Last Modified : 8 JANUARY 2004
From Dulcinea's diary Part.1 "The Mother Dulcet Wind".
バストゥークを出てセルビナを目前にしたところ、その入り口で一人の冒険者がゴブリンと戦っていた。狭い入り口を通ってセルビナに入るには、その戦闘を文字通り突き抜けていかなければならない。そんな無礼なことをする訳にもいかないので、彼等の攻防を見守った。程なくして、冒険者の勝利でその戦いは終わった。
ヒーリングに入った冒険者にケアルを施して、回復の手助け。MPが尽きたところで彼の隣を通って門をくぐった。「ありがとうです〜^^」という彼の言葉に返事をし、セルビナに入ろうとした。と、その時、彼の向こうから門をくぐってきた冒険者が二名。「トレインしてます」とSayで警告を発しながら、セルビナの町に姿を消した。
トレインか、何が来るんだ? というか、まださっきの彼が門のところでしゃがみ込んだままじゃないか! 足を止め、門に振り向く。彼が立っているのが見える。敵が来て、何とかなりそうな相手なら彼を援護しよう。そう思ってトレインの到着を待つ。待つ。……待つ。
いつまで経っても、トレインが到着しないんですが。当惑していると、さっきの彼からTellが届いた。「トレインしてないですよw」。「ですよね?w」「あいw」と笑いあって、その場を後にした。
その後、ブブリム半島でゴブを相手に経験値をいくらか稼いでから、ウィンダスへと帰還した。
バストゥークで買った品物を確認したり、足りない物を競売や物産店を利用して補充。モグハウスでサポートジョブを戦士にした。シーフのレベルが20に対し、戦士のレベルは7。半分に満たないのは少し格好が付かないな。ま、今日のところは仕方がない。ウィンダスを出て、タロンギ大峡谷の「ホラの岩」へと草原を急ぐ。そこでFlさん、Mhさんと合流するのだ。三人でこれから、第四の国、ジュノを目指すのである。
所属国として選べる三つの国……サンドリア、バストゥーク、そしてウィンダス……の中心にある、ジュノ大公国。地理的な条件の良さから多くの冒険者が集う国だ。特にレベル20に到達した冒険者の多くがこのジュノを目指す。それは安全かつ高速な移動を実現するチョコボに乗るための免許証を得るクエストを、このジュノでレベル20から受けられるからだ。
だが、三国どのルートからジュノを目指しても、通らなくては行けないエリアには強敵が控えている。いや、それらはレベル20程度の冒険者にとっては「敵」と言えるようなレベルではない。見つかることは即ち死を意味する。見つからないように忍び隠れて、時には何度も死んで戻されながらも、ジュノまで忍耐強く進んでいかなければならないのだ。
さて、まずどのルートを通ってジュノまで行くかで意見が分かれた。フレンドを確認し、Mmさんがいるのを見てメッセージで意見を拝借。結局、移動速度の速い敵がいない、バストゥーク方面から向かうルートに決まった。マウラから船に乗りセルビナへ。
セルビナから砂丘を抜け、コンシュタット高地に達した。ここまでは見知った地域である。デムの岩でゲートクリスタルを取ったりしながらその先へ。画面切替え。湿地帯、「パシュハウ沼」に三人は出た。
年中の大半、雨が降るというパシュハウ。地面は水に濡れグチャグチャと音を立て、空は黒い雲が覆っている。雨が降り出すとモヤが一体を覆い、視界は最悪の状態になってしまう。そんな中をクゥダフやゴブリン達獣人や、蛸のような触手を持つ醜悪な見た目の「モルボル」、「どーもくん」「ぬりかべ」などと称される少し愛らしい容貌の「Goobbue」が彷徨いている。そのほとんどは見つかると死が待っている危険な敵だ。
Flさんを先頭に、ドルシネアを最後尾に。間の白魔道士・Mhさんを守るようにして、先へと進む。パシュハウはとても長い道のりだ。緊張が長く続いて苦しい。そばから発された蛙の声に、酷く怯えたりする。思い切りのいいFlさんが先頭だから、まだ要した時間は短い方だろう。私が先頭だともっと時間が掛かっている筈だ。時折私から見て恐ろしく敵に接近するFlさんではあるが、後ろから見ているととても参考になる。
途中、Flさんが二回、私が二回ゴブリンに絡まれたが、いずれも無事に倒して切り抜けた。リンクなどされなくて、何よりだ。後半は夜が明けて明るくなったお陰で、だいぶ楽になった。緑が多く、雨も降るパシュハウ。どちらも結構いい気分、パシュハウは好きになれそうだ。出口近くのアウトポストでホームポイントを設定し、無事に沼を抜けた。
画面が切り替わると、静かなBGMが流れ始めた。そこは雨の「ロランベリー耕地」。あとはここを抜けさえすれば、目的にジュノへと到達できる。だが敵は更に強くなり、絡まれたらもう逃げ切るしか手はない。再び緊張が高まる。
しかしここで恐るべき事態が発覚。このロランベリーの地図を持っているのが、Flさんだけだった。いや、私も途中で持ってないことに気が付いたんだけれども……もうどうしようもなかったし……ごめんなさい、迂闊でした。もうFlさんだけが頼りです。
改めて、敵に襲われたときの対処を考える。ドルシネアはシーフだ、絶対回避がある。敵の近接攻撃を30秒、ノーダメージで受け止めることが出来るのだ。そしてサポートに付けた戦士のアビリティ・挑発。これで敵を引きつけることが出来る。敵に襲われた場合、まず挑発で注意を引きつけ、続けて絶対回避を発動する。こうすれば他のメンバーは大丈夫だ。魔法や遠隔攻撃が来なければ、ドルシネアもダメージを受けない。そしてそのまま、ジュノまで逃げ切る……これが私の立てた、非常事態の対策だ。
ロランベリーの入り口から少し入ったところで、早くも足止めを余儀なくされる。カメことクゥダフがうろついているのだ。ここでFlさんから、アイテムの使用を提案される。Mmさんに貰ったというそのアイテムとは、敵に見つからないようにする効果を持つものだった。
FFXIにおいて、敵は備わっている「感覚」で冒険者を認識する。視覚、聴覚、嗅覚などの感覚だ。これらの感覚に反応しないように冒険者の状態を保つことで、相手に見つからないまま行動することが出来る。具体的には、透明になったり、音を立てなくしたり、匂いを封じ込めたりする訳だ。ちなみに他にも、エレメンタルは魔法に反応するし、HPが減っているのに反応して襲ってくるアンデッド系の敵なんかもいる。
カメに注意しながら調べて、カメは聴覚を用いていることを知った。音を抑える魔法・スニークを、Mhさんは既に習得していた。これを試してみることとする。パーティメンバー一人一人にスニークを掛けるMhさん。全員に掛かったところで、意を決して出発だ。
それでもカメに寄る気にはなれないのが心情というもの。なるべく遠くに離れるように迂回して先を急ぐ。ハチなんかもいるが、アクティブではなく襲ってこない。ほんの少し、救われる思いだ。走りながら後ろから見ていると、FlさんやMhさんに横からカメが走り寄ってくる。絡まれた!?と思ったが、カメはMhさんと併走するかのように歩いた後でのそのそと脇に離れていった。認識されていない……スニークが効いているのだ。「本当に絡まれないね」と囁き合う。スニークって凄い……。以降、カメに対してはワリと大胆に寄ったりする。
スニークの効果が続く時間はまちまちだ。この時はFlさんに掛かったスニークがよく切れそうになった。「スニークが切れそうだ。」と画面に出ると、すぐにそれをパーティに申告。なるべく早くカメのいない安全な場所で足を止め、スニークを掛け直す。酷いときには掛けた次の瞬間に「スニークが切れそうだ。」とか出たりする。途中でMhさんのMPが残り少なくなり、斜面の上でヒーリング。
再びスニークを掛けてもらい、先へと進む。ロランベリーに入ってすぐ夜になってしまい、しかも雨天。コンディションが悪い、辺りは真っ暗だ。先に進むと次第にカメの姿は消え、代わりにゴブリンが現れるようになった。ゴブリンは視覚で索敵している、スニークは通用しない。なるべく遠くを、視界に入らないように進んでいく。「あと少し」とのFlさんの言葉に、元気づけられる。
やがて、人工物らしい石の塊が見えてきた。何かの建物の残骸だろうか。ジュノに近付いているのが実感できる。それを目印に、そして希望にして、ゴブリンを避けて進んでいく。
画面切替え。そして眼前に石造りの町、ジュノが現れた。全員無事に辿り着いた。ふと、ドルシネアがまだ武装していることに気付く。いつもは町に入る前に武装解除するのだけれど、流石に今日はその余裕無かったな。装備を外す。
Flさん、Mhさんと喜び合いながら、ウィンダスを出る間際に買い込んできた水のクリスタルとサルタオレンジを取り出す。そして合成。三本のオレンジジュースを作った。それを二人に手渡す。ジュノ下層の入り口で、初めての船旅の時と同じようにオレンジジュースで乾杯をした。