Last Modified : 8 JANUARY 2004
From Dulcinea's diary Part.1 "The Mother Dulcet Wind".
モグハウスにて起床。というか、ログアウトは出来る限りモグハウスにてするようにしている。寝る前に倉庫の整理をしておきたいし、フィールド上でログアウトするのはつまり野宿ってことで、どうにも落ち着かないからだ。
さて、今日は赤魔道士のまま出撃。草刈りではなく、タロンギ大峡谷を目指してみようと思う。まだレベルは一桁、無茶かもしれないが赤魔はシーフとは違って結構打たれ強い。回復魔法があるからだ。タロンギのウサギやタマネギを相手に、その強さを試してみようと思う。
東サルタバルタを北上しながら、「丁度いい」か「同じ強さ」のゴブリンを狩る。Goblin Fisherから釣り竿をゲットしようと攻撃を仕掛けたら、「丁度いい」ゴブがリンク。しかも爆弾投げで33ダメージを食らってこりゃヤバーイとか思ったが、なんとか勝った。赤魔道士ってスゴイのう。そして二人のゴブから「イチイの釣り竿」と「バンブーロッド」の二本の釣り竿ゲット。片方は白魔道士のMhさんに送ることにする。
タロンギ突入。まだ行ったことのない方向へ走っていくと、タマネギと接戦のタルタルさんを発見。ケアル掛けた方がいいかな……でもこっちにターゲット来たら、あっという間に殺されるな……と悩んでいたら、なんとかタルタルさんが勝った。ヒーリングに入るタルタルさんにケアルとプロテスを掛ける。今のドルシネアに出来るのは、この程度。
行った先に、巨大な獣の骨が転がっていた。
ターゲットを左右に振ると、「Excavation Point」というのを見つけた。草刈りのように、恐らくここでは骨が採掘できるのだろう。トリの姿が見えた。ターゲットして「調べる」と、「とても強そうだ」。更にゴーストもいた。「とてもとても強そうだ」。やっぱりちょいとでも先に進むとヤバそうだ。大人しく戻って、同じ強さのウサギや丁度いいタマネギを狩って帰った。
モグハウスでゆで卵を作った後で、既に日課の草刈りに。道中、同じ強さのハチをメインに、炎のクリスタル目当てにトリも狩る。赤魔道士のレベルは9になった。
西サルタバルタのアウトポストに戻ってきた。しゃがんでヒーリングしながら一息付いていると、タルタルが一人やって来た。なーんとなくターゲットすると、HPが残り僅か。しかもそれがまたぐんと減った。毒で風前の灯火だ! ぞわっと身の毛がよだつ恐怖! 慌てて立ち上がりケアルを詠唱。慌てて足下がぐらついたか、詠唱が止まる。ふざけんなーッ! すぐに詠唱再開!
なんとかケアルが間に合ったか、それとも毒の効果が無くなったか。タルタルは一命を取り留めた。毒に慌てて、アウトポストの出張販売まで毒消しを買いに来ていたというタルタルさん。ケアルが届いたときは残りHPは一桁になっていたという。毒消しを買った瞬間に毒は治ったというコトだから、ケアルより毒が消える方が早かったのかな? まぁ、オッケーだ。とにかく、この時は寿命が縮まる思いだった……。
モグハウスに戻って、就寝前の合成作業。裁縫やって錬金術やって、そして調理をやって。儲けが合成の材料に消えていく、いまいちパッとしない循環状態に。なんとか打開して、プラスに持って行きたいものだ。
翌日、石の区の競売所上に起床して驚く。そういえば、アイテムの売却やクエストを進めたりしている間に限界が来て、昨夜は野宿したんだった。やっぱり野宿は締まらない、控えようと思う。
レベル12のシーフにジョブチェンジして南東ホルトト遺跡へ。以前、ミッションのためにやってきて、ゴブリンのリンクを盛大に受けて撃沈した場所だ。レベルもアップしたことだし、更に慎重に行けば前のような醜態を晒すこともあるまい。ゴブリンを倒して、調理に必要な炎のクリスタルも集めたい。
二つ目までセットした魔道球。あと四つセットして、それらに魔力を注いで回収するのがミッションの目的だ。たまに周りを飛ぶコウモリが反応して攻撃を仕掛けてくる。まぁ、どうってコトはないので蹴散らしてしまう。相変わらずここはゴブリンが密集気味でやっかいだ。五つ目の魔道球をセットする前に、「楽」のバルーンと戦う。大きなダメージを与えられる「自爆」が怖いが、それさえなければ問題ない。六つ目の魔道球をセットするために、道を塞ぐ「丁度いい」「防御力高い」のバルーンとバトル、ポーションの使用を余儀なくされた。
壁際でしゃがんでヒーリングしていたら、壁の向こうにいたゴブリンがすり抜けて襲ってきた。驚いたが問題なく処理。魔力を注ぐためにやってきた部屋には、やはり壁際にミスラのモンクがしゃがみ込んでいた。「壁際にいると危ないですよー」と注意してから、魔力を注ぐイベントに突入。イベント終了後に後ろを振り返ると、三匹のゴブリンに襲われているミスラモンクが! 予想を超える光景に驚きつつ、一匹のゴブを「ぬすむ」で剥がして倒す。モンクさんも無事切り抜けたようだ。手を振って去っていった。
一旦町に戻ってポーションを補充、再度遺跡にやってきて回収を終える。ミッションをクリア!
タロンギ大峡谷を東に抜けると、そこは白い大地のブブリム半島だ。その時は夜にやってきたので、地面は紫色に染まっていた。どの敵も「とてもとても強い」。ソロでは到底敵わない相手ばかりだ。
周りには数組のパーティがその敵と戦っている。飛び交う魔法、剣戟、そしてモンスターの攻撃。それらのログがウィンドウを埋め尽くし、凄まじい勢いでウィンドウの中を流れていく。ちょいと様子を見に来たそこで、ドルシネアは半ば呆然として辺りを見回していた。これがパーティ戦なんだなぁ、世界が違うなぁ……なんて思っていた。
帰り道。タロンギ大峡谷で、一体のゴブリンが冒険者をなぎ倒していた。次々と倒されていく冒険者達。ゴブリンを「調べる」と「強そうだ」と出た。まず敵わない。しかし、殺された冒険者達が少しずつダメージを与えていた。ゴブリンの残り体力は半分を切っている。これなら何とかなるかもしれない。何より、今倒された女性ヒュームやタルタルの亡骸を見て、いても立ってもいられなくなった。冒険者が少し離れた位置から見つめる中、ドルシネアが一歩踏み出した。
ゴブリンとの戦闘。相手の一撃が重い。正直、想像以上だ。しかしこちらも確実にダメージを与えている。絶対回避だってあるし、ポーションだって持っている。何とかなると思った。体力が残り四分の一を切ったところで絶対回避発動! これで30秒は耐えられる……そう思ったところで、しかしゴブリンは爆弾投げの体勢を取った。爆弾の爆発は範囲攻撃、対して絶対回避は近接攻撃への100パーセント回避能力だ。つまり爆弾は回避できない……!
ポーションを用意しようとするが、慌ててしまいなかなかアイテムを選択できない。炸裂する爆弾! 残りHPが3でなんとか踏ん張った。ポーションを手に取ったドルシネアに、続けざまにゴブリンの魔法が襲いかかった。もちろん、魔法も回避不能……。
(ゴメン、仇は討てなかった……)
倒れ込むドル猫。でも、更にゴブリンの体力を減らすことが出来た。爆弾を使ったってことは相手も相当追い詰められていたってことだ。今なら、回復前の今なら、ドルシネアレベルの冒険者でも二、三発撃ち込めば倒せる筈だ。
顔を上げると、ドルシネアの視線の先に男の姿が一人見えた。ヒュームの戦士だろうか。ドルシネアの戦いを、最初から見ていた筈の冒険者だ。彼を見つめる。思いを込めて。彼の足が動いた……左へ。男は左へと、歩み去っていく。
(チクショー、こりゃ残念……)
苦笑を浮かべて、ドルシネアは目を閉じた。