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3.2.c 水中の鉄イオンと炭素電極の間の電極反応による鉄炭化物の生成
鉄粉を水に入れて炭素電極を用いて電流を流すと浮遊物と沈殿物が生成されます。鉄粉を撹拌することによって浮遊物の生成が著しく促進されることから、電極反応が起こっていると考えられます。最初に陰極から小さい気泡が数多く発生しますので、鉄の酸化で遊離した水素イオンが発生され水の導電性が増したと理解できます。その後、陰極には鉄分も炭素電極に付着します。他方、陽極の炭素電極が消耗します。電極が木炭であるので木炭による特有の反応が起こる可能性もありますが、この反応は発熱反応で液温が明らかに上昇するので
陽極において炭素電極の酸化反応が起こり、酸化した炭素つまり二酸化炭素が鉄と反応して、炭酸水に鉄を加えたときと同じ反応が起こったことが考えられます。
回転する磁石を下に設置して鉄粉を撹拌しながら、24ボルトの電圧で 4時間にわたり電流を流した結果を
図19に示します。浮遊物質は放置するとその量が激減します.その理由として,気泡は発生しなければ消滅してしまいます。そこで浮遊物質には気泡を多く含んでいると考えられます。
図19 鉄粉入りの水に炭素電極で通電処理
第3章のまとめ
二酸化炭素は水に良く溶けます。炭素原子は水素原子より電気陰性度が大きく,鉄原子は水素原子より電気陰性度が小さいです。そこで,炭酸水の中では、鉄の原子は二酸化炭素から酸素を奪い取り,遊離した炭素原子は鉄の原子に結びつきます。こうして炭酸水に鉄を混ぜると鉄の炭化物ができ、その鉄炭化物が水と反応して水素と有機物をつくり、それらの分子は気泡に破壊に耐える性質を持たせます。
[第3章の文献]
[3] 国立天文台編、"理科年表"丸善、pp.503、2007.
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