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第4章  鉄炭化物気泡を生成する条件

4.1節 鉄炭化物気泡の生成とカルユウムシュウムイオンの存在
4.1.a 炭酸水中に存在するカルシュウムイオンの電極反応による検出
 卵殻を混ぜて炭酸カルシュウム (CaCO3)を底に沈めた炭酸水に電気伝導性の良い備長炭の木炭電極を使って、電流を流しました。その結果、図20に示されるように陰極側の木炭には白い粉のような物質が付着しました。電源端子との接続を反対にすると、その白い粉のような物質は、反対側の側の陰極電極に移動します。再び電源端子との接続を反対にすると、白い物質は再び反対に移動します。

      
 図20 炭酸カルシュウムを含む炭酸水において電流を流すことによりにより
      負の炭素電極の表面に白い粉のような物質が移動する

 これは、炭酸水にカルシュウムイオンが溶け込んでいる証拠であり、電極反応によって負の炭素電極にカルシュウムの化合物が析出したのです。従って、炭酸カルシュウムが水の中にあれば(4.1)式に示すようにしてカルシュウムが水にとけています。

        { Ca2+ + 2(OH)-1} + 2CO2}  ⇔   CaCO3 + H2CO3    (4.1)

 海底には炭酸カルシュウムは石灰岩として多量に存在します。 ここで、炭酸水中での鉄原子の酸化反応により遊離した炭素原子が生れると、遊離炭素がカルシュウム原子と結合して、カルシュウムカーバイド (CaC2) が作られ、その カルシュウムカーバイドは(4.2)式で示すように水と反応して、それがアセチレンを生みます。

           CaC2 + 2H2O → Ca(OH)2 + C2H2          (4.2)

 こうして生成されたアセンは水に溶けます。 その水に溶けたアセチレンが有機物質の材料になります。こうして、炭酸カルシュウムは鉄炭化物気泡の強さを改善することに寄与すると考えられます。

4.1.b  鉄炭化物気泡への炭酸カルシュウム (CaCO3) の効果
 鉄粉と炭酸カルシュウムと混ぜられた炭酸水の気泡の経時変化を図21に示します。 ここで、炭酸カルシュウムとして卵殻を使いました。この条件の鉄炭化物の気泡は合体して複雑な構造になります。 また、二重構造を持つ気泡も形成されました。これは、カルシュウムイオンの存在により、アセチレンが合成されるようなしくみにより気泡の膜を強化するものと考えられます。



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