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2021年3月11日              第47期碁聖戦予選C 1回戦
黒)下地玄昭七段  白)信田成仁六段
     第一譜                       
1図(1-17) 
  黒番は久しぶりでした。

左上黒7カカリは白8下ツケを予想しナダレを選び模様作戦が目的でした。

実戦は地に辛い白12~16を採用されたので、黒17を占め注文通りの展開。

ここで参考図1:
参考図1   
  白カカリなら黒2の一間高バサミの予定。

白3~7の穏やか定石なら黒8好点を占め先ず先ず。

白3で三々なら黒aオサエで大模様勝負。
2図(18-19)   
  白18の一杯ツメでした。

二間ジマリはここが急所のようです。

対しハサミも考えたが左下白シマリが控えているので、右上黒19が素直と信じ打ちました。

ここで・・・


参考図2   
  参考図2:

双方の模様の接点白1トビを打たれたら緊張したはず。

黒2を選べば白3、黒4と囲い合いになる可能性も。

双方大きいが地と言えず入られる余地があり難しい。

ただ左上黒▲ノビが白模様を消している感じと、黒aツケ荒らしがあるので白の方が怖いか。
3図(20- )  
  白20突入は意外でした。

二間ジマリへツケは経験あるがこの手は初見。


参考図3   
  参考図3:

黒1はちらっと考えたが、白2、4のとき黒5~9と分断に拘ると白10と反発され困る。

黒a切りは白b、黒c、白dで取られ。

隅が裂かれたらいけないので黒5や黒9で黒bツギを選ぶことになるでしょう。

元々裾空きのところなので実戦は・・・
4図(21-23)   
  黒21を採用。

白22連絡に黒23とノビる感触が嬉しくこの進行は有難いと感じていました。

参考図4  
  参考図4:

白1なら黒2ピンツギ。

もし白3オシなら黒4、6の囲い合いで必勝!と都合良きこと妄想していました。

すると・・・
5図(24- )   
  白24ハネコミ。

これが相手の狙い筋。

研究されていたのかもしれません。

参考図5   
  参考図5:

「えい。」と黒1切りから黒3が第一感。

ただ白4オシにどうするか。

堅いのは黒5カケだが白6トビと進む。

まだ白aの火種が残り右辺は確定地では無く、捨て石で味をつけられるのは嫌。

実戦は
 6図(25-29)  
  黒25、27と手厚い対応を選びました。

白28はほぼ絶対。

効果は実利大だけでなく白強化+右辺黒への打ち込み狙い。

次の黒29シマリが絶好点に映りました。

右辺は模様というより地模様で50目近くある感じ。

ただ私は楽観的。実際は少し黒打ちやすそう程度でしょう。


 7図(30ー )  
  白30打ち込み。これも気づかない一手。

裾空きの箇所なので価値低く感じました。

実際は難しいのでしょうね。

対し白を分断するのは上トビとなり重く感じ却下。

ハサミも考えたがトビで今一つに見えます。

ここで10分近く考慮しました。一番打ちたいと思った手は・・・



参考図6  
  参考図6:

黒1です。相手も予想していたとのこと。

今見ても良い手に見えるが何故止めたのか・・・

それは白aツケから黒▲を全部取られそうで自信なかったから。

でもその図は中央まで黒模様が膨大に膨らみ黒悪かろうはずはない。

(補足図参照)


局後相手に伺うと、黒1を打たれたらいったん止めて他へ打つとの返答がありました。

対局心理と冷静な今の思考は微妙に違う。不思議です。
補足図   
   
8図(31ー32)  
  黒31は勢力点ですがあまかった。

右下白は丈夫で響きません。

左下ケイマジマリも堅いのでまだ急がない箇所でした。

白32トビは絶好点で光り輝く一手です。

ここは一考の余地ある場面で模様を囲う手も考えたが・・・


参考図7   
  参考図7:

第一候補は黒1。

白2と攻められて嫌と感じ止めたが、改めて想定すると黒3~7までとなれば黒頑張っています。

囲って「結構大きいですよ。」と主張するのが気合でした。
9図(33ー34)   
  黒33は補強と白模様拡大阻止を兼ねているが今一つ。

対局時は上の白トビにやんわり圧力をかけてれば右方面に踏み込むのは怖いだろうと高を括っていました。あまいです。

※対局後半どこで打ちにくくしたのか不明だったが、右下黒31ケイマと左上黒33大ゲイマ、二つの緩着が要因だったと思います。

白34の消し。

少し浅いと感じだが見当かもしれない。

対し実戦は打たなかったが囲う図を先に検討してみます。

参考図8  
  参考図8:

打つなら黒1。黒9までが想定です。

右上隅は白a、黒bと見て黒地55目強。

対する白地は左上約17目、右下約15目、左下15目、コミ6目半を加え53目くらい。

問題は中央ですが左上に弱石があるので白に利あり。

左下方面も白地がつく可能性るので少し白良しか。

一応囲うのも一策ではありました。
10図(35ー )
 
  黒35の意図は・・・

参考図9  
  参考図9:

白1カタを誘い黒2~8のように調子で囲うようなことでした。

次に白aなら黒bで黒▲は活用したので捨てます。

この図は黒地が70目超えているので白は選びたくないでしょう。
11図(36ー )  
  白36は『薄みを突き勝負宣言』かと緊張しました。

参考図10   
  参考図10:

形の黒1ツケ対応は白2と来られて黒3に白4ハネコミ。

黒5、7とかわすくらいだが白8,10で黒▲が腐る。

左上黒一団が厚ければ良いが白a、bの重くするキカシや白×も心配。
12図(37-39)   
  検討し黒37ノゾキを一本キカシて黒39ツケに到達しました。

ノゾキは悪手になる可能性もあるが後に役立つと信じての決め。

参考図11  
  参考図11:

いろいろ変化あるが一例を示すと白1~5が普通の対応。

その時は黒6、8の予定で黒一団を厚く治まります。

すると中の白二子が負担。

右の白×も孤立。

上の白一団も黒a逆襲が可能。

変化もたくさんヨンでおおむね黒打てると判断し白の手を待っていたら・・・

13図(40ー42)   
   白40!これは驚きました。

黒39に何かすると期待していたのでガックリ。

でも柔軟で老練の一手だったと感心しました。

相手がヨンで待ち構えてるときに応じ失敗するのは愚。

白一子を餌にして右方面の黒地削減が白の目的でしょう。


放置不可なので黒41と白への狙いを兼ねた手入れですが、白42は早かった。

双方一子取り合いで一段落し結果はほぼ互角。

ただ中の白一子が良い位置にありますね。

参考図12   
  参考図12:

ここで前に示した黒1囲いが適切でした。

白が普通にオシてこないかもしれないが戦いが済んだので囲うところ。

右上白aやb削減はあるが大きな問題ではない。
14図(43ー44)   
  黒43は失着。

白に連絡を促して囲おうというのだから本当に虫が良い。

対し白44は見事な踏み込み。

ハザマが空いていますが・・・

参考図13   
  参考図13:

黒1には白2とツケて来ます。

黒3なら白4切り違いでサバクでしょう。

白2では白aもありそう。白×は軽い。
15図(45ー62)   
  素直に右辺を囲うか悩みましたが、黒45と右上を大事にし右辺は破らせる方針を取りました。

白48から白54は露骨だが実戦的手法。

別の図を予想していたがなるほどです。

黒55が省けないので白56ノゾキが打てる。

これが相手の自慢でヨミ筋。

一応黒59、61と好形を得たが白62で力関係は白が威張っています。

ただ局後に相手から「白62は薄かったとの感想あり。

確かに一路右ケイマや中一間のほうが良かったと思います。


第一譜はここまで。

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