こんなに違う!学校作り---- 大野田小学校と高山小学校

  三鷹市では市立高山小学校新校舎がH13年8月に完成しました。この学校にもオープンスペースやバリアフリーの設計が取り入れられていて大野田小学校と似通った面があります。H15年度の、(社)文教施設協会賞という賞を受賞してもいます。この学校の建設費用などを三鷹市役所に開示請求したところ、先日公開されました。
  また設計から完成までのいきさつ調べて、大野田小学校と比較して表にしてみました。
1.構想から設計まで

武蔵野市立大野田小学校 三鷹市立高山小学校

専門家と市役所・市教委の幹部による、「基本計画検討委員会(校長、PTA会長も加わる)」、「設計者選定委員会」により全てが決まりました。教職員・保護者にアンケートもされましたが、その結果をもとに説明会が開かれた訳でもありません。(何度も様々な人たちと意見交換したということですが、全く公表されていません)。その後何度か説明会は開催されましたが、設計が固まってからの一方通行の説明なので、父母などの意見は反映されそうにありません。
児童・教職員・PTA・地域住民から広くアイデアを募集する、いわゆるワークショップ方式を採用。3000件以上の意見・要望・アイデアが集まったそうです。設計から完成までの詳しい経過を、三鷹市の発行する「三鷹のNEWS(1998年〜2001年)」から抜粋しました。こちらです。アイデアを集約し、またそれを市民に説明する作業には大変な労力を要したことと思われますが、この方式が是非普及してほしいと思います。



2.建築概要及びコストの比較


武蔵野市立大野田小学校 三鷹市立高山小学校
構造・階数 鉄筋コンクリート造・地下1階地上5階 鉄筋コンクリート造・地下1階地上5階
完成 H17年3月(予定) H13年8月
延床面積 校舎 12,180u 校舎 8,229u
体育館 なし 体育館 1,147u
12,180u 9,376u
建設費 43億円(概算予定価格) 24億5,458万円
平米単価 35.3万円/u(同上) 26.2万円/u
主な特徴 ・オープン形式の教室
・センチュリースクール(100年校舎)
・バリアフリー
・防災拠点・防犯に配慮
・環境への配慮
  (ソーラー発電・自然冷房・屋上緑化など)

・オープン形式の教室
・地域交流(図書館・音楽室・会議室・体育館などを開放)
・バリアフリー
・防災拠点
・環境への配慮
  (ソーラー発電・温水利用・雨水貯水利用など)

※両校共に設計費用は含まれていません。  
※高山小学校の建設費には旧校舎解体費用が含まれています。
※高山小学校には体育館があり、大野田小学校にはありません。体育館は階高が高く、無柱大空間とするために特殊な屋根や天井の構造が要求されるということのようで、同じ面積の校舎1階分に比べると工事費は割高になることも考えられますが、詳しく調べたわけではないので単純に延床面積に加えて単価を計算しました。




3.まとめ

仮に大野田小学校を、高山小学校と同じ平米あたりのコストで建てるとすると、建設費は31億9,000万円となり、11億円あまりのコストダウンになります(もっとも大野田小学校の工事金額はまだ確定したわけではありません)。

金額とは別に、構想の段階から自分も参加したという意識を共有できれば、建物に対する愛着も違ってくるのは当然です。公共施設は地域のランドマーク(目印)でもあります。これからは高山小学校のような作り方が当たり前になってほしいと願うものです。