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2019年12月26日               第46期名人戦予選 2回戦
黒)下地玄昭七段 対 白)竹清勇五段
            第二譜                       
1図(1-2) 
  第二譜(黒1~白54まで)

黒1トビを打ちました。

「中の黒一子は不気味ではないですか。何か手入れして。」とのメッセージです。

対し、白2切りが絶妙なキカシのお返しです。

対し参考図1:
参考図1   
  黒1マガリで反発するのは白2とカケられます。

却って白を厚くして黒▲の活力は削がれてしまう。

2図(3-8)   
  黒3取りは仕方ないが今度は白4ツケ。

素直には言うことを聞きませんとの返事。

キカシに行ったほうが逆にキカされたり、後手になるのは面白くありません。

反発しあって思いもよらない変化となりました。

白8オシは・・・
参考図2   
  参考図2:

黒1とノビればさらに白2とオシて黒3なら白4という構想でしょう。

白模様が雄大で黒aカカリに回る展開になりそうもない。
3図(9-12)  
  気合でもハネたい。白も切りたい。双方の気合がぶつかりました。

黒11の切り一本は無駄なし。

ここで参考図3:
参考図3   
  黒1なら普通です。

白一子を動いてくれるなら選びます。

しかし白2と力を抜いて来るのを心配しました。

黒3には白4と捨てられそう。

白aや×の味が残れば役立つので捨てても良いという考え。

捨てさせないために・・・
4図(13-15)   
  黒13、15です。

筋良くないが重くして動きを催促しました。


参考図4  
  参考図4:

白1担ぎ出しもあったと思います。

黒2に黒aのシチョウは大丈夫なので白3と打つ。

そう打たれたら堂々と戦うのもあるが、黒4のシチョウアタリが候補でした。

白5なら黒6とオサエて打てそう。

中の黒三子は黒イやロを含んでいて意外に強い。
5図(16-18)   
  白16、18は黒の作戦の裏を行く手段。

重くしても捨てる手があるとは気づかなかった。

少し動揺です。

参考図5   
  参考図5:

「取りなさい」という白の注文に従うことになるが黒1と打つべきでした。

白△二子は動けないのでかなりの利益です。

白2ノビ切りも大きいのですが、全部白地ではなく黒3オサエ込みから仕掛けます。

白模様のまとまり具合が勝負となったでしょう。
 6図(19- )  
  黒19は策に溺れた感じがあります。

意図したことは参考図6:
参考図6   
  白1、3なら黒4で受けを伺う。

もし白5とツグなら黒6、8が生じて以下黒10まで技が決まるというヨミ。

白5で白6ツギならば黒aと手を戻す。

黒5切り味が残り白模様削減に役立つだろうと。

しかし都合過ぎであまりにも勝手ヨミですね。
 7図(20ー22)  
  無視し白20が厳しい。

黒三子がダメ詰まりで動きが苦しくなっています。

黒19に手抜きしたため上辺白も薄くなっているが,今はこの方面が忙しい。

2つのトビが形だがどちらに飛んでもツケが飛ぶ。

黒にタケフを許すとあまいのです。

白22ツケが厳しい。

参考図7   
  参考図7:

黒1フクラミは形に見えるが良くない。

すかさず白2を利かされ白4と守られ不満です。
8図(23-29)   
  黒23、25は最強手段。白に切らせて振り変わりを目指そうという意図。

白26、28分断は絶対。

分断されて不利な感じですが黒29が用意した一手。


参考図8   
  参考図8:

白1なら二子を取れますが黒2、4がお返しでこちらの二子が取れます。

振り変わりの得失判断は?

上の白一帯が薄いので白7くらい。

ただ黒8三々があまりにも絶好点。

この図は白不満・黒満足と双方の見解が一致したのが実戦。
9図(30-31)   
  白30守りです。

ならば黒31マガリで動き出します。

この時点、黒有利な展開だと感じていました。

参考図9   
  参考図9:

白1なら黒2、4と押し付けます。

白5、7のハネツギには黒8ツケを予定。

白aオサエには黒bツケを用意。

下の白は黒×を喰らうとダウン寸前。

この戦いは黒有利です。
10図(32-)   
  打たれたのは白32ハネ!名手です。

全く予想していなかったので電流が走りました。

参考図10   
  参考図10:

黒1マガリは白2とツガれます。

黒3には白4で後続手段が見つかりません。

黒aには白bでダメ詰まり。

実戦は黒1でイと切る進行ですが、白△を捨てて打てるというのが相手の構想でヨミ筋。

黒に手抜きされ右上黒ロとされた分、普通だと下方面は白がかなり有利・得を目指します。

なのに捨て石を含む二段バネは柔軟。

対局中ですが相手の手に感服していました。
11図(33-38)  
  シボられ団子になったが一応種石捕獲なので文句は言えないと思っていました。

しかし白38。

これはさらに捨て石を有効活用を計ろうというもの。

参考図11   
  参考図11:

黒1なら無難。

しかし白2、黒3が悔しい。

下で利かされ上で利かされ白10ツギに戻られるとさらに
白aキカシまで残っています。

この図で優勢なら我慢するがそうとは言えない。

なので・・・
12図(39- )   
  反発の黒39サガリです。

もちろん変化をかなりヨンでの選択。

参考図12  
  参考図12:

白1トビなら黒2とツケます。

白3、5には黒6で攻め合い勝ち。

黒a、白b、黒cのシボリも残り白の手数は長くない。
13図(40-53)   
  白40サガリなら黒41、43で大丈夫です。

でも白44、46が先手になり隅でポイントを取られて・・・

今度は上の白48出切りで得されます。黒53に一着ないと心配。
下の白は現在4手だが6手になる可能性があるのでまだ不気味な存在。

ここで参考図13:
参考図13   
  白1、3と黒▲を切り離されるのが嫌でした。

黒4で攻め取り味がほぼ消滅しますが白5とさらに上を補強します。

上一帯の白模様がほぼ白地とすると80目以上。

左下の白への寄り付き具合があるので白勝勢とは断定で出来ないが・・・

白1、3ならば何か上辺削減を急ぐ予定でした。
14図(54- まで)    
   白54は攻め取りを含みつつ味のある手です。

ただようやく右上に打った黒一子を活用する手番に回りました。

ただし参考図14:
参考図14   
  黒1は白2囲いくらいで物足りない。



第二譜はここまで。


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