三鷹市教育委員会と三鷹市では、市立高山小学校の立て替えプランを児童・教職員・PTA・地域住民のみんなで考える新たな試みを開始します。高山小学校の立て替えは、来年10月着工、2001年9月オープン予定。これから基本設計に取りかかるところですが、従来のように市が策定したプランを説明して市民のみなさんの意見を伺うというやり方ではなく、まだ白紙の状態の現段階から、関係するさまざまな多数の方々にプランづくりに参加していただき、そのアイデアや要望を生かしながら基本設計・実施設計をすすめるというものです。いろいろな制限の多い学校建設で市民参加のプランづくりを行うのは、全国的にもめずらしい事例です。 プランづくりはこの7月から来年1月にかけて実施され、<1>児童、<2>教職員、<3>PTA、<4>地域住民の4グループで意見や提案を検討します。教職員、PTA向けの建て替え前提条件説明に続き、7月29日には地域住民を対象として第1回意見交換会が行われます。子どもたちには、夏休み中に未来の学校についての絵や作文を描くことが宿題になっています。8月29日には同校を会場に新しい学校をゲームやマップづくりをしながら考える「未来の学校づくりイベント」を開催、11月ごろに4グループの提案を発表する「全体発表会」が予定されています。その後はこうして出された意見や提案をもとに設計業者が基本設計の素案を作成し、再び各グループで素案の検討をして修正意見を出すなどフィードバックを繰り返し、来年1月ごろ「高山小学校建て替えプラン」として市長・教育長に提出することになっています。また、引き続き実施設計の段階でも参加者による検討や確認を行っていきます。 |
児童・教師・PTA・地域住民などによる「建て替えプランづくり」が進められている高山小学校(牟礼四丁目)で、9月5日土曜日に「未来の学校づくりイベント」が開催されました。当初8月29日に予定されていましたが、台風の影響で順延になっていたものです。参加したのは子どもたち210人、大人50人。「高山小ウルトラクイズ」「樹木マップづくり」「未来の学校すごろく」「学校積み木コーナー」などのゲーム感覚のプログラムで、新しい学校についてのアイデアや意見をたくさん出してもらいました。集まった2000枚以上のアイデアカードや、写真で記録に残した積み木による校舎のレイアウト案などは、設計プランの中に反映していくことになります。10月20日には、各検討グループの意見・要望などが出揃う「全体発表会」が開催されます。 |
今年7月に始まった「高山小学校建て替えプランづくり」の要望・提案がまとまり、10月20日夜、同小体育館で「全体発表会」が開催されました。 「広くてクーラーのある教室がいい」「野草園がほしい」「防災や環境に配慮した校舎を」……児童・教職員・PTA・地域住民の4つのグループや併設される心身障害児学級・学童保育所関係者がそれぞれの夢や希望をこめた提案は、1カ月後に提示される予定の基本設計プランに反映され、さらに市民による検討を経て、来年10月には新しい高山小学校の建設工事が始まります。 児童の要望・提案は、夏休みの宿題となった「未来の学校」の絵と作文、9月5日に開催された「未来の学校づくりイベント」のゲームなどを通じて寄せられたもの。この日は、児童会の会長・副会長が各学年の提案をまとめた作文を読み上げて発表しました。「木登りがしたい」「メダカやコイのいる池」「のんびり座って転がれる小さな芝生の山」「ミニ牧場」など、自然あふれる校庭にあこがれる一方、1人1台のコンピューターやゲームソフトの充実を求め、「クーラーを入れて!」という声も圧倒的。ほかに、「屋上でバイキング方式のランチルーム」「水族館がほしい」「ウォータースライダー付きのプール」「アスレチック」などの提案も飛び出しました。 一方、教職員からは21世紀の新しい教育課程に対応できる施設が要望され、児童の発育を考えた広い教室、高山小校歌の作詩者である三木露風の資料室設置などが提案されました。さらに、PTAからは「木のぬくもりのある内装」「オープンスペースの設置」「ソーラーシステムや雨水を利用するシステム」「野外炊飯施設」などを望む声があり、地域住民のみなさんからは2回の意見交換会やアンケートなどによって防災拠点化、地域開放、近隣への配慮などに多くの意見が寄せられています。 また、学童保育所父母会からは「専用庭や地域開放型の子ども広場のような、屋外で自由に遊べる施設」が、肢体不自由児学級保護者の方々からは「学校施設全体を利用できるようなバリアフリーの施設・設備」などの提案がありました。 全体発表会には約100人が参加して、提案に耳を傾けていました。こうしたさまざまな意見は、要望・提案集「みんなでつくるみんなの学校」(A4判、全110ページ)としてまとめられています。 |
高山小学校の建て替えプランとして、A・B・Cの3つの案をみなさんに提示し、検討していただくことになりました。「全体発表会」で、各グループからの意見・要望やアイデアが最終的に報告されたのが10月20日。それから市と教育委員会では3000件以上の要望を場所別に分類し、考え方をまとめる作業を開始しました。多くの参加者のみなさんからの意見をできるだけ反映するため、一つ一つを検討し、相互に矛盾するような場合でも、それぞれの意見は何をめざしているのか、どうすればその気持ちが生かせるか、などを考えていきました。そして、設計者との綿密な打ち合わせや数回にわたる案の練り直しを経てできたのがこの3案です。 今回の3案は、主に校舎の配置を検討していただくための「基本設計素案」です。A案は校舎をL字(校庭東側と北側)に配置した3階建ての案、B案は校舎全体を北側に直線的にまとめた中庭のある3階建ての案、C案は現在の校舎と同じようなT字型に配置した4階建ての案です。共通してオープン形式の普通教室とし、体育館は北西部分に配置して屋上をプールとしています。 市民のみなさんから出された意見・要望は、全体のイメージから、レイアウト、材質、細部の仕上げまで、さまざまな段階に及んでいますので、この案にはまだ反映されていないものも多くあります。それらについては、校舎の配置など大まかな部分が決定し、さらに詳しく「基本設計」「実施設計」を進めていく中で検討していくことになります。現段階までに関わる意見・要望ついては、およそ7〜8割は図面に反映することができたのではないかと考えています。 3案の説明は次のように行います。 ● 「児童」「PTA」のみなさんへの説明 高山小の多目的室に12月16日から25日まで(土・日曜日、祝日を除く)パネル展示し、アンケートなどで意見を集められるようにします。(住民の方もご覧になれます)。 ● 「教職員」のみなさんへの説明 学校長を通して資料(素案)を配布し、職員会議などで検討していただきます。 ● 「地域住民」の方々への説明 12月18日午後6時30分から、多目的室で3案を説明し、意見を伺います。 ● 心身障害児学級関係者と高山小学童保育所関係者の方々への説明 それぞれに説明と意見交換会を行います。 |
年末に提示したA・B・Cの3つの案には、児童・PTA・教員・地域など各グループからさまざまなご意見をいただきました。その中で、最も多くの方がよいとされたのはB案でした。今回、「基本設計最終案」としてまとまったプランは、B案を主体としてA案・C案のよいとされた点を取り入れ、また、問題とされた点を改善したものです。特長は、校舎を直線型に北に配置し、中央に吹き抜けの中庭(ライトコート)を設けていることです。最終案では、職員室などの管理諸室を校庭が見渡せる2階に、保健室を校庭に面した1階に配置し直し、オープン形式教室で考えられる問題点を動線の工夫などで解消する、図書館をどの教室からも近くする、学童保育所を北側から東南部1階に移す、屋上プール内にスロープを設けて車いす対応可能とする、などさまざまな調整を行いました。 B案が賛成多数であった理由は、主として「子どもたちが最も多くの時間を過ごす普通教室が、陽当たりのよい南側に面して配置されている」「動線が短くまとまりがあって管理上もよい」「グラウンドが陽当たりよく使いやすそう」「中庭・吹き抜けが面白い」などです。 各グループからの主な意見は次のとおりです。 【児童からの意見】B案がよいとする意見が最も多く、「校庭が広そう」「校舎は今と同じ形ではなく、変えた方がいい」「T字型のC案だとどこがどうだかわからなそうだし、走る人が増えると思う」「ピロティがいいと思った」「校舎のとり方がいい」など。 【教職員・PTA】B案を前提として、管理諸室(校長室・職員室・事務室など)は2階でも管理上問題はないが、保健室・放送室は運営・管理上から1階校庭に面して配置するべき。普通教室のオープンスペースは間仕切りを考え、児童数増減に対応できるよう固定した棚などは設けない。体育館の非常口が少ない、など。 【地域住民】B案が最も多く、「1日中過ごす普通教室が南側に並んでいるのがいい」「校庭が広く南に面し、障害物がなくて環境がよい」「長い廊下で移動するより居心地がよい」「管理上の動線から考えるとL字型よりボックス型で良い」「図書室は子どもたちが気軽に利用できる位置に」など。 【学童保育所】B案は学童保育所に限っては、良い点がない。<1>(北東に位置しているが)学童保育は午後の時間帯であること、<2>指導員の目が遊び場や校庭に行き届くこと、<3>遊び場の確保から、A案またはC案を希望。 【心身障害児学級】 総合的にB案。日照、動線などが他案よりよい。隣に会議室ではなく保健室をもってきてほしい。 ◆地域住民向け説明会 3月13日(土)午前10時から、新築された第三中学校地域交流棟1階大会議室で。 |
1年7カ月にわたる建設工事が終わり、高山小学校(牟礼4―6―12)の新校舎が完成しました。この新校舎は、平成10年7月から9カ月間をかけて行われた「高山小学校建て替えプランづくり」で、児童・教職員・PTA・地域住民などのみなさんによるワークショップ方式の市民参加によって基本設計プランをつくりあげるという、全国的にもほとんど例がない試みの結果として誕生したものです。いよいよ2学期から、高山小学校にかかわる多くのみなさんの夢や希望が盛り込まれた新校舎で、子どもたちの新しい生活が始まります。8月27日には、地域のみなさん向けに、新校舎の内覧会も開催されます。 ◇市民によるプランづくり 「高山小学校建て替えプランづくり」は、従来のように市が基本プランを示してみなさんのご意見を伺うという形ではなく、「新しい学校に何を求めるか」「どんな学校であってほしいか」をみんなで話し合うところから始まりました。このため、児童の夏休みの宿題「未来の学校の絵や作文」をはじめ、「未来の学校づくりイベント」や「地域住民意見交換会」を開催し、教職員・PTAをはじめ、心身障害児学級や学童保育所関係者などにもそれぞれ要望書を提出していただきました。最終的には3千件にのぼるさまざまな要望・提案が出されました。 このたび完成した新校舎は、こうして集まった要望・提案すべてを、市と設計業者が細かく分析・検討して作成した3つのプランのうち、参加者のみなさんが最もよいとした案に修正を加えて出来上がった「基本設計最終案」により建設されたものです。 ◇新校舎の特徴 新校舎は、新しい時代にふさわしい高品質の教育環境を実現するとともに、地域コミュニティや防災などにも大きな役割を担う施設となっています。 ・オープン形式の教室 「広い教室」「学年一緒に勉強できる教室」などの子どもたちの声や、教職員・PTAなどの提案を受けて、市内で初めてのオープン形式の教室になっています。複数の先生による授業やグループでの学習など、これからの新しい授業のあり方に適しています。 ・地域交流 校舎は中庭(ライトコート)をはさんで、南側に普通教室、北側に特別教室が配置されています。これは、特別教室を地域のみなさんの活動の場として開放する際のことを考慮した配置で、2階にある学校図書館に入るための専用の外階段があります。学校図書館をはじめ、音楽室、会議室、体育館などはさっそく9月から地域に開放されます。 ・バリアフリー 心身障害児学級(肢体不自由学級)の保護者のみなさんからの「高山小児童として学校施設全体を利用できるように」という要望に応えて、2基のエレベーターをはじめ段差解消、手すり、トイレなど校舎全体をバリアフリー化しています。 ・防災拠点 校舎を現行建築基準法の1・25倍の構造強度とし、災害時の一時避難所としています。また、防災倉庫も設置し、校庭の地下には100トンの防火貯水槽を設けています。屋上プールも防火用水に指定されています。 ・環境への配慮 太陽光発電によって照明電力の一部を賄っています。また、ソーラーパネルによる温水を利用したり、雨水を校舎地下に貯留しグラウンド散水に用いるなど、さまざまな形で環境に配慮しています。 ◇新校舎概要 鉄筋コンクリート造・地下1階地上4階 敷地面積約11,660u 建築面積4,348.75u 延床面積9,375.48u |