのだが、仲間内でメンバーを揃えられるのは、楽ではある。
先のパーティがバーニングサークルに乗り、戦闘前の食事を取る。その様子を話しながら眺めていると、やがて彼等の姿が消えた。ドラゴン戦に突入したようである。……次は我々の番だ。
画面暗転。そしてデモが始まった。ドラゴンを従えた一つ目の化け物と、バストゥーク銃士隊の一人(NPC)が対峙している。目玉は知能が高いらしく、銃士に不敵な言葉を投げかける。いきり立つ銃士を跳ね返す目玉。そして……画面暗転。
少しすると、バーニングサークルから転送された暗いフィールドに、ドルシネアの姿が浮かび上がった。先程までいた坑道のような場所である。やがて周りに仲間達が姿を現した。無事全員転送されたようだ。皆で顔を見合わせ、安堵と興奮の声を静かに上げる。
すぐその場で戦いが始まる訳ではない。現在いる通路がまだ少し続いているようだ。この先に先程のドラゴンと目玉、二体のモンスターがいるのだろう。各人、呪符リレイズを使ったり、防御魔法をメンバーに掛けたりと、準備を整える。声を掛け合い、通路を進む。行く手に広間が現れた。足を止め、突入の準備。ドルシネアはいち早く不意打ちを発動。次の不意打ちへのカウントダウンを開始する。一発でも多くの不意打ちを入れるためには、次の不意打ちが近づいた状態で飛び込むのが望ましい。
カウントダウン残り15秒辺りで声を掛け、遂に突入! Flさん、Tkさん、ドルシネアの前衛陣が前に立ち、それにRnさん、Rmさん、Mhさんの魔道士陣が続く形だ。まずは目玉を落とす! 戦士の二人が目玉の注意を引きつけ、その隙にドルシネアが「とんずら」で後ろに回り込み不意打ちを打ち込む。すぐさま走り、ドラゴンの前へ。二時間ジョブアビリティ・絶対回避を発動しながらドラゴンに拳を叩き込む。戦士が目玉を倒す間にドルシネアがドラゴンの注意を引きつけるという作戦だ。もちろん絶対回避を発動させ、ドラゴンの攻撃は避けることになっている。
初めて戦うドラゴン戦、流石に自分以外のメンバーの状態までは全くといっていいほど気が回らない。戦士の二時間ジョブアビリティ・マイティストライクを発動させて一気に目玉を潰した戦士陣は、その勢いのままドラゴンに。だがそれ以前に二時間ジョブアビリティ・連続魔を使って魔法を一気に叩き込んでいた赤魔道士のRmさんは、ドラゴンの攻撃を一身に浴びて危険な状態に陥っていたという。白魔道士のMhさんが慌てて回復させたという話だ。
敵がドラゴン一体だけとなった後は、もうあっという間だった。戦士二人の強力な攻撃、赤魔道士と黒魔道士・Rnさんの攻撃魔法に、白魔道士の補助。決めておいた連携を全段打ち込む暇もなく、ドラゴンは倒れ伏した。圧倒の勝利である。興奮に彩られた歓声の中に、拍子抜けの言葉が混ざったのも無理はない。
勝利後のデモが流れた後、各人でログを見返して戦いを反芻する。しばし楽しく話し合った後、通路を先へ。パルブロ鉱山内部から坑道内の川を下る船に乗って、ツェールン鉱山に移動。ツェールンを出るとそこは明るい日の光が差すバストゥーク鉱山区だ。
大工房のウィンダス領事館に赴き、ドラゴン退治を報告。あとはウィンダスに戻ればミッションはクリアとなる。なる訳だが……。
我々が今いるバストゥークからウィンダスに戻るには、セルビナで船に乗ってマウラに渡る海路か、北上してジュノの脇を通り抜け南下する陸路の二つの選択となるところであった。しかしこの時、リンクシェルメンバーのMkさんが第三の策を提供してくれた。白魔道士のみが使える瞬間移動魔法・テレポメアを使って送ってくれるというのだ。
テレポ系の移動魔法は術者とその近くにいるパーティメンバーを、それぞれの魔法に対応したゲートクリスタルの元へと飛ばす効果を持つ。前述の「テレポメア」では、異動先はタロンギ大峡谷にある「メアの岩」のゲートクリスタルとなる。同様に「テレポホラ」はサンドリア方面・ラテーヌ高原の「ホラの岩」、「テレポデム」はバストゥーク方面・コンシュタット高地の「デムの岩」へと移動することが出来る。ただし一つだけ条件がある。テレポで飛ぶには、それぞれの場所のゲートクリスタルを持っていなければならないのだ。
テレポ……それは広大なヴァナ・ディールを渡り歩くにはとても有用な魔法である。移動だけで数十分も使ってしまうこの世界だ。ジュノではある程度の手数料で各地へのテレポを行ってくれる、「テレポ屋」でお金を稼ぐ白魔道士の姿も見られる程だ。
Mkさんの厚意を受け、我々はタロンギまで送ってもらうこととした。メンバーを二組に分け、一組ずつMkさんとパーティを組んで送っていただく。ドルシネアは二番目の組みとなった。
仲間をテレポでタロンギに運び、更に黒魔道士用の移動魔法・デジョンでホームポイント……今回の場合はバストゥーク……へと戻ってきたMkさん。領事館前にやってきたMkさんとパーティを組み、今度は我々がタロンギに飛ぶ番である。考えてみれば、私は初めてテレポを体験するのである。少し緊張……。
メンバーが全員パーティに加わり準備が整うと、Mkさんは長いテレポメアの詠唱に入った。長い……長い……そしてタルタル・Mkさんの短い右腕が上に掲げられた瞬間、メンバーの身体が縦に伸びる光に包まれた。薄れ行く各人の身体……飛ぶぞーッ!
あれ? Tkさん!? と喋る暇もなく画面暗転。データのロードが終わるとそこはタロンギ大峡谷、メアの岩のゲートクリスタルだ。そしてパーティメンバーの居場所を確認すると……やっぱりTkさんだけバストゥークだ。
Tkさん、まだメアの岩のゲートクリスタルを取っていなかったのである。失敗した……確認するべきだった。それを詫び、Tkさんを責任持ってウィンダスまで送ると言って、Mkさんは再びバストゥークへとデジョンで飛んでいった。結局MkさんとTkさんは、船に乗って移動することとなったのだった。
Tkさんが来られなかったのは予定外であったが、しかしこのことでこの後のメンバーが決定したのである。タロンギを競争するように南下し、ウィンダスを目指すメンバー。急いでミッションをクリアし、またパーティを組まなければならない。
ギデアスで、ドラゴンと戦うためである。
我等がリンクシェルのメンバーで、ドラゴンを倒してミッションランクを上げようとしていたのは実は七人いたのである。前述の六人はウィンダス所属であり、ウィンダスのミッションではバストゥーク方面かサンドリア方面のドラゴンと戦うことになる。七人目のLxさんはサンドリア所属のエルヴァーン紳士。サンドリアのミッションでは、バストゥーク方面かウィンダス方面のドラゴンと戦うことになっており、Lxさんはウィンダスのドラゴンと戦う道を選んだのだった。
ドラゴン戦は、既にそれをクリアした者なら手伝うことが出来る。だから今回我々は、先にバストゥーク方面のドラゴンを倒してから、そのメンバーでLxさんのドラゴン戦に加わることにしたのである。
先程ドラゴン戦を終えたメンバーが六人。Lxさんを入れると七人になる。ドラゴン戦に行けるのは六人までだ。一人抜ける、ということになる。その辺を決めずに取りあえずウィンダスに移動していたのだが、偶然Tkさんが移動できなかった。結果的に、ウィンダスのドラゴン戦に向かうメンバーが決まったという訳だ。
タロンギ大峡谷からウィンダスに戻った我々は、早速石の区・天の塔に向かいミッション遂行の報告を済ませる。
天の塔における、毒舌で可愛い人気キャラ・Kupipi。彼女に渡すアイテムが競売で僅かしかなかったのを見て、リンクシェルメンバーで買い競ったりする。買い損ねてしょぼーんとしているメンバーに、競り勝った別のメンバーが譲ったりする。
準備を整え、パーティを組み直してからチョコボで東サルタバルタを出陣。夕日の沈み行く西サルタバルタに移動し更に西へ。ヤグードの巣くうギデアスへと入っていく。何処に行けばいいのか走らないので、道を知るメンバーの後ろに付いて走る。
ギデアスを奥へ、更に奥へ。こんな奥まで来たことがないな……と少し心細く思う。日が暮れた頃、見慣れない装飾が立ち並ぶ場所にやって来た。いよいよらしい。道の両脇に並ぶ松明を見つめながら先に進むと、それは現れた。
人がいっぱい並んでいる。二、三パーティ分というところか。どうやらバーニングサークル突入の順番待ちということらしい。
ここギデアスのバーニングサークルは、ミッションのドラゴン戦以外にも使われているそうだ。高レベルの冒険者達が貴重なアイテム……主に非常に重要な魔法……を得るため、必死にアイテムを集めてボス戦挑戦への資格を得、仲間を募って日夜挑んでいるのである。勝っても必ず入手できる訳ではない。その魔法がないとパーティに誘われなかったり、冷たい言葉を浴びせられたりすることもあるようだ。挫折して、ゲームを止めてしまう者も中にはいると聞く。そんな緊張感を伴った者達が、今我々の前にいるということだ。
だがこの順番待ちは、こちらの緊張感をすっかり削いだ。これからドラゴンと戦うのに。ボス戦なのに。行列に並んで順番待ち。こんなの今までのゲームで体験したことがない。ラスボス前に「あ、今、他の勇者が戦ってますから」なんて有り得ない。まだかー、まだかーと、イライラしてくる。元々待つのは嫌いな性分なのである。
しばらーく待って、やっと我々の番になる。緊張感よりも、やっとかいという安堵感と共にバーニングサークル突入。目玉とウィンダスのNPC、セミ・ラフィーナのやり取りだ。ドルシネアと同じフェイスタイプのミスラであるセミ・ラフィーナは、バストゥーク方面で登場した銃士よりも格はずっと上のようだ。惚れた。
ドラゴン戦は、パルブロでのそれよりも更に楽に勝つことが出来た。TP100%貯まった! コンボ打つぞ!と思った瞬間ドラゴン轟沈。ウェポンスキルも打たせて貰えないのかいって感じ。もっと歯ごたえのあるヤツと、戦いたかったね。
ドラゴン退治の長い夜は、こうして幕を閉じた。