Aアンテナエレメントとしての測定
図5は接地型アンテナとしての動作状態を調べてみます。
5D-2Vと比較用の300ΩTVフィダー、ビニール電線の3種類で長さはみんな5mです。使用した5D-2V同軸ケーブルの5mの共振周波数は9.45MHzで短縮率はK=0.63になりました。
図5(a)は同軸ケーブルの外側導体を接地し中心導体をアンテナエレメントと見立てています。
測定結果はRs=0,Xs=0です、これは先端開放の1/4λ同軸ケーブルと同じ状態です。RXに接続しても何も受信出来ずアンテナとしての動作は期待できません。
図5(B)は外側導体をエレメントにみたてたものです。
測定結果は共振周波数が変化しFo=13.7MHzに上がりRs=25Ω、Xs=0になり接地型アンテナとしては妥当な値です。この時中心導体を外側導体に接続しても接地してもほとんど変化はありません、RXに接続すると十分信号が受信できます。この結果同軸ケーブルは中に物が詰まった短縮率=0.92の太いエレメントとして動作している事になります。
図5(C)は先端短絡した1/4λ同軸ケーブルで同図(A)と同じ接続です、周波数9.45MHzではRSが大きすぎ測定不可能です。周波数を変化させるとほぼ二倍の周波数19.2MHzでRs=3、Xs=0になりました。1/2λで共振しています。
図5(D)は同図(B)と同じ接続で測定結果もほぼ同じでした。
以上より同軸ケーブルをアンテナエレメントにする場合は外側導体が支配的で中心導体の影響はほとんどなく短縮率は同軸ケーブル本来のK=0.63は適用できずK=0.92程度の普通の電線になってしまいます。
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図6は比較参考のために同様な測定をしてみました
図6(A)は300ΩTVフィダーで長さ5mでは共振周波数の測定と同じで周波数はFo=12.3MHz短縮率K=0.82となり、Rs=3,Xs=0とほぼ短絡状態です。RXに接続してもほとんど受信できません。図6(B)はRs=20Ω、Xs=0で受信もできます、フィダーの片側がアンテナエレメントとして動作しています。
図6(C)は周波数が低下していますがRs,Xs共正常値で先端を短絡したためエレメント長さが長くなったためと考えられます。受信可能です。
図6(D)はRs=110Ωと高くなりましたが共振周波数は同図(B)とほぼ同じでフォールデッドダイポールアンテナ(200Ω)のちょうど半分で動作していると考えられます。