Last Modified : 8 JANUARY 2004
From Dulcinea's diary Part.1 "The Mother Dulcet Wind".
前日、ずっと待っていたアイテムが競売に入荷され、もう一つのアイテムと共に速攻で購入した。あとはただ一つ、ブロンズベッドを購入して部屋に配置さえすれば、いわゆる「モグ倉庫拡張クエスト」が起こることになるのだった。モグハウスにおいて保有できるアイテムの個数を、50個から60個に増やすクエスト……複数ジョブの進行、合成、草刈り、そして栽培などで持つアイテムが倉庫を溢れんばかりになっていた今、そのクエストのクリアは最優先事項と言えるものだった。
そして今日、ようやくブロンズベッドを購入。本当は数日前から一つだけ競売に出品されていたのだが、付けられていた値段が相場よりも高かったので、むかついて購入してなかったのだ。
さぁ、あとは部屋の管理人・モーグリがアクションを起こすのを待つばかりである。さぁ、早く出て行け。出て行けったら!
前日のパーティプレイで、シーフのレベルが16まで上がっていた。新たな装備を買って出撃。ギデアスに行ってヤグードと厳しい戦いをしたり、東のホルトト遺跡に行ってリンクしそうなカブトムシにビクビクしたりしてみた。更に経験値稼ぎにタロンギに出掛け、ゴブリンにリンクされ殺されて、経験値を下げたりしてみた。
Flさんの発案で、去年の暮れからやろうとしていたことがあった。Flさん、Mhさん、そしてドルシネアの三人で、「船に乗ろう」と言っていたのだ。ブブリム半島の先端にある港町・マウラから船に乗り、遠く離れた別大陸にある異国の地・セルビナまで行く船旅に、三人揃ったら出掛けようと言い合わせていたのだった。
年末年始は都合が合わなかったりして、なんだかんだで計画の決行は今日までずれ込んだ。そして今日、集まった中にちょうど居合わせたFlさんの友人・Rbさんが、その場のノリでこの船旅のメンバーに加わることになった。Rbさんはメインジョブが赤魔道士・レベル35、サポートジョブがシーフ・レベル17というタルタル。レベル15前後の我々三人とは次元が違う。
確かに、Rbさんが加わったことにより、この旅の緊張感が薄れたのは否めない。本当は低レベル・低経験のパーティで、一撃必殺のブブリム半島突破作戦が繰り広げられる筈だったのである。ただ、Rbさんはあくまでバックアップに留まってくれた。四人の最後尾に付いて、メンバーがゴブリンに絡まれてしまったときだけ助けてくれる形になってくれた。それ以外は、唯一のブブリム半島横断経験者であるドルシネアが先頭となって、ゆっくりゆっくりと走り抜けていったのだ。充分緊張感を味わえたと思う。
残念ながら、一度ゴブリンに絡まれた。一匹だけとはいえ、Rbさんがいなければ危なかっただろう。その後は問題なく、港町・マウラへ辿り着く。Rbさんの案内で、桟橋へ。そして船がやってきた。
現実時間で15分ほどの船旅。そして船は、セルビナへと辿り着いた。初めて聞くBGMがとても格好いい。船を下りて、その場で作ったオレンジジュースで乾杯をした。
セルビナの町をバラバラに別れて見て回る。NPCの面々には、ウィンダスのようなタルタルやミスラの姿は見えない。ヒュームやガルカが主な顔ぶれだ。異国へ来たのだなぁと強く感じる。Mhさんが、騒がしいねというようなことを言った。他の冒険者が、SayやShoutで喋っている言葉がよく耳に届くのである。お国柄なんだろうねと返した。
冒険心豊かなFlさんが、更に先の町へ行きたいと言った。止める私に、MhさんがFlさんへ賛同するのが届く。Rbさんの護衛の元、二人は町を出ていった。周辺を見るだけという話で、パーティ内にだけ聞こえる会話で、町の外で驚嘆する二人の声がドルシネアの耳に届いていた。
それでもドルシネアは、外へと出ていかなかった。それは危険を怖れる思いからでは無くて、これ以上新しい世界を見たくなかったからだ。今日、マウラから船に乗って海を見た。そしてセルビナという新しい町を見た。これだけに留めておきたかった。私は、楽しみは後まで取っておくタイプの人間なのだ。
深夜に出る船で、マウラへの帰途についた。マウラ直前の日の出は、とても美しかった。