Last Modified : 10 JANUARY 2004
From Dulcinea's diary Part.2 "Dulcet Wind flows Vana-wide".
お金に困ったので、セルビナ村長のクエストを受けようと決めた。各地に点在する石碑の型を取ってくるクエストだ。型を取るには村長から粘土を貰っておかなくてはならない。取りあえずセルビナへ、船に乗って移動する。
セルビナで村長から粘土を受け取って、町の外、バルクルム砂丘に出る。まずは先日石碑の場所を確認しておいた、この砂丘の石碑をクリアしてしまおう。その後、船で戻ってタロンギ大峡谷の石碑かな……などと考えながら、サクサクと砂を蹴る。
海岸で狩りをするパーティを横目に、海岸の端まで走る。そこに小さな洞窟がポカリと空いていて、その行き当たりに石碑は存在するのだ。洞窟には二組ほどのコウモリがいる筈だ。でもこの間下見に来たとき、コウモリは絡んでこなかった。ここのコウモリはアクティブじゃないんだ。それを知っていたので、躊躇することなく一人洞窟に踏み入れる。
真っ暗な洞窟を進んでいくと、コウモリがパタパタと飛んでいるのが目に入った。はいはいどうもー、失礼しますよー。ちょいと石碑の型を取るだけですので、一つよろしくー。なんて事を無言で呟きながらコウモリを通り過ぎる。後ろから、チチッというコウモリの鳴き声が聞こえた。……はい? なんで鳴きますか?
コウモリやらゴブリンやら、モンスターが声を上げるのは怒っているときなのです。つまり、襲いかかってくるときに鳴くのです。あれ? そんな筈は……と後ろを振り向くと、やはりコウモリさんが向かってきます。バシッ! どつかれました。絡まれました。するとドルシネアの前方にいたコウモリさんも楽しげに飛来しました。リンクですね?
最初に絡んできたコウモリを調べると、「丁度よい強さ」と出た。ということは、もう一匹のコウモリは「楽」くらいかな。こりゃいけない。二匹掛かりだし。不意打ち入れられなかったし。食事取ってパワーアップしてないし。辛うじてプロテスは掛かっているけれど。それにもう何発も殴られちゃってるし。
悟ったドル猫は、取りあえず絶対回避を発動。二体のコウモリの攻撃を避けまくりながら、洞窟を先へ進む。すぐに突き当たりに到達。暗くて見えにくい中で石碑をターゲットして粘土を「トレード」、石碑の型を取った。よしよし、目的は無事に果たしましたよ。やがて絶対回避の効果が切れて、コウモリ達の攻撃が当たり始める。剣を抜いて、コウモリに攻撃開始。まぁ、格好だけ、だけれどね。ニヒヒ。
はい、戦闘不能。っていうかレベルダウンしちゃった! 初めてだよ、ショックー! とほほ感に包まれながらホームポイントへジャンプ。……ウィンダスじゃない。石碑の型を渡しにまた面倒な船旅じゃない。とほほほほ……。
海岸で狩りをしていたパーティの面々は、いつまで経っても洞窟から出てこない猫をいぶかしんだに違いない。よもやウィンダスに飛んでいるとは思うまいな。アハハ、ハ……。
前日のドルシネアと交代し、今日はヌナイが草刈鎌と両手槍を持って西サルタバルタに出撃する。両手槍はドルシネアの物とは別にもう一本、ヌナイ用に競売所で買おうとしたのだが、これがどうも高い値で出品されているようだった。ムカついたのでドルシネアから送って受け取った。「丁度いい」強さが相手だとスキルの低い両手槍では少々役不足。その時だけ片手剣+盾に持ち替えて、こちらのスキルを上げることとした。戦士のレベルが9になる。
最初にヌナイで戦ったとき、片手剣の構えがドルシネアと大きく異なるのに驚いた。エルヴァーンの構えはとても格好のいい、いい方を変えればキザなものだった。そしてそれは、両手槍でも更に顕著なものとなっていた。
改めて、ミスラによる両手槍の構えを掲載しておく。
これが双方とも戦闘態勢の構えだというのだから驚きだ。全体的に、ミスラの構えは一般的に分かりやすい、真っ当な構えになっている。腕を振って走る構えといい、ミスラは全体的に元気っぽさがよく現れているモーションだ。対してエルヴァーンは格好いい系。エルヴァーン♂の釣りモーションなんか、腰に手を当てて片足でリズム取りながらの釣りだからね。格好付け過ぎですよ。
とはいえ、流石に戦闘に関しては優れた種族のエルヴァーンだからか、両手槍のウェポンスキル・ダブルスラストのモーションは気合いが入っている。ミスラの二連撫でとは異なる、腰の入った強い突きが撃ち込まれるのだ。これには満足。
スキル上げを通して、幾つかのクエストをクリアするためのアイテムが集まっていた。改めて、受けたクエスト・受けられるクエストをチェックして、必要なアイテムを集めに走る。クエストをクリアすればウィンダスでの「名声」が上がる。ヌナイがウィンダスの人々に知られていくということだ。ヌナイを世界に馴染ませるには、走り回るだけでなくクエストの消化も大切だ。揃ったアイテムを持って、ウィンダス中を走り回る。
ある時、西サルタの「星降る丘」を登っていたときのこと。既にヌナイにも「星の降る様子」は見せておいたのだが、やはりいつ見てもそれは美しく素敵なものだ。戦闘で減っていた体力を星を見ながら癒そうと、Twincle Treeの元へと走った。
丘の頂上に達したヌナイの目に、大勢の人影が映った。Twincle Treeの向こう側に同じリンクパールを付けた10人近い人達が、寄り添うように立っていたのだ。リンクシェルのイベントか? こりゃ失礼……と座り掛けた腰を上げ、木を挟んで反対側に移動して改めて座り込んだ。
やがてヴァナ・ディール時間で、0:00を回る。静かに降り始める「星」。カメラを回しながらそれを眺めていると、メッセージウィンドウに次々と文字が流れ始めた。
「○○は××の前でしくしくと泣き出した。」
「△△は××の前でしくしくと泣き出した。」
「××はにっこり微笑んだ。」
「□□は××の前でしくしくと泣き出した。」
……木の向こうの人達だろう。しかし何か、様子が変だ。
身動きも出来ず、じっと座ったままで考えていると、ハッと気が付いた。今日は三月末日……もしかして、今日で解約なのか? この「星降る丘」は幻想的な景色のために、ヴァナ・ディールにおける名所の一つとなっている。そしてその美しさからか、ここが最後の別れの場所として選ばれるという話を、これまで何度か目にしたことがあった。FFXIの契約は、月の区切り単位。つまり月の最終日が解約する者との別れの日となることは多いのだ。三月といえば、次の月から新生活が始まる者も多いだろう。やむを得ない理由から、解約するユーザーもいるに違いない。
そっと立ち上がり、その場を立ち去るヌナイ。星が止み、夜が明けた後でそこに戻るともう人の姿はなく、風に揺られる草の音がささやかに流れるだけだった。